ランという花
2007.04.09 Monday | by 悠々人生
近くの東京ドームでは、毎年2月頃になると「世界らん展」という催しが行われる。それには、色とりどり、形がまちまちな数々のランが出展されて、日がな一日歩き回ってもまったく飽きることがない。写真ではわからないだろうが、会場は、ランの花から出る甘酸っぱい香りに包まれている。
それにしても、これらがランという同一の種であるとは、驚きである。たとえば天使のスリッパといわれるパフィオペディラムと、「カトレアのように愛らしく」のカトレア、それに贈答用に使われるファレノプシスとでは顔かたちがぜんぜん違う。優勝した花のデンドロビュームも同じ種で、高山の冷気の下でだけ咲く花だといわれても、にわかには信じがたいほどである。
聞いたところによると、なんでもランという花は約3500万年前に熱帯雨林に出現した。花の中では新参者であったから、ランが誕生した頃には熱帯雨林のめぼしい場所は、既に他の植物に占められていた。そこでランがとった戦略は、色鮮やかな花弁や匂いで虫たちを引き付け、特異な形をした構造物で虫の体に花粉を付けて遠くに飛ばすことだったという。それでこの美しい色と形と香りが生まれたらしい。
世界らん展
(2007年4月9日記)