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タイの思い出


 日本がとても寒い季節になると、ふと熱帯の国々のことを思い浮かぶ。年末に、ちょうどテレビ番組でタイの反タクシン派による空港占拠のことが取り上げられていたので、タイのことをたまたま思い出した次第である。もう3回ほど行ったことがあるが、そのうち最初の2回は会議に出席する仕事で、最後の旅は家内と一緒のプライベート旅行だった。その頃は、私の友達がタイで働いていたので、そのご夫婦を訪ねたのである。

 飛行場から出ると、いやまあ、その暑いこと暑いこと。太陽の光の強さが尋常ではない。日本の夏の真っ盛りのようである。赤道直下だから当然とは思うが、シンガポールより赤道から北へ離れているのに、シンガポールを上回る暑さとは、なかなか信じがたいほどである。湿気もそうとう高いという気もした。

 実は、私は日本では名古屋にも住んでいたことがあるが、名古屋の夏も、ひどく暑かった。8月には、道路のアスファルトが溶けてぐちゃぐちゃになるほどだ。東京に来てそんなことを人に話したら、にわかには信じてもらえなかったが、理科年表を見ると8月の名古屋の気温は、鹿児島のそれよりも高かった。なぜだろうと思っていたのだが、ある学者によれば、「伊勢湾を見てごらんなさい。南から北へと、湾が大きく食い込んでいるでしょ。こういう海岸地形は、夏に暑くなりやすいんですよ」ということだった。肝心の理由は聞き洩らしたが、そういう観点でいけば、バンコクのあるシャム湾も、ちょうど日本の伊勢湾のような地形である。だから、暑いのかもしれないと思ってしまった。

 バンコクで面白かったことはいろいろとある。思いついたままに挙げていくと、まず、ほかでは経験できないようなゴルフをしたことである。ご承知のように、ゴルフはフォア・サムといって、4人ひと組でプレーするのが原則である。人数が足りなかったり4で割り切れないときには、ツー・サムとかスリー・サムもあり得るが、5人以上というのは、決して有り得ないことになっている。日本はもちろん、アメリカやイギリス、フランス、ドイツでもそうだった。ところが、このタイの首都圏のゴルフ場だけは、なんと、シックス・サムまでよいというのである。つまり、ひと組のプレーヤーの数が、6人もいたりする。

 これだけでもすごいことなのに、それに加えて、普通ならプレイヤーひとりにつき、せいぜい一人のキャディさんということになっているが、ここでは、フォア・キャディつまり先を歩いてくれて、球の飛び先を確認してくれる人、ゴルフ・バッグを担いでくれる人、傘と折り畳み椅子を担いでいってティー・グラウンド上の待ち時間にはそれを差しかけてくれたり、椅子を開いて座らせてくれる人、それにコースの説明やらスコアを記録してくれる人と、なんとまあ4人のキャディさんがついてくれる。しかも、全員が若くて(これは本当!)、そして美人? プレイヤー本人を入れれば、都合5人掛ける6組、つまり30人から成る集団が、フェアウェイやグリーン上を練り歩く。しかも、わあわあ、きゃあきゃあと大騒ぎである。それを遠くから眺めると、特にその集団がグリーン上にいるようなときは、あたかも小学校のひとつのクラスが集まって騒いでいるようなもの。これは見もので、思わず笑えてきてしまって、止めようにもなかなか笑いが止まらなかった。

 それに、夜になると、あのタイ式マッサージの洗礼を受けた。基本コースは2時間というので、それは長すぎるからといって、1時間にしてもらった。まずは足裏から始まったが、足裏の一部を押されているのに、それに応じて体のどこかが熱くなる。あれれっ、体のあちこちと足の裏の各部とが繋がっているらしい。次に、マッサージ師が、両手でぎゅうぎゅうと体重を掛けて、足の太腿が押され、それがどんどん上の方へと上がってくる。下肢全体がじんじんとしてきて、なかなか良い気持ちとなる。それを両足ともにやったあと、太腿の付け根を指でぎゅうっとばかりに圧迫する。しばらくして、足先が痺れてきて、もう止めてと言いたくなった頃にそれを解き放つ。すると、温かい波が足先に向けてシューッとほとばしる。ああ、これは太腿の大動脈でせき止められて滞留していた血液が、一挙に走り出たのではないかと推察する。その反面、こんなことをして、体に悪いのではないかと一瞬思ったりするが、マッサージのおばさんは、手を止める様子もない。それから、うつ伏せとなって、足をエックス状に組み合わせ、何やらむずかしい形でしごかれる。おおっ、ちょっと痛い!これは、一歩間違えば、拷問に近い技である。そんな調子で、あっという間に1時間が過ぎてしまった。

 タイ料理は、とてもホット、つまり辛いが、私も一時は東南アジアの住人だったので、多少は慣れている。しかしそれでも、トムヤムクンのスープは辛かった。飲んでいる途中で、息をつごうものなら、ゴホン、ゴホンと噎せ返ってしまう。これには、参った。仕方がないので、息をつがないで一気に飲むと、レモン・グラスのような香草の味がして、なかなかコクと味わいがある。これから、トムヤムクンは、こうやって飲むことにしようと思ったことを覚えている。

 観光スポットとしては、うだるように暑い中で、さらにキラキラと輝いているエメラルド寺院と、寺院の周りに置かれている自由な姿態の仏像が印象的だった。中には、タイ式マッサージを受けているような仏像もあって、とても可笑しかった。これは首都バンコクでの話だが、このほかタイの地方では、プーケット、クラビなどのビーチ・リゾート地の美しさには、定評がある。ぜひ、お勧めしたいところである。

 そのほか、タイでは、レストランやホテルでの、従業員の皆さんの、両手を合わせて拝んでくれるような仕草と、笑顔に感じ入った。微笑みの国といわれる所以であろう。

 以上は良いことばかりだが、悪いことといったら、バンコク市内の渋滞は、常軌を逸していると思ったぐらいで、あまりない。しかし、最近のようなタクシン派と反タクシン派の政治的対立のようなことが続けば、タイにとっては国際的イメージが失墜し、誰にとっても決して得にはならないと思うのだが、どうであろうか。


クラビ・リゾート
 

クラビ・リゾート



 タイの写真は、こちらから。



(2009年1月12日記)
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