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徒然113.愛妻弁当のお話
「素材ダス」のお弁当のイラスト


 近頃は、アメリカのサブプライム問題に端を発する景気の急な減速で、昭和初期の大恐慌の再来かと騒がれている。法律ならともかく、国際金融についてあまり知識のない私としては、こればかりは、何の見通しも持ち得ないので、実物経済への影響の軽からんことを、ただ単に祈るばかりである。

 さて、そういう厳しい経済状況の中にあるせいか、私の職場でも、奥さまの手弁当組が増えたような気がする。いや、ただ新婚組の数が多くなったからだという説もある。そのような新婚で手弁当組のひとりであるAくんが、こんな話をしてくれた。

 彼は、毎朝、奥さまに手弁当を作ってもらい、それを職場に持ってきて、お昼に食することを習慣にしている。いわゆる、愛妻弁当であるが、職場の中ではまだまだ新参者である。そのお弁当箱は、上下二段となっていて、上段がおかず、下段がご飯というものである。あるとき、奥様は、下段にあるご飯の方に、海苔を使って、「I Love You」と、ハート・マークを描き、旦那さんに持たせたそうである。それを開けたときに、愛する旦那さんをびっくりさせようという趣向である。

 さて、その日のお昼に、その愛妻弁当を開いたAくんは、その文字にもハートにも、ぜーんぜん気がつかなかった。どうやら、海苔がふやけてベチャベテャになり、上段の弁当箱の裏にくっついてしまったようなのである。そういうこととは知らないAくんは、日頃の習慣となっている、お弁当の箱洗いのときにも、その愛の印に全く気付かなかったという。

 その日、家に帰ったAくん、奥さまから「きょうのお弁当、どうだった?」と聞かれて、キョトーンとして、「ああ、おいしかったよ。いつものように」と答えた。すると、「それだけ? ほかに言うことないの?」と、大いに怒られたそうなのである。

 それ以来、Aくんは、食べ終わってその弁当箱を洗うたびに、しっかりと箱の底を確認しているそうな。

・・・・ああ、やはり、ウチの職場は、家内がいつも言うように、「本当に、あなたのところって、現代の桃源郷ね!」ということかもしれない。世の中が、やれバブルだ、平成の花見経済だと浮かれているときも、まったく関係がなく何の恩恵にも与れなかったし、その逆に最近のようにやれ大恐慌の再来だとなっても、どこかピンと来ていなくて、相変わらず、墜落しない程度に低空飛行を続けている。良いような、悪いような・・・。まあ、悪くはないか・・・。



(2008年12月16日記)
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