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徒然142.エディンバラの街歩き
 私は、NHKの「世界ふれあい街歩き」という番組が好きで、見逃しそうなときは、近頃買ったブルーレイ・レコーダーに録画をして、必ず見ている。まるで自分が外国の街をぶらぶら散歩しているような感覚で見られるので、とても楽しい。先日、イギリスのエディンバラの街歩きの再放送をしていた(もともとは2006年4月4日放送の番組だったらしい)。いうまでもなく、エディンバラは、スコットランドの首都である。この街は、全体が石造りのいかにも古い歴史を感じられるところで、巻きスカートの伝統衣装キルトを身につけた男達、路上でバグパイプを演奏するおじさん、堅固な城砦の街並み、石畳の街路、石造りの家々などが物珍しい。そういう中で、入り組んだ建物を縫うようにして隣の通りへ抜ける通り道(Close)が造られている。

 そんな薄暗い通り抜けの小道(Close)を通って行った小さな広場のところで、中学生の一団が歴史について学んでいた。説明者でシルクハットを被った先生が、「ここエディンバラのこの界隈では、17世紀には6万人の人口がいたけれど、今では9000人になっている。なぜでしょう?」と問うた。生徒はみんな、首を横に振る。そこで先生は、「当時はペストが流行って、人口が激減してしまったのです。」という。生徒たちはまた「へぇーっ!」と口々に声を上げる。それを聞いて先生は、「実は、当時はペストは空気感染と信じられていて、専門の死体処理人がいたんです。たとばこんな・・・」といいかけたとたん、先生の背後から、白っぽいグレーの衣服に覆われて、鼻から象のように黒いパイプを突き出している人物が、いきなり現れたものだから、生徒たちは「ぎゃーっ!」と叫んで、転がり、逃げまどった。いや、生徒たちでなくとも、それはいかにも不吉な恰好だったので、こちらはテレビの画面の向こう側にいるわけでもないので、心臓がどきりとしたのである。

 ペストは、人類の歴史上で最も猛威をふるった伝染病で、これに感染したネズミから吸血したノミに人間が刺された場合に発症する。皮膚一面に黒いあざが広がって死亡することから、黒死病ともいわれる。そのうち最も一般的な腺ペストの死亡率は、50〜70%にのぼり、稀ではあるが肺ペストに至ってはほぼ100%が死亡するというから、いやはやとてもおそろしい病気である。ただいま世界的に大流行中の豚インフルエンザ(Swine Flu)もかくやと思ってしまいそうだが、幸いにしてこちらの方の死亡率は、ただいまのところわずか0.4%ということであるから、ペストの比では全くない。14世紀のヨーロッパでは、当時の人口全体の3分の1から3分の2がペストで死んだという。ちなみに、ペスト菌を発見したのは、日本人の北里柴三郎の大きな功績である。



(2009年5月22日記)
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