潮来あやめ祭り 2022年

潮来花嫁さん


 潮来あやめ祭りを見に行った。前回は平成21年(2009年)に行ったので、それから13年ぶりの再訪となる。しかし、今回は新型コロナウイルスの第6波がまだ収まりきらないうちに、いささか無理して3年ぶりに開かれたお祭りである。そのためか前回のような地元婦人会による「あやめ踊り」や小学生の「ブラスバンド」あるいは「御神輿」などという人が集まるような晴れがましい出し物は一切なかった。それらに替えてただ「潮来花嫁さんの嫁入り舟」があっただけである。

 しかしそれでも、このお嫁さんを乗せて手漕ぎの舟がエッチラ、エッチラと水郷地帯をのんびり行く姿は、これぞまさしく日本の原風景という趣きがある。花嫁さんは勿論美しく幸せいっぱいだったし、あやめも、実に綺麗だった。 

潮来花嫁さん


潮来花嫁さん


潮来花嫁さん


潮来花嫁さん


花菖蒲


花菖蒲園


潮来の伊太郎


花菖蒲


花菖蒲


花菖蒲園


娘船頭さん


潮来花嫁さん


潮来花嫁さん


潮来花嫁さん








 潮来あやめ祭り(写 真)






(2022年6月5日記)


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六義園の紅葉の外れ年

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 今年もまた、六義園の紅葉を観て、晩秋を味わおうと行ってみた。ところがどうだ・・・いつもの真っ赤な紅葉がない。こういうことがあるのかと、驚いたくらいだ。夜にはライトアップもあるからそれまで残ろうと思って午後遅くに行ったのに、全く、期待外れだ。しかも、池にはいつも群れているはずの寝癖鳥(キンクロハジロ)が全然おらず、鴨がいて、しかもその数はわずかだ。いったい、どうなっているのだろうと思う。気象異常で夏が暑過ぎたのか、それとも最近の朝晩があまり冷えないからか、よくわからない。このままでは、紅葉するまでもなく、葉が散ってしまいそうだ。

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 でも、池に出てみると、池面に青い空が反射して、実に美しい。この池の左手には、小さな石組みがあって、その上にこれまた小さな松が生えていたのだけれど、東日本大震災でそれが崩れてしまった。4年前の3月のことだ。それが、今日見たところ、しっかりと修復されていて、松の木が戻っている。結構なことだ。

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 さて、肝心の紅葉だが、たいていの紅葉の木は、同じ木の中で3分の2がまだ緑色のままで、残る3分の1が少し色づいている。これでは、写真にならないではないか・・・おやおや、あちらにすべてが紅葉している木がある。近づくと、ハゼの木のようだ。漆の木の仲間だから、漆と同様、一面に色づく。かぶれるから、近づいてはいけない。紅くなっているのは、この木だけだ。異常な年である。

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 六義園の紅葉の外れ年(写 真)






(2015年11月28日記)




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国営昭和記念公園の秋 2015年

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 晩秋の季節がやって来たので、また今年も立川の国営昭和記念公園の紅葉を見に行ってこようと出かけた。いつもここは、銀杏の黄葉が見事だ。ところが、残念なことに、銀杏の黄葉は終わりかけ、その一方、楓の紅葉には少し早いという端境期だったので、いささかがっかりしたものの、それなりに広大な景色と紅葉と青い空を楽しんだ。

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 なかでも、立川口から歩いてきたところにある噴水と、青い空に広がる白い雲の組み合わせが美しかった。また、公園のバーベキュー広場にある背の高い「皇帝ダリア」は、威風堂々としていて、これまた良い眺めだった。その脇にあった箒を上にしたような南米産のパンパス・グラス(銀葦)(シロガネヨシ)は、ススキの大型のような草で、大きいだけでなく、穂が美しい。日本庭園の中の紅葉が、赤く色づき始めていた。

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 国営昭和記念公園の秋(写 真)





(2015年11月23日記)


カテゴリ:写 真 集 | 21:01 | - | - | - |
古河庭園の春薔薇

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 古河庭園の春薔薇(写 真)


007 ビックドリーム

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013 紫 雲

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024 ダイアナ

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030 フロージン82

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036 ローラ

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040 インカ

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053 きらり

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057 カーディナル

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063 初 恋

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076 リオサンバ

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077 リオサンバ

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084 クリスチャン・ディオール

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092 朝 雲

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093 朝 雲

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112 ユキサン

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113 ライラック

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124 熱 情

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141 丹 頂

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146 アンネフランク

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163 ソニア

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170 コンラッドヘンケル

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(注)花名の番号は、上記の写真集の中の番号。




(2014年5月18日記)


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世界らん展 2012年

面白いパフィオぺディラム


 東京ドームで開かれた世界らん展 2012年に行ってきた。これで世界らん展に行くのは、2001年2005年2008年2010年に次いで5回目であるが、最近では1年おきに通っていることになる。今年は、ディスプレイ審査部門と、フレグランス審査部門がよかった。もちろん、個々の花を展示する審査部門も、いつもの通り素晴らしかったけれど、何回か見ているうちに、本当に良い花しか目に入らなくなったのは、少し残念なような気がするが、一方で目が肥えたのかもしれない。でも、以前から面白いと思っていたパフィオぺディラムの種類が増したようで、その展示コーナーではじっくりと見てしまった。

今年の日本大賞受賞者大塚初枝(茨城県)作出のデンドロビューム属ノビルハツエ


 今年の日本大賞受賞者は、大塚初枝(茨城県)作出のデンドロビューム属ノビル‘ハツエ'ということで、たくさんの花がついていた。確かに、これは豪華絢爛というところである。ところで、この大賞を昨年も含めて3回も受賞したという記録ホルダーで、かつNHKの園芸番組などで懇切丁寧な解説をしていただいた江尻光一氏が昨年の5月にお亡くなりになっていたようだ。心からご冥福をお祈りしたい。

ディスプレイ審査部門


ディスプレイ審査部門


ディスプレイ審査部門


ディスプレイ審査部門


ディスプレイ審査部門


ディスプレイ審査部門



 ところで、フレグランス審査部門では、とても良い蘭の香りがあたり一帯にただよっていて、それを吸い込んだ上に、よせばいいのに、ひとつひとつの蘭の花に自分の鼻を近づけて、またその芳香を体に取り入れてしまった。するとその日の晩から、くしゃみと鼻水に悩まされることになった。これって、花粉症になったのか、それとも単に風邪をひいただけなのか、気になるところである。

【後日談】その後、1週間して症状がほぼ治まってきたから、どうやら風邪だったらしくてほっとした反面、あまりに花の香りを吸い込みすぎて一時的に花粉症になったのではと、今でも疑わしく思っている。

カトレア


カトレア


パフィオぺディラム


パフィオぺディラム


パフィオぺディラム


パフィオぺディラム


ファレノプシス


ファレノプシス


ファレノプシス


ミニチュアディスプレイ審査部門


ミニチュアディスプレイ審査部門



 ところで、この写真集では「その他のラン」としてしまったが、あの儚げな女性を思わせるリカステはともかくとして、私は未だにデンドロビュウム、シンビジュウム、オンジュウムの区別がよくわからない。これに、日本のセッコクなどが加わると、もう途方に暮れるというのが正直なところで、やはり一年おきに世界らん展に来るというくらいでは、この程度かもしれない。実は、その世界らん展でも、カトレア、パティオペディラム、ファレノプシスなどと定番の花を見た後にこれらの花を見ることになるから、もうその頃には疲れ果てていて、詳しく名称を確認する気力が残っていない。

 Web上の図鑑で調べると、デンドロビュウムはこの「その他のラン」中の073と075番の花、シンビジュウムは「その他のラン」中の068と069番の花、オンジュウムは黄色でいっぱい咲いている花で「その他のラン」中の034と035と094番の花であることがわかった。そのほかのランは、その写真を撮るときに併せて脇に於いてあるネームプレートをひとつひとつ撮っていけばいいのだが、それでは撮影に倍の手間がかかるので、大変だ。また、次回の課題にしよう。



リカステ










 世界らん展 2012年(写 真)は、こちら



(2012年 2月24日記)


カテゴリ:写 真 集 | 11:31 | - | - | - |
六義園の紅葉 (写 真)

 六義園の紅葉(写 真)は、こちら


六義園の入り口


六義園の池


六義園の池


六義園の松


六義園の緋鯉


六義園の紅葉


六義園の紅葉


六義園の紅葉


六義園の松


六義園の紅葉


六義園の雁を水面下から見上げる鯉


六義園のススキ


六義園の空


六義園の紅葉


六義園の落ち葉


六義園前の文京グリーンコートのクリスマス







 六義園の紅葉(前 年)は、こちら

 六義園の紅葉(前々年)は、こちら




(2011年11月25日記)


カテゴリ:写 真 集 | 23:04 | - | - | - |
古河庭園の秋薔薇

 また今年も、駒込の旧古河庭園に行き、秋の薔薇を撮ってきた。ご覧いただければ幸いである。

 古河庭園の秋薔薇 2011年(写 真)は、こちらから。

 古河庭園の春薔薇 2010年(写 真)は、こちらから。






古河庭園の秋薔薇フェスティバル


古河庭園の秋薔薇


古河庭園の秋薔薇


古河庭園の秋薔薇


古河庭園の秋薔薇フェスティバル


古河庭園の秋薔薇


古河庭園の秋薔薇


古河庭園の秋薔薇


古河庭園の秋薔薇フェスティバル


古河庭園の秋薔薇


古河庭園の秋薔薇


古河庭園の秋薔薇





(2011年10月29日記)


カテゴリ:写 真 集 | 22:55 | - | - | - |
千鳥ヶ淵の桜 2011

千鳥ヶ淵の桜


 東日本大震災からわずか1ヶ月足らずだが、もう何年も経ったような気がするほどである。この間、被災に遭われて命を落としたり、家財一切を流されてしまったり、あるいは原発事故で着の身着のまま生まれ故郷を離れざるを得なかった方々、それから福島第一原子力発電所の現場で身を挺して原子炉の暴走を防ごうとしている人々など、本当に様々な人間模様が繰り広げられた。被災者や避難民、それに放射能汚染の風評被害に遇われている農水産業の方々には、心からお見舞い申し上げたい。

 私は、東京在住であるから、地震で少しびっくりした程度で直接の被害には遭わなかったけれども、この間、仕事を通じて少しは被災地の皆さんに貢献できたと思っている。それに、原発の事故ではヤキモキしていささか疲れた。そこで、というわけでもないが、気晴らしに、皇居の桜の名所である千鳥ヶ淵を散歩してきた。単にサーっと通り過ぎただけだが、それでも一年ぶりの桜を堪能した。まずは、写真をご覧いただきたい。

千鳥ヶ淵の桜


千鳥ヶ淵の桜


千鳥ヶ淵の桜


千鳥ヶ淵の桜


千鳥ヶ淵の桜


千鳥ヶ淵の桜


千鳥ヶ淵の桜


千鳥ヶ淵の桜


千鳥ヶ淵の桜








 千鳥ヶ淵の桜(写 真)は、こちらから。



(2011年 4月 6日記)


カテゴリ:写 真 集 | 22:21 | - | - | - |
石神井公園の秋

石神井公園の東端


 石神井公園は、練馬区のやや南に位置する。私たちはそのすぐ南の杉並区に住んでいたことがある。ちょうどその頃は、私たちの息子が小学生であったが、その入っていた少年野球チームが試合をするというので、親子でこの公園の東側の道路を通り、少年野球場まで足を運んだことがある。しかし、そのときの印象は、住んでおられる方には申し訳ないが、いかにもうら寂しい公園というものだった。そのためか、それ以来、隣の区に住んでいながら進んで来ようとは思わなかった公園である。ところがそれから20年以上の歳月が経ってみると、この公園は都内でも珍しいほど緑と水があふれる環境で、今やバードウォッチングの聖地になっていると聞き、変われば変わるものだと思った。

石神井公園で過ごす水鳥


 それでは、この公園に、ひとつ秋の風景でも見に行くか、それほど有名なら、あのカワセミが見られるかもしれないと思って、二人で出かけたというわけである。西武池袋線の石神井公園で降り、徒歩でひたすら南下した。バスがあったようだが、乗ることもせずにともかく歩いたところ、10分もしないうちに、公園の東口に着いた。そこには、ボート乗り場があって、池が広がっていた。都の案内板によると、「三宝寺池、石神井池の二つの池を中心とした公園で、園内は起伏に富み、武蔵野の自然がよく残されています。木々に囲まれ静寂な趣の三宝寺池と、ボートで賑わう石神井池のほかに、石神井城跡とこれに関する幾つかの遺跡があります」とのこと。

石神井池のボート


 水辺には、大きな柳の木が生え、水中には緋鯉、そして野鳥の鴨やコサギがいるし、水面には青い空や周囲の緑の木々が映っている。それにこの季節は、紅葉の赤さが目に染み入るようで、それはそれは綺麗な風景だ。そこをアヒルの形をしたボートが行き交う。いやはや、長閑(のどか)という言葉は、このような情景を指すものなのかと思った。それで、我々もその池に沿って周囲を歩き始めた。この池は、石神井池というらしい。その向こうの三宝池が元々の水源で、ここはかつては田圃だったところだという。それが池となって、地図によれば向こうの三宝池と細くつながっているようだ。このまま行くと、その結合部に向かって進むようになるらしい。では、出発してみよう。

石神井池の紅葉


 紅葉を周囲に見つつ、落ち葉をサクサクと踏んで進むと、しばらくして、大木の「メタセコイア(曙杉)」の林が見えてきた。ははぁ、これが生きた化石といわれている木か・・・中学校の時に習った・・・それから半世紀ほどして、初めてそんな知識が役立ったというわけだ。あれあれ、メタセコイアと並んでそれと似たような木で「ラクウショウ(落羽松)」というものがあるらしい。こんな木は、むかし習わなかった。ややこしいことに、木の絵を見ただけでは、ほとんど同じように見えて、その違いがわからない。説明によれば、葉をみるとわかるという。メタセコイアの葉は対生つまり同じ位置から反対側に生えているが、ラクウショウの葉は互生つまり違う位置から互い違いに生えているとのこと。ともかく、20メートルは超えているようなこれらの木が、地面からすっくりと立っているのは、誠に壮観である。

メタセコイアか、それと似たような木「ラクウショウ(落羽松)か」


 石神井池の岸辺に沿って進むと、中の島のようなところが見えてきて、そこから三宝寺池が始まるようだ。水辺観察園なるものがあり、その岸辺にたくさんのカメラの放列があった。ただのカメラではなく、いずれもまるで天体望遠鏡のようなレンズを付けている。素人カメラマンらしき人たちが、それぞれ三脚にカメラをセットしたまま、談笑に興じている。耳を澄ますと、こんなことを言い合っている。「もうしばらく戻って来ないから、昼飯でも食おうか」、「いやいや、あれはちゃーんと知っていて、そういう油断したときに限って、戻ってくるから、イヤになるよな」・・・それでピンと来たのだが、この人たちは、カワセミを撮ろうとしていたのである。これは、「川の宝石」といわれるほどきらびやかな鳥で、くちばしは長く、緑、橙、青、空色などの目立つ色を身にまとっている。小型であるが、すばしこく、川や池に棲む魚を捕るのが得意である。私も一度は撮ってみたいと思わないでもないが、このカメラマンたちの愛用のカメラをみただけで、それはまるで叶わない望みだということがよくわかる。この人たちのそれぞれの望遠レンズの長さは、少なくとも30センチはあろうかという代物で、中には50センチ近くの大砲のようなものまである。これに対して私のオリンパスEP−1に装着したものは超望遠レンズといっても、いくら伸ばしても高々10センチ程度のものに過ぎないから、大人と子供くらいの差があるのである。

絵を描く人


 そういうことで、ここで家内を待たせてカワセミが戻って来るのをのんびり待ったとしても、どうせ豆粒くらいにしか写せないから、それは止めようと思い、その観察園のエリアを抜けた。そうすると、浮島があり、さらに歩くと、そこにはメタセコイア(ラクウショウかもしれない)が池のほとりに何本かすっくと立っていて、その辺りで絵を描いている人がいる。日光が逆光気味だったが、写生位置はちょうどメタセコイアの陰にかくれるようなところである。ううむ、本日の言葉となってしまった「長閑」さを感じる。そのまま池の周りを引き続き巡っていくと、池に突き出す形で厳島神社というものがあり、その辺りから池を見ると、空の青さがそのまま池面に投影されて、池全体が青く、しかも雲の部分だけその形に白く映っている。それに、驚いたことに本物の空の青色より、池に映る青さの方が濃くて綺麗だ。その上に池の水面上の細かな波紋が広がっている。他方、池に突き出している形の厳島神社の建物の方を見ると、こちらは水面に緑色が広がっている。いや・・いや・・・これは美しい風景である。

石神井池


石神井公園厳島神社


 そういう調子で、遂に三宝池の周囲を歩き終えて、再び石神井池との結節点に帰ってきた。そこから、アスレチック広場を横目に見ながら、元来た道とは異なるルートで、石神井公園駅へと歩いて戻ったのである。全体に、この公園は、はっきりいえば整備されているとはお世辞にも言えないが、その反面として放っておかれているだけに、田舎の風景にも通じる野性味あふれるところがあって、それが良いと思う人がいることは確かであろう。さもなければ、野鳥なぞ来るはずがないと思うからである。なお、駅までの道すがら、民家の軒先にあった琉金が、可愛かった。

石神井駅ちかくの民家の琉金






 石神井公園の秋(写 真)は、こちらから。



(2010年12月 9日記)

カテゴリ:写 真 集 | 22:53 | - | - | - |
大田黒公園の秋

大田黒公園の銀杏並木


 杉並区の荻窪の南に、大田黒公園というものがある。私たちは以前、杉並区に住んでいたこともあって、ときどきここを訪れていた。とりわけこの季節は、入り口から続く巨大な銀杏並木と、日本庭園の池の周りにある紅葉やハゼの木の紅葉が素晴らしい。それもそのはずで、ここは大正から昭和にかけて活躍した音楽評論家であり、文化功労者であった故大田黒元雄氏の屋敷の跡地が元になって整備された公園である。大田黒元雄氏は裕福な家庭に生まれてロンドン大学に留学するなどしたが、経済を勉強するかたわら西洋音楽についても学び、帰国してからモーツァルト、ドビュッシーなどを次々に紹介し、啓蒙家としての役割を果たしたという。

大田黒公園の紅葉


 その大田黒元雄氏が長年住んでいたのがこの荻窪の台地で、自然の地形を生かして回遊式日本庭園を備えている。いかにも和風という趣の正門を入ると、白い御影石を敷いた路が数十メートルも伸びていて、その路の左右には樹齢が70〜80年といわれる銀杏の大木の並木が続く。とりわけこの季節になると、銀杏の葉が真っ黄色に美しく色づいて、しかもその独特な匂いがあたりに満ちている。その路をたどっていくと、池があってその中に東屋が突き出している。池の周囲には、真っ赤な紅葉が今が盛りと燃え上がるようであり、池の中の赤い緋鯉よりも更に赤みが勝っているのはすごい。

大田黒公園の紅葉


その東屋で、しばし腰を下ろして休みをとった。ああ、池の向こう岸には、紅葉の赤とちょうど対比色となる緑色の芝生が一面に敷き詰められている。その中には、あちらこちらに赤松、楢、欅などの大木が地面からにょきにょき生えている。その間を、傾いた太陽から放たれた木漏れ日がきらめく。こういう家に住んでいると、創作意欲が湧いてくるのも宜なるかなという気がする。

大田黒公園の西洋家屋


 東屋から出て、樹木が鬱蒼と茂るそちらの方へと進んでいくと、煉瓦色をしたの西洋家屋がある。こちらが、大田黒さんのかつての仕事場だったようで、ピアノ、レコード、蓄音機などが並べられている。暖炉の上には、太田黒さんと奥様らしき美人が写っている写真が飾られている。なかなか、知的な容貌の方だったようだ。心の中で、写真の大田黒さんに挨拶をして、その建物を後にした。

大田黒公園の暖炉






 大田黒公園の秋(写 真)は、こちらから。



(2010年11月27日記)

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