「綱火」高岡愛宕神社

高岡丸の舟遊び


 つくばみらい市高岡にある愛宕神社で、「綱火(つなび)」なる民俗行事があるという。国指定重要無形民俗文化財だそうだ。つくばエクスプレスのみらい平駅から車でなければ行きにくいそうだが、その駅までなら我が家から1時間少しで行けるから、それなら遠くないと思って行ってみた。

綱火の出発点


 現地に着いてみると、高岡愛宕神社は、こじんまりとした我が村の鎮守様という趣きである。枯れ葉が落ちている小石混じりの地面に、我々のようなよそ者の見物客もいないわけではないが、主体は子連れで一家でやって来た地元の人たちで、いずれもビニールシートを敷いて、ご馳走を食べたりビールを飲んだりして談笑している。なかなか良い雰囲気だ。この綱火は、火難除けと家内安全を願って、江戸時代初期から連綿と行われてきたそうだ。なお、つくばみらい市の綱火は、この高岡流のほか、もう一つ小張松下流という小張愛宕神社で行われるものがあり、こちらは戦国時代末期に端を発するそうで、今年は高岡流から数日遅れて行われる予定とのこと。

繰り込み


繰り込み


 花火が上がる。その上がる前に、「誰々さんご奉納」などと紹介がある。長閑かで良い。私が少年時代の田舎の花火大会を思い出して懐かしい。そうこうしているうち、夕陽が沈み、辺りはすっかり暗くなってきた。まず「繰り込み」という行事が始まった。これがまあ驚きで、氏子さんたちが、手に手に筒花火をもって神社の建物に向かって歩いて行き、近づくにつれて、それが一段と燃え盛る。火花が真っ直ぐ飛ぶ花火もあれば、ぐるぐると大きく回る花火もある。火の勢いがすごい。近くの見物客が火傷しないかと心配するほどだ。これは激しい。神社の建物が火に包まれて、まるで燃えんばかりの様相を呈する。大丈夫かなぁと思っているうちに、終わった。氏子さんたちには、これが本番のようで、これから始まる綱火は、余興の楽しみだそうだ。

三番叟


三番叟と花火


花火の色が変わる


 さて、いよいよ綱火が始まる。演目は、三番叟(さんばそう)、高岡丸の舟遊び、浦島竜宮城の3つである。ピーヒョロとお囃子が流れる中、正面の舞台の上から、境内に張り巡らせた綱にぶら下げる形で「操り人形」を出し、それを綱を操って動かす仕組みだ。その人形には花火が仕掛けてあり、それが燃えながら動くし、あるところで、周りに設置してある仕掛け花火がバババッと点火されるという具合である。最初の三番叟は、烏帽子に狩衣の三番叟の格好をした1体の人形が、暗闇の中を花火を燃やしながらゆらゆらと進んでいき、途中で脇の仕掛け花火が文字を描くというものである。その文字も、燃えるにつれて色が変わるから、手が込んでいる。続く高岡丸の舟遊びは、舟に何体かの人形が乗って進み、これまた途中でナイヤガラの滝のような仕掛け花火があるというもの。最後の浦島竜宮城は、亀に乗った浦島太郎が竜宮城に向けて進み、竜宮城から乙姫様が出てくるという趣向である。洗練されたものとはお世辞にも言えないが、あくまでも村の鎮守様のこじんまりとしたお祭りでの素朴な出し物といえる。

高岡丸の舟遊び


高岡丸の舟遊び


 それにしても、「この氏子さんたちは、花火を扱うのに慣れている。花火はいずれも手作りだろう。これは、もしかすると、戦国時代の火縄の流れを汲むのかもしれない。今でこそ花火は珍しくも何ともないが、江戸時代や明治期には、これは珍しい催しだったのだろう。」と思ったら、どうもそうらしい。小張松下流の方は、「永禄年間(1558年から1570年)に、小張城主の松下岩見守重綱が戦勝祝いに考案した」とされ、こちらの高岡流の方は、「鎮守の祭の時に大樹から赤と黒の蜘蛛が舞い降り、巣を作る様から村人が創作した」と言われているそうである(いずれも、日本観光振興協会HP)。また別の文献によると、どうやら重綱は、いわゆる火縄使いだったようだ。

亀に乗った浦島太郎が竜宮城に向けて進む


 帰りのタクシーの中で、運転手さんから、「どこから来たの」と聞かれ、「東京ですよ」と答えると、「ええっ! 東京からわざわざ来たの? 地元に住んでいる自分ですら、綱火なんて1回も見たことがないのに」と、驚かれた。私は、そんなに物好きなのか・・・。その運転手さんが、問わず語りに話してくれたところによれば、少なくとも小張松下の方では、長男にしか、この行事に参加させないそうだ。たとえ入り婿でも、長男とは言えないから参加させないくらいに厳しいもので、その家に長男が生まれれば、有資格者となるという。そういえば、この高岡流でも、繰り込みの氏子さんも、綱火の使い手も、全て男の人だったなあと思い当たった。男女平等どころか共同参画社会の今時、珍しい伝統が残っているものだと思うが、村落共同体の下に長年成り立ってきた村のしきたりというものは、そう簡単には変えられないのだろう。



(2016年8月21日記)




鳳川芸伎連の舞妓さん

舞妓喜久豆さん


 私も、いささか歳をとってきたせいか、日本の伝統文化に興味を持つようになり、機会があれば、ジャンルを問わず、なるべく見聞きするように努めている。各地のお祭りを見に行くのもその1つで、それだけでなくつい先ごろの弘前ねぷた見物では、津軽三味線の演奏を聴いて、感激した。

 それとは全く別の話であるが、先日、岐阜の鳳川芸伎連(ほうせんげいぎれん)の舞妓喜久豆さんの踊りと、幇間喜久次さんの舞妓さんについての話を聞く機会があった。それを材料に、印象に残った舞妓さんに関する豆知識を記しておきたい。


舞妓喜久豆さん


 舞妓さんの上から下の順で話を進めていくと、まず頭については、もちろん日本髪を結っているが、これはカツラではない。あくまでも地毛を結うもので、1週間おきに結い直す。その間、髪型が崩れてはいけないので、高枕で寝るそうだ。髪型は、その日は「われしのぶ」という江戸時代の娘さんの髪型だった。髪に刺す花かんざしは、三角の羽二重(絹布)を摘んで三角形にして糊でとめて繋いでいくので、摘み細工という。その花の種類は、1月は松竹梅、2月は梅、3月は水仙、4月は桜、5月は菖蒲、6月は紫陽花または柳、7月は団扇、8月はススキ、9月は桔梗、10月は菊、11月は紅葉、12月は招きというように、毎月変えていく。花かんざしにぶら下がっている通称「ブラ」は、これがあるのは1年生の舞妓さんで、まだ幼いという位置付けだそうだ。それで、2年生、3年生となるにつれて、ブラがとれ、花かんざしも減っていき、要は「お姉さん」になることを意味する。芸妓さんになると、花かんざしなどは付けずに、鼈甲のかんざしなどの粋な飾りになっていく。

 顔は、江戸時代から変わらない化粧法で、白粉(おしろい)、紅(べに)、眉墨(まゆずみ)の3色だけからできている。これは、江戸時代の行灯(あんどん)の下で最も美しく映えるようにできている。歌舞伎役者と同じである。もっとも歌舞伎の場合は、悪人だと化粧に青色、物の怪だと茶色をそれぞれ入れたりするが、舞妓さんの場合はこの3色だけだそうだ。紅は、最初は、下紅(したべに)つまり下唇だけにしか付けていない。これは、1年生の舞妓さんの特徴で、2年生になると、上唇にも付ける。これも、大人の女性の色香を表わす仕掛けである。化粧は、各自が自分でする。最初は色むらが出るが、慣れてくれば自分の顔の形がわかり、コツものみこめてくる。


舞妓喜久豆さん


 襟の刺繍は手縫いで、何十万円もする。舞妓さんの初めの頃は赤い刺繍だが、次第に年季がいくにつれて白が増え、最終的には白の正絹で埋めつくされる。これを襟変えといい、舞妓さんを卒業して芸妓に変わることを意味するそうだ。振袖や肩には、わざと縫上げを作っている。これは、子供なんだという印のようなもの。昔は11〜12歳で舞妓になっていたが、今では府県の条例で岐阜では18歳からしか舞妓になれないので、せいぜい21歳で舞妓を卒業してしまう。

舞妓喜久豆さんの「ぽっちり」


 帯は、自分では締められない。プロに締めてもらわないと緩んでくるし、汗が出る。それというのも、汗腺が脇の下に当たる胴の部分にあるので、そこを帯できつく締めることで、汗が出にくくなる。帯どめは、舞妓さんの場合は「ぽっちり」といい、珊瑚、瑪瑙、水晶、真珠などの宝石で出来ている。高価な宝物で、各置屋で代々の舞妓に受け継がれている。

 裾は「裾引き」、別名「お引きずり」ともいうが、これは江戸時代の正装であり、大奥などでは、このスタイルである。今でも料亭で廊下に畳が引いているところでは、このお引きずりで歩くと、優雅な姿で、しかも衣摺れの音がして、なかなか良い。しかし、地方色があって、京都やこの岐阜ではお引きずりだが、名古屋にいる2人の舞妓さんや秋田では、引きずっていない「おつぼり」である。襟足は、江戸時代は美のポイントで、細く長く見せるために、ここにも白粉を塗った。三本足の「M」字型に塗るのは「もんぴ」といって、特に型があり、黒紋付を着る特別な日のお化粧法である。帯の形は、舞妓さんの場合はだらりの帯だが、岐阜では舞妓は鵜飼舟に乗ってお客のお相手をしなければならないので、それでは邪魔になる。そこで、「矢の字崩し」にしてあるそうだ。







 長良川鵜飼いと川原町(エッセイ)





(2016年8月20日記)




富岡八幡宮 水かけ祭

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 8月14日の富岡八幡宮の例祭を見物に行ってきた。これは深川八幡祭とも言われ、赤坂の日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭とともに「江戸三大祭」の一つとされているそうだ。3年に1度の本祭りでは、4.5トンもの重さの日本一の黄金神輿(御鳳輦・一の宮)が渡御を行い、加えて120数基もの町神輿が担がれて連合渡御するという。しかし残念ながら、昨年が本祭りだったので今年は陰祭りの年に当たるから、その年には一の宮の神輿ではなく、宮神輿(二の宮)が渡御する。それでも、重さは2トンだという。その2つの神輿が、大鳥居を越えた左手にある神輿庫に並んで飾ってあった。

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 私が行った14日は、子供神輿の渡御で、総数54基も出るという。「ワッショイ、ワッシヨイ」という掛け声とともに、大通りを次々に神輿がやって来る。富岡八幡宮への参道に入るところで、待ち受けている白装束の神職らしき3人から、水をこれでもかというばかりに浴びせられる。担ぎ手への清めの水だそうだ。いや、これは激しい。江戸っ子、それも深川の威勢の良さそのものだ。強いて言えば、「江戸の粋を今に伝える」というのが、この八幡宮の説明だ。

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 せっかく来たのだからと、お参りの後に、おみくじを引いたら、 【中吉】さし出ずる朝日の影もうららかに 枝も鳴らさぬ千代の松ヶ枝 【運勢】わざわい自ずから去りて幸福となり、波風なき運なり、但し心おごりて無理をなすときは運が崩れて金銭に苦しむなり、というのが出たが、まあ、当たっていると思う。

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 境内の一角に横綱力士碑なるものがあるので、何かと思ったら、江戸時代に100年間ほど、ここ冨岡八幡宮で相撲の興行が行われていたそうだ。その間、定期興行制や番付制度が確立されて、興行場所が本所の回向院に移っていったという。まさにこの地が、江戸の庶民文化の中心地だったわけだ。

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 そう思うと、お神輿の威勢のいい掛け声と、バシャバシャかけられる水の勢いがいいのも、分かる気がする。上京してきて、かれこれ半世紀近くになるが、これほど江戸の庶民文化の華のような行事を見たのは、これまでなかった。

 15日は、大人神輿があるかと思ったら、案に相違して前日の子供神輿の中に混じってやっていたという。そういえば、大きなお神輿もあったが、てっきり子供ばかりかと思っていた。確かに、今年は、陰祭りの年だった。






 富岡八幡宮 水かけ祭(写 真)





(2016年8月15日記)




青森ねぶた・弘前ねぷた

青森ねぶた




 青森ねぶた・弘前ねぷた( 写 真 )




1.青森ねぶた(夜)

青森ねぶた


 青森ねぶた祭りを見物に来ている。東京を午後1時20分に出発して、午後5時過ぎにはもう青森駅前に立っていた。さすがに新幹線は速い。駅前の寿司屋さんで海鮮ちらしを食べ、これを夕食とした。新鮮で、具そのものの味が良く、とても美味しく食べられた。

青森ねぶた


 青森駅から青森県庁前の決められた席に着いた。前回は小雨模様で肝心のねぶたにビニールが掛かっていて、写真にならなかった。しかし、今日は晴れ上がっているから、今度こそ、ねぶたがくっきりと見えるはずだ。しかも、席が高い位置にあるから、前面に遮るものがない。良い写真が撮れるはずだと、期待が高まる。

青森ねぶた


 いよいよ開始時間の午後7時10分となった。花火が上がり、ねぶた祭りの始まりを告げる。道の左手の方から、腹に響き渡る太鼓のダン・タタ・タンという音、笛のピョーロ・ロッロ、ピョロロ・ロッロローという旋律、それにラッセラーの掛け声が聞こえてくる。暗闇の中で、耳を通じて頭の中で反響し、胸が踊るような気がする。それに続いて原始的とも言える原色が踊るねぶたが近づいてくる。ねぶた絵は、日本古来の武者絵が多いが、それが実に力強く描かれている。目の隈取りや力強く不自然なまでに曲がった腕の筋肉は歌舞伎役者を思い出させる。どのねぶたをとっても、心を揺さぶられ、日常を忘れるほどの迫力がある。わざわざ見に来て良かったと思う瞬間である。

青森ねぶた


 青森ねぶたに派手な印象をもたらしているのは、主役のねぶた絵とともに、もう一つの主役の「跳人(ハネト)」さんたちである。頭に花笠をかぶり、白い浴衣に赤いたすき、腰の周りにシゴキという黄色い帯のようなもの、手には団扇という派手な格好をしている。それが多いときには、あの広い道一杯に広がるから、1,000人以上もいるのではないかと思うくらいである。口々にラッセラーと叫んで、ピョンピョンと跳ねる。大きな渦を作ったり、天衣無縫に飛び跳ねる。これだけでも、運動不足の解消に役立つこと請け合いである。若かったら、やってみたいと思うほどだ。

青森ねぶた


 次に、あの横一列に並んだ太鼓をはじめとする囃子方も、祭りの見もの、いや聞きものだ。太鼓は、両手の撥(バチ)を全力で叩いている。その後に続く笛が太鼓の合間にその旋律を奪うように甲高な囃子を鳴らす。更に「手振り鉦(てぶりがね)」で、シャンシャンと楽しそうにやっている。笛は、なかなか難しそうだが、とても澄んだ音が出ている。いずれも、太鼓の響きを主旋律に、まるで暗闇の中で縄文時代からのメッセージを直接聞いているような気がした。

青森ねぶた


 面白かったのは、1つだけだが、大太鼓があったことで、下から敲くだけでなく、上に乗って上からも敲くのである。これを見たときには、とても感激した。ところがその翌日、弘前ねぷたの見物に行ったところ、青森のものと勝るとも劣らない勇壮な大太鼓があって、実に格好良く感じた。


2.青森ねぶた(昼)


青森ねぶた


青森ねぶた


 青森ねぶた(夜)を見た次の日、その受賞作品を中心に20基のねぶた運行が午後1時から行われる。それが終わると夕方、受賞作品が艀に乗って青森港内を運行し、その背景に花火大会が行われるという。本当はそれを観て帰りたかったのだが、宿の手配ができなかったことから、これを見ずに帰京せざるを得なかった。

青森ねぶた


青森ねぶた


 さてその昼間のねぶた運行だが、暑い日で気温が33度をもあり、しかもカンカン照りだ。こういう気象条件では、日影にいないと熱中症になりかねない。ねぶたの運行経路の地図を見て、駅とは反対側の、国道4号と平和公園通りの交差点まで一気にタクシーで行き、三井住友海上ビルの角の日影にいることにした。

青森ねぶた


青森ねぶた


 開始時間になった。跳人がたくさん現れ、跳ねるのではなく整列して、なんとか音頭のような踊りを披露している。それに引き続き、先頭がやってきたと思ったら、ねぶたではなく、新幹線開通を記念して、青森と函館が協力して観光に力を入れていることをアピールしているようだ。待つことしばし。やっと、本物のねぶたの一行が来た。青空の下でねぶたを観るのも、なかなかよい。夜間には見えなかったねぶたの下にいる引き手が良く見え、大変な作業であることがよくわかる。

青森ねぶた


 交差点を直進して、観衆のところまで来て急停止し、そのとき、前へつんのめる形となる。それを立て直して、ぐるりと一周する。そのおかげで、ねぶたの表、横、裏の全てが見える。表は眉が太くて目がギョロリと目立つような隈取りがされ、刃をかざしたり、相手の侍や蛇を睨みつけている。いやもう、これは迫力満点である。跳人さん達は、この暑さの中で、まさに軽々と、飛び、回り、跳ねる。元気なことだ。中には、3歳くらいの男の子が、真似して跳ねる。親切な跳人さんがその前で一緒に飛んで、跳ねるという微笑ましい風景もあった。将来の跳人候補である。また、夜間と違って、囃子方の太鼓、笛、鉦の様子がよくわかった。


3.弘前ねぷた(夜)


弘前ねぷた


弘前ねぷた


 前夜の青森ねぶたに続いて、今度は弘前に来ている。駅前の曲がり角にある指定席に座った。ねぷたが方向転換をするので、絶好の位置にある。辺りが暗くなってきたが、始まる時間の午後7時を過ぎても、なかなかやって来ない。しばらくして、ようやく囃子の音が聞こえてきた。最も目立つのは太鼓の音で、事前の弘前ねぷた村で見聞きしたら、この太鼓は右手に持った撥(バチ)でそれが120度くらい後ろにしなうくらいにして鼓面を力を入れて叩き、それが一拍だとすると、左手の方でその半分くらいの力で半拍を繰り返している。太鼓の力を借りるので、女性でも子供でも打てる。そして笛が、短いがはっきりとした旋律を繰り返している。最後は鉦で、両手を揉むように回して音を立てていた。

弘前ねぷた


弘前ねぷた


 掛け声が、青森の「ラッセラー」に対して、弘前は「ヤーヤドー」というのである。初めて聞いたので、最初はよくわからなかった。例えば、観客に対してねぷたが近づいてきて、メガホンを持った人が「ヤーヤドー」と叫ぶ。観客もそれに合わせて叫べと促す。皆が同じようにヤーヤドーと言うと、実に満足した顔で去っていくという具合である。

弘前ねぷた


弘前ねぷた


 時々、元気が余っているねぷたの曳き手がいて、観客に突っ込んでいき、直前で止まるというのを繰り返す。NTTのグループでは人形の馬がいて、そうやって観客に突っ込んだ後、馬が鼻から白い煙を出すから、皆が大笑いしている。色々と面白い仕掛けの工夫があるものだ。

弘前ねぷた


弘前ねぷた


 弘前ねぷたは、町内単位が多いので、青森のように大企業が主体になっている大きなねぷたは少ない。中には、保育園や小学校のねぷたもあり、かえってこちらの方が元気だったりするから面白い。特に赤い金魚のねぷたは可愛らしく、それを幼稚園児のような子たちが引いて「ヤーヤドー」と叫んでいて、観客の拍手を受けていた。

弘前ねぷた


弘前ねぷた


 弘前ねぷたは、青森のような立体的なものは小さなものしかなく、しかもそれはあくまでも脇役で、主役は大きな扇の形をしている。そしてその扇が廻るのである。1人の男の子が紐を持ってねぷたの周りを一周する。そうすると、あの大きな扇が廻る。扇ねぷたの表の鏡絵は武者絵である。裏には鮮やかな絵が描かれ、なかでも四角いのは見送り絵で美女が多く描かれている。もっとも、お岩さんのような幽霊もたまにはある。扇が廻ることによって、一度に見られる。これは、大変な観客サービスである。

弘前ねぷた


 「ねぷたの起源」について、弘前ねぷた村で係りの人の話を聞き、それとパンフレットの内容を合わせてみると、こういうことらしい。「青森県内では、40ヶ所でねぷた祭りが行われている。有名なところは、青森ねぶた、弘前ねぷた、五所川原の立ちねぷたの3ヶ所で、最近は五所川原が有名になりつつある。跳人(ハネト)がいるのは、青森だけである。弘前には跳人はいない。青森は港だから、威勢の良いのを好むが、弘前のねぷたは元々城下町で、殿様に見せるためのものだから、そういうやや品のない行いはしないということになったのではないかと言われている。そもそも『ねぷた』は、藩祖為信公が文禄2年(1593)、京都滞在中、都人に見せるために二間四方の大燈籠を出したのが始まりで、その語源は夏の農作業の妨げとなる眠気や怠け心を流し、五穀豊穣を願う行事の『ねむり流し』が『ねぷた』と訛ったものという。眠いことを弘前などの内陸では津軽弁で『ねぷてぇ』といい、それが青森のような海岸では浜訛りで『ねぶてぇ』となった。弘前ねぷたは、大小80台があり、元々灯籠流しが来ているので、ほとんどが扇ねぷた(灯籠)であるが、たまに青森のような組ねぷた(人形)がある。一方、五所川原は23mあるのが3台。ほか20台。平成10年に復活し、最近では、こちらの方が観光客に人気がある。


4.田んぼアート(田舎館村)

弘前ねぷた


 弘前の近くに田舎館村というところがあり、稲で絵を描いているというので、せっかく当地に来ているし、ねぷたまで時間があるので、立ち寄ることにした。第1会場と第2会場があるが、村役場の前の第1の方に行くことにした。弘前駅前の観光案内所で行き方を教えてもらい、着いたのが午前11時前である。村役場がまるでお城のようだったので、まずびっくりし、次に50分待ちだと聞いて、またまた驚いた。人気がこれほどあるとは思わなかった。私のように個人で来るのは珍しくて、観光バスがどんどんと押しかけてきていて、それで列がその分、長くなる。暑い中、これは大変なことになると、覚悟した。ところが、いざ並んでみると、待ち時間もさほど苦にならなかった。というのは、私の前に社員旅行の一行がいて、その中の何人かが、「ポケモンGO」に興じている。「珍しいポケモンをゲットした。」などと遊んでいる。することがないので、私も教えてもらってやってみたら、どうやら希少種を捕まえたらしい。暇つぶしには、もってこいの遊びだ。

弘前ねぷた


 さて、村役場の建物の中に入ると、冷房が効いているので、ほっとした。平成5年からこの田んぼアートを始めたということで、毎年の写真が飾られている。ところが最初の頃の技術はまだ未熟で、大したことがなかったが、年々、技術が向上して、今では繊細な線まで出せるようになってきたことがわかる。稲も当初の3種類から、今年は7種類を使っているとのことだ。また、役場の職員さんの話によると、5階の「天守閣」よりも、4階の高さから観ると、ちょうど良いように作ってあるそうだ。

弘前ねぷた


 そういうことで、やっと50分が経ってエレベーターで4階に上がってみると、目の前には、主に緑と茶色で、2人の武士の絵が描かれていた。「NHK大河ドラマ「真田丸」をテーマとし、山本耕史さん演じる石田三成と、草刈正雄さん演じる真田昌幸をモチーフ」にしたそうだ。うーん、何というか、絵は繊細な線で描かれていて、実によくできている。

弘前ねぷた



5.大鰐温泉

 実は、第1日目に、青森でも弘前でも宿がとれなくて、弘前の先の大鰐温泉郷というところに泊まった。そこの「赤湯」で、説明書きに書かれていた内容をまとめると、次の通りである。

 「数百万年前の2度の噴火でカルデラができて、その中央に、溶岩ドームとして隆起したのが阿闍羅(あじゃら)山である。これら一連の火山活動で、現在の大鰐温泉ができた。平安の後期には、阿闍羅山はその形が釈迦の涅槃の姿に似ていたことから、修験の地となっていたが、そのうち寂れてしまった。鎌倉時代の初期、東国を行脚中の僧の円智がその余りの荒廃ぶりを見かねて、仏像を麓の村に移すつもりで高伯寺(現在の大円寺)を建立していたところ、病気になったが、平川岸に発見した温泉で療養したところ、治ったと言い伝えられている。

 安土桃山時代の末期、津軽藩祖の為信は、南部藩からの独立を目指して戦っていた時に重い眼病を患ったが、当地の茶臼山麓に湧く温泉で洗って治った。第3代の津軽藩主信義(実母は石田三成の娘辰姫で、養母は徳川家康の養女の満天姫)は、温泉が大好きな殿様で、大鰐町に御仮屋を建て、参覲交代で帰藩中の半分をそこで過ごしたため、周りに家臣用宿舎ができ、加えて新鮮な野菜のない冬場に温泉もやしが食べられることもあって、賑わいだしたという。地名は、鎌倉時代は大阿ミ(弥の字の弓へんをとったもの)、室町時代は大安国寺(高伯寺の別称。共にオオアニ)で、大鰐としたのは藩祖為信公という。」






(2016年8月7日記)




宇宙船ヴォイジャー【7】(最終)

ハッブル望遠鏡の映像、NASA




宇宙船ヴォイジャー【第7シーズン】


第7 145回  (ユニマトリックス・ゼロ 後編:Unimatrix Zero, Part )

総合評価 ★★★★★
 (ストーリー ★★★★★)
 (人間の描写 ★★★★★)


 ボーグ艦内に侵入したジェインウェイ、トゥヴォック、トレスは、同化の影響と戦いながら、艦内の中枢部にある通信装置までたどり着き、ドローンが集合体下でも自意識を持てるウィルスをばら撒いた。脱出しようとすると、同化抑制剤の効果が消えたトゥヴォックがジェインウェイを倒し、彼女はボーグに捕まった。そのままホログラム装置に入れられ、ホログラムの形でボーグ・クイーンと相対した。ボーグ・クイーンは、たとえ11万人のドローンが乗っている船に1人でも自意識を持つドローンがいれば、船全体を自爆させるという破れかぶれの戦術に出た。ジェインウェイが、問題のウィルスの効果を打ち消すワクチンを提供しなければ、これを続けると脅す。ジェインウェイが断ると、今度は自分がユニマトリックス・ゼロに行き、自ら自意識を持つドローンを殺すという。

 ジェインウェイ艦長のホログラムのイメージがヴォイジャーに現れて、同じようなことを言うが、チャコティはボーグ・クイーンに先回りしてユニマトリックス・ゼロを破壊してしまう。後は、自意識を持つドローンがそれぞれのボーグ艦内でゲリラ戦を展開すれば良いという考えである。セブンは、破壊される直前のユニマトリックス・ゼロに行き、元恋人のラクサムに会うが、彼は銀河の反対側のベータ宇宙域にいるので、現実世界で会うのは、まず望みがない。

 ジェインウェイ艦長らを回収するため、ヴォイジャーは再びボーグ艦に近づいていくと、前回と違って今度は、自己を持つドローンのボーグ艦が援護してくれた。これは、ドローンでも自意識が持てるウィルスの効果である。これによって、無事に3人はヴォイジャーに帰ってくることができた。

[ 活劇シーンが続き、これからどうなるのかと途中で筋が気になり、面白いエピソードである。それにしても、ジェインウェイ艦長のボーグ姿は、なかなか怖かった。]


第7 146回  (セブンの神経結節部品:Imperfection )

総合評価 ★★★★★
 (ストーリー ★★★★★)
 (人間の描写 ★★★★★)


 セブンが食堂で倒れてしまった。頭の中に入っている神経結節点というボーグの重要な部品に不具合があるようだ。このまま放っておくと、命に関わる。ジェインウェイ艦長は、セブンの命を救うために、ボーグ艦に行ってドローンから神経結節部品を回収することにした。近くに破壊されたボーグ艦が見つかったので、そこへ乗り込んでドローンの死体からそれを回収しようとしたところ、邪魔する異星人が現れたが、振り切って帰ってきた。

 その回収した神経結節部品をセブンに移植しようとして事前のシミュレーションを12回も繰り返したが、いずれも失敗した。停止していた期間が長すぎたらしい。こうなると、生きているドローンから取り出すしかない。それは、なかなかできるものではないのは、皆が分かっている。手詰まりの状態に陥った。セブンは、死ぬことを心配し始めた。「ボーグの集合体にいたときは、たとえ死んでも、その人の記憶、知識、経験は、集合体の中で永久に受け継がれる。ところが、個人になった今は、そうではない。死んだらそれで終わりだ。」と。しかしジェインウェイ艦長は、「セブンに関する記憶は、乗組員の皆に受け継がれる。」と言う。セブンが「集合体から切り離された後、完全な個人になろうとしたが、まだまだ不完全だ。」というと、艦長は「いや、あなたほど努力して成果が上がった人はいない。」と慰める。

 そうこうしているうち、セブンの弟のようなイチェブが、驚くべき提案をする。「私はまだ子供のうちにボーグに同化されたので、ボーグの神経結節部品にはそれほど依存していない。これをセブンに移植しても86.9%の確率で成功するし、自分も神経結節部品なしで体が適応する。」と。セブンは、イチェブに危険があるとして、申し出を断る。ところがイチェブは、自分で神経結節部品を外してしまい、セブンが移植を受けざるを得ないようにしてしまった。移植してから6日後、セブンは回復した。イチェブの回復にはもう少しかかるが、彼を見るセブンの眼には、涙が溢れてきた。

[ セブンの命を救うために、皆が一生懸命に努力しているが、上手くいかない。もう望みが消えかかっていたとき、ボーグの子供だったイチェブが、自分の身を犠牲にする驚くべき提案をする。それは危険だとして皆が止めたが、イチェブは自らの身体を犠牲にして、セブンを救おうとした。感動的な話である。イチェブについては、第6ァ137回を参照。]


第7 147回  (命懸けのレース:Drive )

総合評価 ★★☆☆☆
 (ストーリー ★★☆☆☆)
 (人間の描写 ★★☆☆☆)


 デルタ・フライヤーで飛んでいたパリスとキムは、異星人パイロットのイリーナに呼びかけられて、近くの星系でレースがあることを知り、ジェインウェイ艦長に参加したいと申し出た。100年間にわたって戦争をしていた種族間の和平の象徴だというので、ジェインウェイはこれを認め、参加することになった。しかもそのレース開始のパーティの場所として、ヴォイジャーも開放するほど力を入れていた。それは、トム・パリスとベラナ・トレスの仲が微妙になっている頃だった。この2人がデルタ・フライヤーに乗った。

 第1日は、レース途中でイリーナの船の副操縦士席が爆発し、彼が負傷した。トゥヴォックの調査によると、爆発物が仕掛けられていたためで、何者かによる破壊工作だった。レースの主催者によると、まだ和平に反対する勢力がいるらしい。このまま中止するかどうかが問題になったが、中止するのは反対勢力に利するという判断で、再開することにした。キムがイリーナの船の副操縦士になることになった。

 翌日、レースが再開された。パリスとトレスの船が先頭だったが、喧嘩して止まってしまう。キムとイリーナの船では、また副操縦士席が爆発した。キムが不審に思うと、イリーナがキムに銃を向けた。破壊工作は、イリーナ自身が行っていたのである。イリーナは、パリスとトレスの船にも工作をしていたが、キムが何とか連絡をして、ワープコアが爆発する寸前に事なきを得た。その直前に、パリスがトレスに求婚し、受け入れられた。

[ ちょっとしたレクリエーションのつもりが、命懸けのレースになってしまった。]


第7 148回  (マインドコントロール:Repression )

総合評価 ☆☆☆☆☆
 (ストーリー ☆☆☆☆☆)
 (人間の描写 ☆☆☆☆☆)


 ヴォイジャーの乗組員が、誰かに襲われて5人も倒れた。いずれも、元マキのメンバーであるのが共通点である。トレス機関部長、チャコティ副艦長まで襲われた。トゥヴォックが捜査するが、犯人が一向に分からない。しかし、襲われた乗組員は、しばらくすると回復している。やがてトゥヴォックは、自分自身が犯人であることを知って、愕然とする。しかも、ベイジョー人の幻影が見え、それに操られている。拘束室で自分自身を監禁した。ジェインウェイ艦長が調べると、トゥヴォックが受け取った息子からの手紙に、そのベイジョー人が「聖なる時が来た。今こそ決行せよ。」という指示があった。

 やがてその指示は、チャコティ、ベラナその他の元マキの乗組員へと伝染し、元マキがヴォイジャーを乗っ取った。しかし、トゥヴォックがチャコティに精神融合をしたおかげで、皆はベイジョー人のマインドコントロールから逃れることができ、我に帰った。

[ 第7シーズンにもなって、今更マキによる乗っ取り計画など、あり得ない話で、まるで冗談のようなエピソードである。それとも全体が冗談か・・・全シーズンを通じて最低の評価としたい。]


第7◆149回  (病院船の治療方針:Critical Care )

総合評価 ★★☆☆☆
 (ストーリー ★★☆☆☆)
 (人間の描写 ★★☆☆☆)


 ドクターは、誘拐されて異星人の病院船に連れて来られたが、その治療方針に驚いた。社会的価値が高い人ほど高度な治療を受けることが出来るという仕組みだったからである。かつて、餓えなどで絶滅寸前だったが、このシステムで資源の有益な配分が出来るようになり、立ち直ったからだという。しかし、「患者に優劣は付けられない。どの患者も同等に扱われるべきだ。」というドクターには、信じられない治療方針である。

 ドクターは、この治療方針に対して果敢に闘いに挑んだ。社会的価値のクラスが上のところから下のところへと薬品を横流しをしたり、病院の官僚的な発想を逆手にとって薬品の量を増やしたりした。ところが、病院の管理者に見つかる。そこでドクターは、管理者に病原体を打ち、最下層のクラスの治療を体験させて、治療方針の変更を迫り、イエスと言わせた。そこへ、ドクターを探すヴォイジャーの乗組員が現れた。

[ 患者に優劣は付けられないという医療方針には、もちろん大賛成であるが、それにしても、時間がないとはいえ、あまりに拙速なやり方だから、すぐに元の治療方針に戻るのではないかと心配する。]


第7◆150回  (バークレー大尉のホログラム:Inside Man )

総合評価 ★★★★☆
 (ストーリー ★★★★☆)
 (人間の描写 ★★★★☆)


 毎月あるはずの地球との交信が、どういうわけか1回途切れ、翌月送ってきたのはレジナルド・バークレー大尉のホログラムだった。そのホログラムは、デルタ宇宙域とアルファ宇宙域とを、それぞれ近くにある赤色巨星同士を通じて繋ぐことができるので、すぐに地球へ帰ることができるという計画を説明した。しかし、赤色巨星の放射能が強くシールドも相当強化しないと抜けられない。そこでホログラムの指示で乗組員には放射能耐性免疫剤を打ち、船体には強化シールドを張って、必要な対策を講じることになった。

 その頃、地球の宇宙艦隊本部では、本物のバークレー大尉が、ダボ・ガールに騙されて、ヴォイジャーに関する情報、デルタ宇宙域と連絡をとるパスファインダー計画、バークレー大尉自身のホログラムを盗み出してから、しばらく経っていた。デルタ宇宙域との連絡ができる通信基地の脇に、フェリンギ船が現れて、セブンのナノプローブを盗み出す企みが進行中であった。ナノプローブは、単に同化のために用いられるだけでなく、免疫の強化、老化の防止、病気の治療など、あらゆる分野で役に立つので、セブンの身体の360万個だけで巨万の富が稼げるという。偽のバークレー大尉のホログラムは、そのために改変されて、ヴォイジャーの乗組員を騙すようにプログラムされていた。

 本物のバークレー大尉は、艦隊カウンセラーのデアナ・トロイに、「教師の同棲相手が自分のホログラムとともに消えてしまった。」と打ち明けた。艦隊の機密情報が漏れたのではないかと、その同棲相手を尋問したところ、教師ではなくダボ・ガールで、フェリンギ人に雇われたと打ち明けた。そのフェリンギ船は通信基地の近くにいて、今まさに赤色巨星のチャネルを開こうとしているところだった。そのままヴォイジャーを突入させ、乗組員全員を死亡させてでもセブンのナノプローブを盗むつもりである。

 その頃、ヴォイジャーでは、ドクターとセブンが偽のバークレー大尉のホログラムの異常さに気付いたが、誤魔化されたり、倒されたりして、機能を止められなかった。目の前に赤色巨星のチャネルが開いた。ヴォイジャーがそれに突入すると、乗組員全員が危ない。ところが、艦隊本部にはヴォイジャーに連絡しようがない。まさに絶対絶命の状態に陥った。ここで艦隊本部が一計を案じ、本物のバークレー大尉に偽のバークレー大尉のホログラムの真似をさせ、「見破れられたから、計画を中止するように。」と言った。赤色巨星のチャネルを閉じようとしていたまさにその時、ヴォイジャーから発出された脱出ポッドで、偽のバークレー大尉のホログラムと気を失ったセブンが出ていった。ヴォイジャーでは、これを転送し戻そうとしていた。その直後、アルファ宇宙域の赤色巨星の出口から脱出ポッドが出てきて、フェリンギ船にぶつかったが、中は空っぽであった。

[ 帰還話はこれで3回目で、再びぬか喜びに終わった。しかし、フェリンギ人の金儲けと、セブンのナノプローブとを結びつけるとは、なかなか巧みなエピソードである。]


第7◆151回  (身体はセブン、中身はドクター:Body and Soul )

総合評価 ★★★☆☆
 (ストーリー ★★★☆☆)
 (人間の描写 ★★★☆☆)


 ロキリムの領域でセブン、ドクター、キムがデルタ・フライヤーで探査任務に出ていたとき、光子生命体を運んでいるとの容疑で、パトロール船に捕まってしまった。光子生命体が反乱を起こしているとのことで、重罪だそうだ。逮捕されるとき、セブンの咄嗟の機転で、ドクターをセブンのインプラントに入れた。すると、身体はセブンだが、中身はドクターになってしまい、ドクターにとっては飲んだり食べたりする感覚が新鮮でたまらない。デルタ・フライヤーの検査を行ったパトロール船の船長と一緒に、酒やピザやケーキを飲み食いして盛り上がり、出来上がってしまったほどだ。

 一方、ヴォイジャーの方にも、ロキリムの別のパトロール船が近づいてきて、光子生命体がいるから検査を受けよと命じられるが、ホロデッキを止めただけで、検査はさせなかった。

 そのうち、脱出を図っていたセブンの身体のドクターから連絡があり、そちらに向かった。パトロール船から脱出する過程で船長が負傷したので、ドクターが残って手術をし、命を救って、感謝された。

[ 軽い、まるでデザートのような味のエピソードである。]


第7◆152回  (ナイチンゲール号の真実:Nightingale )

総合評価 ★★★☆☆
 (ストーリー ★★★☆☆)
 (人間の描写 ★★★★☆)


 キム少尉は、異星人の2隻の船が戦闘を行っている場面に出会った。破壊された一方の船に乗船してみると、乗客のほかは、1名の新米士官を除いて、艦長以下の士官は全員、死亡していた。キムは修理を手伝い、それを終えようとしたとき、乗客の「医師」から、思わぬことを頼まれた。「自分たちは、ワクチンなどの医療用貨物を運んでいる貨物船だが、このままでは母星にたどり着けない。どうか、艦長になってくれないか。」。キムは迷ったが、人道上の援助だと割り切って、ヴォイジャーと合流するまでの約束で艦長となり、船を「ナイチンゲール号」と名付けて出発した。一方、ヴォイジャーはキムの船と敵対する異星人と、燃料などを交換する取引をしていた。

 ナイチンゲール号が異星人船から執拗な攻撃を受け、キム艦長の指揮の下にこれを跳ね返していたが、そのうち、キムが不審に思って調べてみた。すると、ナイチンゲール号は、単なる人道貨物船ではなく、研究所で開発した最新式の遮蔽装置を運搬するという、いわば軍事物資運搬船だとわかった。キムは嘘をつかれたと激怒したが、医師を名乗っていた軍事技術者から、「遮蔽装置は、敵から船を見えなくするという究極の自衛のための兵器で、これがなければ我々の星は、食料も医薬品も入手できなくなる。」と言われて、また艦長席に戻った。そして、異星人の攻撃をかわして、無事に着陸させ、自らもヴォイジャーに戻った。

[ 青二才のキム少尉の若さが出てしまったが、何とかハッピーエンドに持ち込めたというところである。]


第7−153回  (ホログラムの反乱者たち:Flesh and Blood )

総合評価 ★★★★☆
 (ストーリー ★★★★☆)
 (人間の描写 ★★★★☆)


 ヴォイジャーが救難信号を受けて急行すると、それはヒロージェンの初心者用狩猟訓練場だった。しかも、かつてジェインウェイ艦長が与えたホログラム技術を用いて作られたホログラムの戦闘員らが、ヒロージェン人を50人ほど殺して、ホログラム船に乗って逃走した。いわば、ホログラムによる反乱が勃発したのである。ヴォイジャーのドクターも、そのホログラム船に誘拐されてしまった。ドクターがそのブリッジに行くと、そこはアルファ宇宙域にいるほとんどの人種がホログラムになっていた。彼らは、長年、ヒロージェンによる狩りの対象になり、心も身体も傷ついていたが、その分、頭が良くて狡猾になっていた。

 ドクターは、ホログラムのリーダーが「安息の星の家に住み、もう狩りの対象にはなりたくない。」というのを信じ、ヴォイジャーに戻ってジェインウェイ艦長に、「ホログラムは単に定住する星を見つけたいだけだから、そのための光子エミッターの強化を手伝い、ホログラムに協力してほしい。」と頼むが、却下された。ホログラム側は、ドクターのほか、トレス中尉を誘拐し、光子エミッターの強化を手伝わせた。そして、星雲の中へと逃げた。

 それを追跡するヒロージェン船が2隻、集まり、ホログラム船の追跡を始めた。ヴォイジャーはその後ろに隠れて付いていった。ドクターは、ホログラム側の定住する星を見つけたいという話を信じて、呑気に定住後の夢を語るなどしていたが、ホログラム船が異星人の船を襲ってその中の「有機体」つまり乗員を殺して、乗船していたホログラムを解放した頃から、ホログラムのリーダーの真意を疑い始めた。

 案の定、ホログラム船は、ヴォイジャーによって破壊されたヒロージェン船からヒロージェン人たちを惑星上に転送し、これまでとは逆に、ホログラムたちが、ヒロージェン人を対象に「狩り」を行った。それを、惑星上に転送されたドクターが止め、生き残った何人かのヒロージェンたちを救った。

[ 昔、ジェインウェイ艦長が供与したホログラム技術を使って、ヒロージェン人がホログラムに対して残酷な狩りを行っていること自体がショッキングである。しかし、そうして狩りの獲物となったホログラムが賢く、しかも狡猾になって、逆にヒロージェン人たちを獲物にするというのは、まさに自業自得である。それにしても、ドクターの浅知恵には呆れてしまうが、ホログラムらしく所詮そういうものだということか。]


第7−154回  (ヴォイジャーの時間移動:Shattered )

総合評価 ★★★★☆
 (ストーリー ★★★★☆)
 (人間の描写 ★★★★☆)


 ヴォイジャーが航行中、時間と空間の歪みが現れ、そこからのエネルギー・サージでヴォイジャーのコアとチャコティ副艦長が打たれた。チャコティが医務室で気がつくと、ドクターが、身体の中で腎臓は12歳、肝臓は80歳などと年齢が異なっているのを統一した時間帯にするワクチンを開発して注射してくれた。そのおかげでチャコティは時間の違いを通り抜けられるようになった。

 チャコティがブリッジに行くと、ヴォイジャーがまだアルファ宇宙域にいる時代で、ジェインウェイ艦長がいてもチャコティのことは知らず、それどころか「なぜマキが艦隊の制服を着ているのか。」として拘束されそうになるが、何とか説得し、2人でこの問題を解決しようとする。ヴォイジャー艦内を回ると、機関室にはセスカとケイゾン人が、天体ラボには17年後のイチェブとナオミ・ワイルドマンが、貨物室にはボーグが、別の部屋にはマキの一団が、廊下には巨大化したウィルスがいたりして、38もの時間軸に分かれていた。そこで、艦内のネットワークを形成する神経ジェルパックに、ドクターの開発したワクチンを注射して回り、その後にセブン・オブ・ナインの言う通り、ディフレクターを調整して時間移動を統一するパルスを発生することにした。

 ジェインウェイとチャコティが艦内のすべての神経ジェルパックにワクチンを注射して回ったが、途中、ジェインウェイ艦長がパリスのキャプテン・プロトンのホログラム・キャラクターのご機嫌をとらざるを得なかったり、その他様々なことがあったものの、最後の機関室で、セスカとケイゾン人の妨害にあった。それを、ジェインウェイが協力を求めた全ての時間帯の乗組員の力で、これを撃退し、パルスを発生して、ようやく元に戻った。

[ まるでヴォイジャーの冒険の総集編のようなエピソードで、その発想の自由さに感心した。]


第7−155回  (母となるベラナ・トレス:Lineage )

総合評価 ★★★☆☆
 (ストーリー ★★★☆☆)
 (人間の描写 ★★★★☆)


 ベラナ・トレスが気分が悪くなった。側にいたイチェブが寄生体がいるという。セブンが、「いや彼女は妊娠している。」と訂正した。ドクターが診ると既に7週目である。それから、騒動が始まった。ドクターが、胎児の背骨が曲がっているのを矯正する手術をすることになった。そのときベラナは、胎児の全体像の映像を見た。胎児の額には、自分と同じクリンゴン人の特徴である亀の甲羅のような突起があった。それが彼女の子供時代の嫌な記憶を思い起こさせた。それは、ベラナがまだ小学校の頃、父、叔父さん、いとこ達とキャンプに行った時のことである。いとこ達は、ベラナに悪ふざけをし、とても嫌だった。自分の子供をあんな目に合わせたくない。そういう気持ちが募るばかりである。

 ついに、胎児からクリンゴン人の特徴を消してしまいたいと思い詰めて、遺伝子操作をしたいと夫のトム・パリスに言うと、大反対された。夫婦喧嘩を繰り広げ、トムは夫婦の部屋を追い出されて、キムの部屋のソファーで寝る始末だ。ジェインウェイ艦長にも2人で相談するが、「まずは、夫婦間で話し合ってちょうだい。」と言われてしまう。ベラナはまた、子供時代の嫌な思い出が蘇る。父が叔父さんに、「この結婚は失敗だった。妻もベラナとも、喧嘩してばかりだ。」と言った後、7日ほどで家を出て、それから2度と帰って来なかった。

 ベラナは、密かにドクターを改造して、胎児からクリンゴンの特徴を消してしまおうとしたが、見破られてしまった。それを契機にトムと話し合って、このままにしておくことにした。

[ 子供時代は、他人と少しでも異なる点があると、それを殊更に大きく取り上げていじめられることが多いが、そういう嫌な思い出を自分の子供にはさせたくないとの考えで、やり過ぎてしまったものだが、ベラナの気持ちは、よくわかる。]


第7ぁ156回  (死刑囚の悔悟:Repentance )

総合評価 ★★★☆☆
 (ストーリー ★★★☆☆)
 (人間の描写 ★★★★☆)


 ヴォイジャーは爆発寸前のナイジアンの宇宙船から乗員を転送し、2人を医務室に、残りを貨物室に収容した。それは死刑囚とそれを監視する刑務所長や看守たちで、その死刑執行のために母星に運んでいる途中だった。その医務室に収容されたアイコという死刑囚が、セブンとドクターを人質にとったりして極めて凶暴だった。独房でも騒ぎを起こしたので、刑務所長らが制圧したときに、アイコが頭に怪我をした。それをドクターがセブンのナノプローブを使って治療した。その時、先天的な頭の異常で凶暴さが現れていた部分も、正常になった。するとアイコは、自分の犯した殺人について悔悟の気持ちが生まれ、次第に普通の人間になっていった。

 ドクターとセブンはそれを見て、ジェインウェイ艦長や刑務所長に再審を願い出た。ナイジアンの法制度では、被害者側が許せば、死刑を免れる。その手続きをする一方、アイコは次第に改心していった。セブンはそれを見て、ボーグ時代の自分が何千人も同化したことを思い出した。

 ヴォイジャーが囚人を奪おうとする宇宙船に襲われたとき、囚人を収容している区間の電源が落ち、囚人が逃げ出した。刑務所長が人質になり、殺されかけたとき、アイコに救われた。恩にきた刑務所長の働き掛けで、アイコが殺した人の遺族に嘆願するが、それは実らなかった。セブンは、自分と比べて不公平だと嘆いた。

[ セブンの人間らしさが良く現れた、いいエピソードである。]


第7ぁ157回  (預言の子:Prophecy )

総合評価 ★★☆☆☆
 (ストーリー ★★☆☆☆)
 (人間の描写 ★★★☆☆)


 ヴォイジャーが航行中、クリンゴンの旧式の戦艦が現れて攻撃された。地球人は敵だというが、地球とクリンゴン帝国とはもう何十年も前に平和協定を結んでいる。この家族も含めた200人ほどのクリンゴン人を乗せた船は、彼らの信じる預言書を信じて、もう何世代も航行し、アルファ宇宙域から3万光年まで来て、新しい星を見つけようとしていた。そして、同じクリンゴン人のベラナ・トレスが妊娠していることを知り、それは「新しい星に導いてくれる預言の子」ではないかと考えた。その子が見つかったら、預言書の内容通り、乗っている船を破棄するということで、船を自爆して全員がヴォイジャーにやって来てしまった。それ以来、ヴォイジャーの艦内は、乗組員150名を上回る200名ものクリンゴン人で溢れかえる状態になった。

 中には、「トレスの子は預言の子ではないのではないか。」と疑うグループもいて、パリスに決闘を求めたり、ヴォイジャーを乗っ取ろうとしたりする。ところが、このクリンゴン人たちは、やがて死に結び付く疫病の保菌者であった。パリスに決闘を申し込んで闘つた男も、それに罹っていて、決闘中に倒れてしまった。しかし、トレスの子が持っていたクリンゴン人と地球人が融合した細胞を使って、彼らの疫病を直せたことから、本当に預言の子だと信じて、新しい星へと移住して行った。

[ トレスとパリスの子を材料にして、無理矢理作ったようなエピソードで、かなり不自然な話である。]


第7ぁ158回  (暗黒空間の同盟:The Void )

総合評価 ★★★★☆
 (ストーリー ★★★★☆)
 (人間の描写 ★★★★☆)


 ヴォイジャーは強力な重力波を受け、とある空間に吸い込まれた。そこは完全な暗黒の世界で、新しく吸い込まれた宇宙船から食料やエネルギーを奪い合うことで、生きながらえている。ヴォイジャーも早速他の船から攻撃を受け、食料の9割と燃料を奪われた。しかもこの空間では、燃料消費が通常空間の10倍の速度で進んでしまう。ヴォイジャーもあと1週間しかもたないところまで追い詰められた。

 ジェインウェイ艦長は、他の船に燃料や食料を提供して同盟を結んで共に対処しようとする。部下は限られた食料や燃料を提供するなど、とんでもないと言うが、ジェインウェイはそれが宇宙艦隊規則の精神だと意にかけない。そのうち、同盟に加わる宇宙船が増え、ヴォイジャーに技術を提供するなど協力して脱出方法を探った。脱出に必要な部品を他の船を攻撃して奪取した船があったが、同盟から追放した。

 準備が整い、同盟の船が一体となってシールドの中に入り、空間が自然に開く僅かな瞬間に飛び出す計画である。そのとき、ヴォイジャーの同盟から外れた船が2隻、襲ってきた。そこへ、ドクターが救って「暗黒の怪人」と名付けたグループがそれらの船へと転送され、ワープコアを停止させて、同盟の船団を救ってくれた。

[ ジェインウェイ艦長の方針には、アメリカの理想主義の理念が色濃く現れている。確かに、パックス・アメリカーナの20世紀末の時代の雰囲気は、まさにこういうものだった。その頃のアメリカは、政治、軍事、経済、科学技術に優れ、理想主義が国の内外に満ち満ちていた。ところが、21世紀に入って中国が台頭し、アメリカの実力が相対的に落ちつつある。そういう状況の下で、共和党大統領候補者にも、伝統的な外交政策には全く理解のないドナルド・トランプ氏のような、単に目先の損得勘定で動くようなレベルの人物が出てくるようになってしまった。そうすると、これからのアメリカは、貧すれば鈍するで、もはやこのジェインウェイ艦長のような方針はとれないのかもしれない。]


第7ぁ159回  (惑星クアラ 前編:Workforce, Part I )

総合評価 ★★★★★
 (ストーリー ★★★★★)
 (人間の描写 ★★★★★)


 チャコティ、キム、ニーリックスの3人がシャトルで探査任務に出て帰って来ると、落ち会う場所にヴォイジャーがいない。やっと探すと、星雲の中に隠れていて、ドクター1人が艦長として、機能していた。チャコティとキムがヴォイジャーに帰って事情を聞くと、放射能の高い空間に入って、艦長以下の全乗組員が脱出ポッドで出て行ったという。その時、ドクターが非常時の艦長に任命されたとのこと。その後、ヴォイジャーを狙う異星人の宇宙船が幾つも現れたので、交戦して、星雲の中に逃げ込んだと語る。

 4人が協力してヴォイジャーを直し、とりあえず必要な機能を回復させた。周囲の星系をスキャンしたところ、ヴォイジャーの乗組員がいる惑星クアラを見つけた。その星に向かったが、着いてみると行政当局は非協力的で、いったん撤退を余儀なくされた。ニーリックスがその星に出入りする船に聞いたところ、この星系では特に熟練労働者が慢性的に不足しているようだ。

 惑星クアラでは、ヴォイジャーの乗組員は、いずれも中央発電所で働いている。病院で神経操作をされ、出身地などは覚えているが、ヴォイジャーの乗組員だった記憶は消されていて、代わりにここで働くのは幸せだと思い込まされていた。ジェインウェイ艦長、トゥヴォック、 トレスは発電所コントロールを、セブンは管理者補佐を、管理者に反抗したパリスは首になってバーで働いていた。トゥヴォックはヴォイジャー時代の記憶を断片的に思い出してセブンに植え付けたが、自身は精神的に不安定ということで病院送りになってしまった。ジェインウェイは、中央発電所の同僚と仲良くなり、同棲するまで親しくなる。

 チャコティとニーリックスは、惑星クアラの中央発電所に応募して職員となり、状況を探った。トレスを確保し、ニーリックスとともにヴォイジャーに転送して記憶を思い出してもらうようにした。チャコティはその場から逃走するが、撃たれて負傷した。

[ まずは、よくこのようなストーリーを思い付くなと感心する。とても出来の良いエピソードである。]


第7ぁ160回  (惑星クアラ 後編:Workforce, Part II )

総合評価 ★★★★★
 (ストーリー ★★★★★)
 (人間の描写 ★★★★★)


 惑星クアラで負傷したチャコティはジェインウェイの部屋に行き、艦長の記憶を思い出してもらおうとするが、艦長の同棲相手が疑って捕まり、これまた病院送りとなる。しかしその直前に、捜査官に対して「ヴォイジャーの乗組員が捕まり、病院で記憶を操作されて働かされている。」と叫び、捜査官は不審に思う。

 中央発電所では、トゥヴォックに刺激されたセブンが、昔の場面を頻繁に見るようになり、自分はここにいて良いのかと疑うようになる。ジェインウェイ、パリス、セブン、捜査官が集まり、対策を話し合った。その結果、中央発電所に侵入してバリアを解除することになった。そして、乗組員をヴォイジャーに転送する計画である。

 ヴォイジャーでは、クアラの宇宙船に襲われるが、最初はドクター艦長の活躍でその覚えている戦術で撃退するが、次第に手に負えなくなった。そこでキムが、脱出ポッドを3個打ち上げ、その中に爆薬を仕掛けておいた。それを取り込んだクアラ船は爆発に巻き込まれて、難を逃れた。ホログラムより人間に一日の長があったということである。

 一方、病院では、若手の医師がベテランの医師の診療記録を見て不審に思う。同じ日に100人を超える診療をし、いずれも中央発電所に送り込まれていたからだ。ベテラン医師はそれを認め、「労働力不足のときのやむを得ない措置で、経済のためにもなるし、収入にもなる。」という。大臣、中央発電所長、病院長、捜査局長を巻き込んだ一大スキャンダルだったのである。

 中央発電所では、ジェインウェイが同棲相手の協力でバリアの解除に成功し、ヴォイジャーの乗組員全員が戻ってきた。ベラナ・トレスの例にならって、記憶を取り戻してもらった。惑星クアラ上では、関係者が皆捕まった。ジェインウェイの同棲相手は中央発電所の管理者に昇進したので、この星に残ることにした。

[ 潜入したチャコティに降りかかる数々の困難、ジェインウェイとセブンの活躍、トム・パリスとベラナ・トレスの関係、キムとにわか艦長のドクターのやり取りなど、どれをとっても面白い。]


第7ァ161回  (セブンの恋人:Human Error )

総合評価 ★★★☆☆
 (ストーリー ★★★☆☆)
 (人間の描写 ★★★☆☆)


 セブンがホロデッキで、新しい部屋にステキなドレスを着てピアノを弾き、チャコティと過ごすホロプログラムに夢中になり、仕事を忘れるほどだった。その頃、ヴォイジャーは亜空間の射撃練習場に迷い込み、いきなり現れる弾道ミサイルを避けるのに四苦八苦していた。セブンの天体ラボがその予測に不可欠で、セブンがいないとミサイルを避けられないのに、天体ラボから席を外してジェインウェイ艦長に注意される始末である。セブンが、もうこのプログラムを止めようとしてホログラムのチャコティと口論をしていたとき、セブンが急に倒れてしまった。ドクターによれば、それはボーグの装置が感情が一定程度以上に上がると脳を停止してしまうからだという。ドクターは、その機能を除去することを提案するが、セブンはこのままで良いと、頑なに拒んだ。

[ セブンが、人間性を取り戻す過程で、色々な困難を乗り越える過程を示している。なかなか、魅力的な女性である。]


第7ァ162回  (Qの問題息子Q2:Q2 )

総合評価 ★★☆☆☆
 (ストーリー ★★★☆☆)
 (人間の描写 ★★☆☆☆)


 ジェインウェイ艦長の前に突然、Qが現れて、横にいる若者を息子だという。この息子Q2は、その行状が余りに酷いので、一時アメーバにされてペトリ皿に入れられていたらしい。だからQは、ジェインウェイに、ここで鍛え直して欲しいという。ところがこの息子Q2は相当のワルで、超能力を使ってニーリックスの口をふさぎ、セブンを裸にし、異民族どうしを戦わせるなどその他諸々の悪戯や酷いことをしたことから、ジェインウェイが怒り心頭に達した。父親のQも同様で、Q2の超能力を奪い、ヴォイジャーにいる7日間で更生しなければ、アメーバに逆戻りさせると言う。

 Q2は、少しは真面目に過ごしたものの、5日目が過ぎた頃に、友達のイチェブを誘ってデルタ・フライヤーで宇宙に飛び出した。そこへ現れた異星人に攻撃され、イチェブが重傷を負った。Q2はいったんはヴォイジャーに逃げたが、イチェブの命を救うために再びその異星人のところへ戻り、謝罪していたら、実はその相手がQの変装だった。そういうやり取りの後、Q2は再び超能力を取り戻し、連続体へ帰っていった。

[ 札付きのワル息子を更生させるために押し付けられたときは、どうなるかと思ったが、それなりの常識的な結末となった。]


第7ァ163回  (ドクターのホロノベル:Author, Author )

総合評価 ★★☆☆☆
 (ストーリー ★★★☆☆)
 (人間の描写 ★★☆☆☆)


 ドクターが勇み足でヴォイジャーとその乗組員を思い起こさせるホロノベルを作った。その内容が実に酷くて、ドクターへの差別だけでなく、艦長が患者を殺したりする場面があったりする。これでは、ヴォイジャーがこんなことをしていると、地球で誤解されると乗組員全員が怒り心頭に発し、ドクターに修正を求めた。ドクターは単にヴォイジャーに触発されただけだと抵抗するが、遂に修正に同意し、出版を延期してもらうことにしたが、出版社は約束に反して出版してしまった。ドクターは抗議したが、後の祭りである。

 艦隊本部も気付いて、ジェインウェイ艦長に注意をし、ドクターは出版社に回収を申し入れるが、出版社はドクターはホログラムだから人間ではなく、著作権はないという。ジェインウェイは、裁判を申し入れる。そこで、ドクターがいかに普通の人間と同じであるかを乗組員が入れ替わり立ち代わり裁判官に説明した。裁判官の判断は、「ドクターは人間とは認められないが、実に人間的であり、芸術家と認めて、作品の回収を命ずる。」となった。

[ 非常に困ったことで、現実の人間を容易に思い起こさせる内容であると、そういう内容の小説は乗組員の人格権の侵害として、ヴォイジャーの乗組員の側から出版社に差止めを求められると思うが、ドクターが人間であるかどうかという点に焦点を当てたいということで、こういう筋書きになったのだろう。]


第7Α164回  (フレンドシップ・ワン:Friendship One )

総合評価 ★★☆☆☆
 (ストーリー ★★★☆☆)
 (人間の描写 ★★☆☆☆)


 ヴォイジャーは、地球から300年前に打ち上げられたフレンドシップ・ワンという深宇宙探査機を捜索してデータを回収するように、艦隊本部から指令を受けた。それは、人類が初めて深宇宙に向けて放った探査機で、まだ見ない宇宙の種族との友好親善を図るために、その当時の地球の文化、音楽、技術の詳細の全てを盛り込んだものであった。

 ヴォイジャーが探査機を調べたところ、それがある惑星上にあるとわかった。その地上をスキャンしたところ生命体がいないので、チャコティ、ニーリックス、ケリー中尉が降りた。すると、地上でフレンドシップ・ワンの一部を見つけたが、いないはずの住民に襲われた。彼らは、放射能で汚染された「核の冬」の環境で生きていて、顔や身体に汚染の深刻な影響が見られた。そのリーダーが言うには「地球から送られたこの探査機のせいで、惑星が壊滅してしまった。それまで自分たちはワープ技術など知らなかったのに、この技術のせいで核戦争が起こった。責任をとるため、適当な惑星を探して自分たちを移住させろ。」と言い、地球に対する敵意をむき出しにする。

 そのうちの1人が重症を負ったので、ヴォイジャーに転送して治療を受けさせた。彼は科学者であり、長年、放射能汚染の除去の研究をしていた。一方、地上では妊婦が産気づいて死産したが、パリスの治療で生き返り、ヴォイジャーの医務室に送られた。ところが、地上では、ヴォイジャーを敵視する住民の強硬なリーダーがケリー中尉を射殺してしまった。ジェインウェイ艦長は話し合いを諦めて、トゥヴォックとドクターを送って征圧したが、住民もさすがに強硬なリーダーの言うことを聞かなくなって、ヴォイジャーで治療を受けた科学者を新たなリーダーにした。その後、彼の理論を生かして、ヴォイジャーから光子魚雷を放って、惑星の放射能汚染を除去した。

[ 友好親善のための探査機を送り、逆にその惑星に争いの種を蒔いてしまったというわけで、善意のつもりが逆の結果になった。悲しき結末である。]


第7Α165回  (アボリジニへの道:Natural Law )

総合評価 ★★★☆☆
 (ストーリー ★★★★☆)
 (人間の描写 ★★★☆☆)


 ヴォイジャーはある惑星に着いた。そこで乗組員の大半は、観光に出かけたが、パリスは、宇宙船の航行規則に違反したということで、操縦講習を受けるように命じられた。チャコティとセブンは、ある惑星での会議に出席するため、シャトルで急いでいたが、その惑星の一部の地域を覆うエネルギーバリアに衝突して、その中に墜落してしまった。中はジャングルで、原始的なヴェンツー族が住んでいた。とても素朴で親切で、怪我をしているチャコティや、通信しようとするセブンを助けてくれた。セブンはヴォイジャーと連絡をとろうとしたが、シャトルの残骸を集めなければならないので難渋していた。ヴォイジャーはエネルギーバリアの中にシャトルがあると考えて、その惑星の当局に聞くが、何百年も前に異星人が設置して以来そのままで、誰も入れないという。

 ヴェンツー族の世話で、チャコティの怪我は少し回復し、セブンはシャトルの残骸を使って内部からエネルギーバリアを解除することができたが、解除したとたん、惑星当局の調査隊がやってきて、「この部族に教育を与え、この地域を開発する。」という。ジェインウェイ艦長は、ヴェンツー族やその居住区を保護するために、エネルギーバリアを元に戻すことにした。2人を転送し、シャトルの残骸を全て回収しようとしたら、惑星の当局の宇宙船がヴォイジャーを攻撃してきて、転送装置を壊した。そのとき、操縦講習中のパリスが機転を利かして調査隊を回収し、エネルギーバリアの解除装置を破壊して、その地域から抜け出した。

[ まるでオーストラリアのアボリジニに起きた歴史的事実のような話である。白人が入植してきた後、アボリジニは遅れた民族として、場合によっては子供たちを白人の一般家庭で教育するという名目で取り上げられるなどの艱難辛苦の道を歩んだが、このままバリアを閉じないでいると、そういうことになっていたかもしれない。文明と幸福と人間性とは何かについて、深く考えさせられる。]


第7Α166回  (タラクシア人のコロニー:Homestead )

総合評価 ★★★☆☆
 (ストーリー ★★★☆☆)
 (人間の描写 ★★★★☆)


 ある星系で、ニーリックスの同胞であるタラクシア人が500人ほどいるコロニーを発見した。小惑星帯にあり、地下の熱を利用して酸素やエネルギーを供給するシステムを備えている。元々、6隻の宇宙船でやってきて、そのうちの5隻を解体して、これを作り上げたそうだ。ところが、その小惑星にある鉱物を採掘するため、異星人の採鉱船がやってきて、立ち退きを迫っている最中だった。ニーリックスは深く同情する。

 立ち退きのため、ジェインウェイ艦長はヴォイジャーで近くの居住可能な惑星までタラクシア人全員を運ぶつもりでいたが、ニーリックスはその近辺に高度な文明を持つ星があるため、また立ち退きを迫られることを心配した。そして、今の小惑星にバリアーを張って、ここに定住する道を選んだ。採鉱船の妨害にもかかわらず、バリアーを張り終えたことから、採鉱船は手を出せなくなり、去っていった。ニーリックスは、悩んだ末、ここに残ることにした。それは、ヴォイジャー乗組員にとっても、ニーリックスと永久に別れることだった。

[ コック、異星人との交渉役、皆を元気付ける役、ナオミ・ワイルドマンの名付け親など、ヴォイジャー乗組員に親しまれたニーリックスとの別れである。]


第7Α167回  (ドクターの変身:Renaissance Man )

総合評価 ★★☆☆☆
 (ストーリー ★★☆☆☆)
 (人間の描写 ★★★☆☆)


 ジェインウェイ艦長とドクターがシャトルの船外任務に出ていたとき、異星人船に襲われた。異星人はヴォイジャーを狙っていた2人組で、ヴォイジャーのワープコアを奪って売り飛ばす計画である。艦長は異星人船に留め置かれ、その命と引き換えにドクターにヴォイジャーのワープコアを放出させて、持ってこさせる計画である。ドクターはまず、ジェインウェイ艦長の姿に変身して、次々に指令を出す。それを疑ったチャコティ副艦長を眠らせて死体置き場に置き、自らチャコティに扮してその場を切り抜けた。キムも疑ったので、同じようにした。トレス中尉にも扮して、異星人の言う通り神経ニューロ回路のジェルパックを入手した。こうして、乗組員に次々に変身していったので、トゥヴォックが不審に思い、とうとうドクターが変身していることを見抜いた。

 ドクターは、ヴォイジャーのワープコアを放出させ、それを牽引して異星人船に持っていくが、異星人は約束を果たさずにドクターをジェインウェイ艦長とともに拘束してしまった。ヴォイジャーでは、異星人船の位置を検知してシャトルで向かい、異星人を攻撃して艦長とドクターを取り戻した。ヴォイジャーに戻ったドクターは、オーバーロードでプログラムが消えかかっていたので、初期化されてしまうかもしれないと心配して、その前にと、あらゆることを告白してしまうが、これで多くの友人を失いかけた。

[ 一種の喜劇仕立てのエピソードである。]


第7А168回  (ゲームの終わり:Endgame )

総合評価 ★★★★★
 (ストーリー ★★★★★)
 (人間の描写 ★★★★★)


 ヴォイジャーは、デルタ宇宙域に飛ばされてからアルファ宇宙域の地球に向けて23年間の苦難の航海の末に、ようやく地球に戻ってきて、それから更に10年が経った。ジェインウェイ提督は、ヴォイジャーの元乗組員のことを思うにつけ、その心を痛めていた。船外任務で亡くなったセブン、セブンを亡くしてから別人のようになったチャコティ、アルファ宇宙域での治療が受けられずに精神に異常をきたしたトゥヴォック、その他デルタ宇宙域で死亡した22人の乗組員のことである。そこで、過去へと時間をさかのぼって歴史を変えてしまうことを決意した。まず、クリンゴン人と交渉して時間を遡る部品を入手し、ボーグ兵器に対抗できる装甲と武器を装備したシャトルを用意して出発した。今や艦隊の宇宙艦の艦長に昇進したハリー・キムの協力も得て、16年前のヴォイジャーの位置に、時間を遡った。そのときヴォイジャーは、ボーグが持っているトランスワープのハブ基地の近くにいた。この基地はボーグが全宇宙に持っている6つのハブ基地の1つで、このトランスワープ回廊を通ればアルファ宇宙域にまで一瞬で移動できる。

 キャスリン・ジェインウェイ提督は、未来のシャトルに乗ってヴォイジャーの前に現れた。そして、ジェインウェイ艦長に、未来の自分であると理解させ、ヴォイジャーに装甲と対ボーグ兵器を備えさせた。準備を整えた上で、ボーグのハブ基地に向かったが、突入の前にジェインウェイ艦長がこれはボーグの最重要基地であることを知り、突入を止めて反転した。そして、上級士官全員を集めて、「これはボーグに大打撃を与える絶好のチャンスである。これを破壊しながら無事に帰還するというのは至難の技だが、私はやりたい。しかし、1人でも反対するなら、中止する。」という。すると、ハリー・キム少尉が「やろう。艦長についていく。」と言い、皆が賛同した。提督と艦長の2人のジェインウェイが話し合い、危険を伴うが、基地の破壊と地球への帰還を同時に目指す計画を実行することになった。

 ジェインウェイ提督は、未来のシャトルで単身、ボーグのハブ基地に突入した。ボーグ・クイーンのキューブのすぐ側にシャトルを置き、未来の技術で自分のホログラムをクイーンの前に出現させて、クイーンと交渉しようとした。提督はヴォイジャーのアルファ宇宙域への安全な帰還を求め、クイーンは未来のシャトルの技術の提供を求めた。ところがその交渉の間、ボーグは提督のシャトルの位置を突き止めて提督をクイーンの前に転送してしまった。もう交渉の余地はなく、クイーンは自ら提督を同化した。勝ち誇るクイーンだったが、しばらくして意識が遠のき、ふらつき始めた。それどころか、腕がもがれ、脚がとれた。ジェインウェイ提督を同化した際、提督が持っていたボーグへの神経毒がクイーンを侵した。つまり、提督は自らの身体をボーグへの生物兵器にしていたのである。

 その頃、ヴォイジャーは、ボーグのハブ基地にあるアルファ宇宙域に通じているトランスワープ回廊の中に突入した。ボーグ・クイーンに毒が回るにつれ、回廊が崩壊し始める。ヴォイジャーにボーグのスフィア(球形戦艦)が迫り、これに撃たれてヴォイジャーのシールドがダウンした。ヴォイジャーがスフィアの中に呑み込まれた。ボーグ・クイーンも、身体がバラバラになって事切れた。その頃、アルファ宇宙域では、地球からわずか1光年のところに亜空間の穴が開き、ボーグのサインを検出したと大騒ぎをしていた。パリス提督は、近くにいる宇宙艦隊の船を大急ぎでかき集め、出口付近で待機させた。待ち受けていたその時、ボーグのスフィアが出てきたが、艦隊の十数隻の船が見守っている中、大爆発を起こし、その中からヴォイジャーが出てきた。驚くパリス提督に、ジェインウェイ艦長が話しかけた言葉は、「提督、驚かせてすみません。次は、連絡します。」。そのとき、パリスとトレス夫妻に、赤ちゃんが産まれた。

[ アルファ宇宙域への即時帰還と、ボーグへの攻撃という、本来はどちらも不可能に近い難題である。それを、提督の捨て身の決断と攻撃で、二兎を追い、その二兎とも物にしてしまった。ヴォイジャー・シリーズの最後を飾るにふさわしい最高のエピソードとなった。]






(2016年8月7日記)




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