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徒然106.ピンクの家
自宅近くに出現したピンクの家


 自宅近くに、ある日突然、ピンクの家が出現した。それは本当に急なことで、空地だった場所に家が新築されているなぁと思っていたところ、たった2〜3日で、その家がピンク色に塗られてしまったのである。ご近所の皆さん、あれれーという感じで、開いた口がふさがらなかったというのが真相である。ちなみに、その家は住宅地にあり、別に大きな道路に面しているわけでもない上に、家の前の道路が傾斜していて、決して商売に向いているわけでもない。

 ところがその家は、ピンクの壁だけでなく、家の前の柵を黄緑に塗り、そこにポットに入れたお花を置き、小さな庭にはテーブルとチェアを並べて、なんとまあ、喫茶店を始めたのである。そこだけを見れば、確かにそれらしくはなってはいるが・・・、どういう人がお客さんになるのかと思ったものである。しかしながら、案の定というか、やはりというか、立地がどうにも悪くて、お客さんが入っているのをほとんど見かけなかった。

 それから何年か経ち、気が付いてみると、その家の壁はピンクからべージュ色に塗り替えられて、周囲に溶け込むようになった。どうやら、持ち主が替わったようで、それとともに喫茶店ではなくなり、普通の住宅となった。ご近所の皆さんとは、寄るとさわると、あのケバケバしいピンク色は、いったい何だったんだろうか、経営者はどんな人だったのだろうかなどと、未だもって話題となる。

 さて、それから更に数年がたった昨日、テレビの旅行番組を見ていた。それは、見知らぬ外国の街をプラプラ歩くというもので、テレビカメラが街を写して回るという番組である。その日の場所は、
ブルネイのバンダル・スリ・ブガワンである。私もかつて行ったことがあるので、懐かしく思いながら映像を目で追っていた。カメラは、ブルネイ川の河口に位置する水上集落に入って行った。こちらでは、500年にもわたって川の水の上に住宅を建てて住んでいて、今では水上に学校やらモスクやら病院やら、なんでも揃っている。これらの建物や住宅どうしは、木製のブリッジでつながっていて、それをたどっていけば、どこにでも行ける。

 そういう調子で、家々をカメラが訪ねていたときに、なんと、真っピンクの家があり、家の主らしきおじさんが、ちょうどそのピンクの塗料を塗っている途中であった。私が、近所にあったピンクの家を思い出してしまったのは、いうまでもない。そこで、レポーターがそのおじさんに話しかけた。

レポーター「おじさん、家を塗り替えているんですか?」

おじさん 「ああ、ラマダン(イスラム正月)だからねぇ。きれいにしないと。」

レポーター「それにしても、すごいピンク色ですね。」

おじさん 「これ、家内の趣味なんだ。俺は、ただ塗るだけさ。」

レポーター「はははっ」

というやりとりがあり、私は、ああこれだなと、妙に納得してしまったのである。



(2008年11月2日記)
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