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冬ぼたん展
冬ぼたん


 毎年この季節になると、近くの上野東照宮で、冬ぼたん(寒牡丹)の展示会が開かれている。数百本の白、紅、淡紅、紫などという美しい色をした花が、雪除けのワラの囲いの中で大切に展示されている。このほか、4月下旬がら5月上旬にかけても、今度は三千本近い牡丹が展示される春祭りというものがある。そちらの方が華やかではあるが、雪や雲などモノトーンの色が支配する冬に咲く寒牡丹の方が、むしろ見ごたえがあると思う。

 もとより牡丹という花は、花びらが幾重にも重なり、さあこれでもか、これでもか、とばかりに誇示しているような花である。古来「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」というのが美人の姿といわれているが、なるほどと納得する。今でこそ、
洋ランバラ、ベゴニア、それに色とりどりの熱帯花のようなものが入ってきているが、そういう華々しいお花がなかった江戸時代には、牡丹というのは、さぞかし美しいものに見えたに違いない。

 しかし、残念なことに、この寒い季節に屋外に牡丹を展示することには、いかに雪除けのワラの囲いがあるとはいっても、やはり相当に無理があるようだ。現にこの日の牡丹の中で、花びらが無傷のものは、おそらく半分以下だろう。中には痛々しいまでに傷ついていて、どうするのだろうと思っていたら、売店のおばさんは、松江市の大根島に戻すのだという。

 ええっ?ダイコンジマ?それは何だろうと思っていたら、家内が「ああ、この間、松江に行って出雲大社にお参りしたときに、移動の途中に大根島牡丹園というのがあったわ。気がつかなかった? 時間がないので通りすぎちゃったからねぇ」という。聞くと、島根県の中海に浮かぶ島で、出雲風土記に既に「たこ島」として書かれていたとのこと。その名前が、なまりになまって、とうとう「ダイコンジマ」となったそうな・・・。嘘のような、本当の話である。そして、江戸時代より高麗人蔘と牡丹の栽培で有名になったらしい。

 道理でねぇ、上野東照宮で育てているはずもないか。それにしても、谷中や上野や湯島あたりの花まつりというのは、こういう形式が多い。浅草寺のほおずき市、入谷の朝顔市、白山神社のあじさい祭り、
湯島天神の菊祭りなど、いずれも他の地で育てていた鉢植えを持ってきて、見せたり売ったりしているにすぎない。ただ、根津神社のつつじ祭りだけは、参道脇の斜面を利用しているために、庭師を使って一生懸命、自前で整備している。

上野東照宮の五重塔


 ちなみに、この上野東照宮には、家康、八代吉宗、十五代慶喜が奉られている。参道には、五十基の大きな銅燈籠が並んでいて、なかなか壮観である。ただ、妙なのは、上野東照宮の五重塔が上野動物園敷地内にあることで、現在の東照宮の境内からは、近寄ることができないのは、不思議である。何か歴史的な事件でもあったのだろうか。

冬ぼたん


水仙も、咲いていた



(2009年1月17日記)
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