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一眼レフ使い方講座(応用編)
 オリンパス・デジタル・カレッジ講座の午後の応用編の講義に臨んだ。インストラクターは、中年のおじさんで、午前中に後ろに控えていてわからない人への説明に回っていた方である。フィルム・カメラの時代からカメラを扱っていたようで、何でもよくご存じのようである。受講者は、気のせいか、午前の部に比べて女性の数が増えたような気もするし、午前の部の人たちよりも、手を上げて質問する人も増えた。実際に自分で撮ってみて、いろいろとわからないことがあるのだろう。

 最初は、カメラの焦点距離の話から入った。

ワイドに撮る=「広く」「小さく」=レンズのmmの数値が小さい=「広角」
アップで撮る=「狭く」「大きく」=レンズのmmの数値が大きい=「望遠」

「超広角」=21mm以下、「広角」=24〜35mm、「標準」=50mm、「中望遠」=85〜100mm、「望遠」=135〜300mm、「超望遠」=400mm以上 (いずれも、35mmフィルム換算)

 オリンパスのマイクロフォーサーズ・レンズの場合、2倍にすると35mmフィルム換算になるそうで、この換算方法によると現在出ているパンレーキ・レンズは、17mm、F2.8なので34mmの「広角」となる。もうひとつのレンズである14〜42mm、F3.5〜5.6の方は、28〜84mmの「標準」であるが、少し広角寄りということになる。

 いまのところこれ以外には純正レンズはないが、フォーサーズ・アダプターを付ければ広く売られているフォーサーズ・レンズが使えるそうで、雑誌によると次の三つがあれば、14mmから300mmまでをカバーできるそうなので、物覚えのためにここに書いておきたい。

望遠ズーム :ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6、店頭価格31,000円
広角ズーム :LUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 ASPH、店頭価格99,000円
マクロレンズ:ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0、店頭価格68,000円

 これらのレンズで撮った写真を見ていると、望遠レンズは、単に遠いところのものを撮るだけかと思っていたら、たとえば木の幹にとまっているセミを写し出していて、しかもその背景が見事に美しくボケている。そのボケ方も、ぼやけた緑色の中に白い丸い玉がいくつも浮かんでいる幻想的な風景だ。これは良いなぁ・・・たぶん、木漏れ日を利用しているのだろうが、こういう写真を撮ってみたいものだ。まあ、このレベルに至るまでには、相当の数の失敗や試し撮りが必要なのだろう。それに、そういう風景のところに行かなければならない。

 他方、広角レンズは、森の中で見上げて木の葉を撮っているのだろうが、画面いっぱいに葉の大群が迫ってくるように写っている。これはまた別の意味で迫力がある。114度という広大な画角のなせる技という説明で、何のことやらわからないが、要するに画角というか、間口が広いからそれだけたくさんの画像が写るということなのだろう。ただ、他のレンズと比べてお値段が高い。こんな特殊なレンズは売れないからなのかとも思ったが、そうでもないようだ。レンズ数を比較すると、こちらの広角は12群16枚、望遠は9群12枚ということだから、それだけ手のかかるものらしい。

 その点、マクロレンズは、10群11枚であるから、広角と望遠の中間の値段となっているのは、理解できる。ところで先述のマクロレンズは、最大撮影倍率0.52倍ということで・・・それが何を意味するか、まだよくわからないが・・・、ゆりの花の花弁など、これで撮った写真を見ていると、こんな微小の世界を鮮やかに捕らえている。こういう場合に、ピント合わせはS−AF+MF(シングル・フォーカスでピント合わせをした後、半押ししたままの状態で細かいところを合わせるために、マニュアル・フォーカス的にリングを回して微調整をする)を使うのかと納得した。

 レンズの話で思わず手間取ってしまったが、焦点距離の話に戻ると、まず画角についてである。ひまわり畑を同じ位置から写す場合、まず28mm相当では青い空の下に広がる山々と黄色いひまわり畑が写っている。これを50mm相当にすると山が少しと一面のひまわり畑となり、100mm相当では山が消えひまわり畑だけとなってひとつひとつのひまわりが識別可能となり、200mm相当ではひまわりがますます大きくなって、300mm相当ではひとつのひまわりが画面いっぱいに広がるという具合である。さきほどの望遠ズーム・レンズだと、80-300mm相当がカバーできるから、これ一本でこういう写真が撮れるのか・・・。頭で考えると当たり前であるが、こうして実際の写真を目にして比較すると、それだけ理解が深まるというものだ。

 引き続き焦点距離の話であるが、今度は被写界深度と遠近感である。さきほどの画角の場合は、自分のいるカメラの位置を動かさなかったが、今度は自分つまりカメラの位置を動かして被写体にしだいに近づいて行き、これを常に同じ大きさになるように写していくと、当然のことだが、それだけ背景の写り具合が異なる。まず28mm相当では青い空の下に広がる山々をバックに黄色いひまわりが画面の真ん中に写っている。これを50mm相当にすると、山の境界が少し移動したくらいで、さほどの変化はないが、100mm相当では背景の山の位置が大きく変わり、200mm相当では山が消え去ってひまわりだけとなり、300mm相当でも同様にひまわりだけが写っているという具合である。

 焦点距離による被写体の写り方

       望遠(焦点距離長い) 広角(焦点距離短い)
被写体の大きさ  大きい  小さい
写る範囲(画角)  狭 い  広 い
前後のボケ    大きい  浅 い
(被写界深度)   (浅い)  (深い)
遠 近 感    圧 縮  強 調

 焦点距離について、これまで学んだことのポイントをまとめると、
焦点距離は、○○mmで、35mm換算で見る。マイクロフォーサーズの場合は2倍にして換算する。
50mmが標準で、それより小さいと広角、大きいと望遠。
広角の効果は、遠近感を強調でき、手前から奥までピントが合いやすい。
望遠の効果は、遠近感を圧縮して、背景をぼかしやすい。

 次は、露出の話で、絞りとシャッター速度の関係と、P、A、S、Mの各撮影モードの使い分けの説明である。まず、写真を撮るには光をどう取り入れるかが問題で、そのためには、第一に、光を取り込む窓の大きさを変える・・・つまり「絞り」を変えて一度に取り込む光量を変えること、第二に、光を取り込む時間を変える・・・つまり、「シャッター速度」を変えることである。模式図を見ていると、たとえば、F2.0であれば絞りは全開となり、F22であれば絞りはごく小さな丸い点でしか開かない。今のカメラはフルオートとになっているので、カメラがこの二つに合うようにシャッター速度を適当に計算してくれて、適度な明るさの写真が誰にでも撮れるとのことだ。

 たとえば「P」つまりプログラム・モードにすると、絞りとシャッター速度をカメラが自動的に決定するので、そのままシャッターを押すだけで、失敗のない写真を撮ることができる。P(プログラム)、A(絞り優先)、S(シャッター速度優先)、M(マニュアル)の各撮影モードでは、このようになっている。

      絞 り  シャッター速度
Pモード  カメラ    カメラ
Aモード  撮影者    カメラ
Sモード  カメラ    撮影者
Mモード  撮影者    撮影者

 水道の蛇口とバケツの模式図があって、太い水道管(F値が小さい)と細い水道管(F値が大きい)から水がそそがれている。太いと、バケツをいっぱいにする時間が短い、つまりシャッター速度が速くてよく、逆に細いと、それだけ時間が長くなるのでシャッター速度を遅くしなければならない。ちなみに、ISO感度が大きいと、そのバケツ自体の容量が小さいというわけだ。ふむふむ、これはわかりやすいたとえである。

 そこで、この関係を整理すれば、絞り(F値)を変えると、ピントが合う奥行きが変わる・・・つまり背景のボケ方が変わる。F2.0で絞りを全開して画面いっぱいに花を撮ると、もちろん背景はボケる。この場合のシャッター速度は速くてよい。ところが、F22と大きく絞り、同じように花を撮ると、花だけでなく背景もくっきりと写る。ちなみに、この場合のシャッター速度は遅くせざるを得ないので、ぶれやすい。

 これらを頭に置いた上で各モードを見ていくと、「A」モードは絞り優先オートとなり、撮影者がF値を決めれば、シャッター速度はカメラが決定してくれる。この場合、F値を小さくして絞りを大きく開放するとボケるので、ボケの量を自分でコントロールしたいときに使える。

 このように学ぶと、ああそんなものかと理屈はわかるが、実際にやってみると、なかなか理屈通りにはならない。たとえば、私のカメラE―P1の標準レンズで試してみたが、F値が5.6と出た。これを小さくすればよいのだなと思ってボタンを回しても、どうやってもF値は4.0以下にはなってくれない。レンズの性能の限界か何かで、これ以上は下げさせてもらえないようだ。

 そんなものかなと思っていたら、次にその説明があった。「どこまでF値を小さくできるかは、レンズの性能や焦点距離で変わってきます」という。焦点距離をレンズの有効口径で割った値を「口径比」といい、人間の目と同じ明るさは1:1といわれる。そこで、たとえばあるレンズの口径比が1:2だったとすると、これをF2と表す。それが1:3.5であったら、F3.5というわけだ。何だか、F値とまぎらわしいが、そういう決まり事のようである。私の標準レンズは、ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6だから、ああなるほど、この場合のFの値はそのレンズを使ったときの明るさを意味するのかと、初めて知った。先に述べた残り二つのFの値はというと・・・広角ズームがF4.0はともかく、マクロレンズがF2.0と相当に明るい。そうか、マクロレンズがあのような細かい世界を写し出せるのは、そういうことなのか。ではここで、絞りの効果の定式を並べておこう。

         F値が小さい  F値が大きい
         (絞りを開放)  (絞りを絞る)
一度に入る光の量  多 い     少ない
シャッター速度   速 い     遅 い
         (ブレにくい)   (ブレやすい)
被写界深度     浅 い     深 い
(前後のボケ)   (大きい)    (小さい)     
 
 それではここで、ボケについてのポイントをまとめると、
ボケをコントロールしたいときには、「A」モードにする。
ボケを大きくしたいときには、F値を小さくする。
ボケを小さくしてなるべく奥までピントを合わせたいときは、F値を大きくする。
どこまでF値を小さくできるかは、そのレンズの性能次第である。

 次に、ボケを意識して作り出すときの対策をまとめると、
焦点距離を長くするため、望遠側で撮る。
なるべくF値を小さくして絞りを開放する。
接写をするか、あるいはカメラと被写体の距離を近くし、かつ被写体と背景を遠くすると、ボケが強くなる。

 それはそうだろうなぁ、われわれの眼でも、何かに近づいてそれを注視すると、その周囲ものはボケて見えるはずだし、目の前にクローズアップで現れたものを見ていると、その背景なども意識して見ない限り、その背景はボケるのは当たり前である。

 ということで、ボケの話はおしまいにして、次は「S」モードつまりシャッター速度優先オートの話に移る。高速シャッターにする(ついでにISO感度も上げておく)と、たとえば滝のひとつひとつの飛沫を撮ることができる。スローシャッターだと、動いているものだけが動いてまるで布か帯のように写るという。本当に、4000秒分の1のシャッター速度でISO感度1600で滝を撮ると、水の細かいつぶつぶまで見えて、すごい迫力の写真となる。6分の1秒でISO感度100だと、滝といっても水が布のように流れているがごとくに写る。迫力はないが、その代わり流麗さがある。ということはつまり、「S」モードは動いているものの動感を撮るときに使う。撮影者がシャッター速度を決めると、カメラが絞りを決めてくれる。

 ここで私がかねて思っていた疑問が氷解した。それは、私のカメラE―P1で「S」モードにすると、シャッター速度の欄に必ず250、F値は6.1という数値が出てきて、それが点滅する。それでいいから捕ろうと思ってシャッターを押すと、硬くて動かない。えい、ままよと思ってそのまま強引に撮ると、暗い写真となったりして失敗するのは、一体全体なぜかというものだった。この講座のインストラクターの話を聞いて、やっとわかった。250秒分の1のシャッター速度で切れるからその数字が出てくるのではなく、それは一種のダミーの数値にすぎない。点滅するのは、数値がその場面に合っていないからである。これをちゃんと撮るには、カメラが決めるF値と、撮影者が自由に決めるシャッター速度が合うように手でダイヤルを回していって、たとえば180くらいにすると、緑の点滅が消える。そのところがデータの合致したところだから、そこでシャッターを切ればよいとのこと。要するに、シャッター速度優先とはいっても、カメラが自動的に設定できる幅というものがあるので、その範囲内でしかシャッター速度を設定できないというわけである。納得した。

 さて、インストラクターが面白いことを言っていたので、記録しておきたい。たとえば街の風景を切り取って写真にするような場合に、ピントを画面の真ん中の無人の自転車の籠に合わせておいて、シャッター速度を遅くして撮ると、道行く人物がブレて写り、かえって街の雰囲気が出る面白い写真になることがあるという。ちなみに、人間の目は、ピントのあっているところや動いているものに行きがちだというのである。

 ヒストグラムの話となった。たとえば、写す前にその画像のヒストグラムを見て、山があまりにも左に寄っているような場合には、全体に暗すぎるというわけだから、露出をプラスにすると、その山が左に寄って、ちょうどよくなるという具合に使うと良いらしい。ところで、その山が右に寄りすぎていると、露出がオーバー気味なので、露出をマイナスにするとよい。

 ちなみに、真っ黒に描写されるのは黒つぶれといい、逆に真っ白に描かれるのは白とびという。どちらかというと、黒つぶれの方が始末が良い。というのは、白とびの場合は、後からパソコンで暗くしようとしても、黒くできないからである。その点、黒つぶれは、ある程度、パソコン上で明るくすることができる。ただし、極端にすると、ノイズが目立つようになるという問題が発生する。

 そこで、興味深い話を聞いた。階調の調整のことである。たとえば、室内にいる人物の顔が暗く写り、その背景にある室外の景色が明るいような場合、その写真を全般的に白くすると、人物の顔は明るくなるものの、背景の景色もまた黒くつぶれてしまうという問題がある。現在の私の使っているソフトは、まさにその通りである。これを防ぐため、カメラの「階調」あるいはOlympus Master2というE−P1に付属していたソフトウェアで「階調」を編集すると良いらしい。写真の階調を表示させると、普通は「S」の字を右上から左下の斜めの方向に伸ばしたようなグラフで表される。そのグラフについて、右上から左下に向けて下がっていく線の右半分を下方向に下げ、左半分を逆に上方向に持ち上げて、つまりは逆S字型にする。そうすれば、写真中の黒い部分は明るくなり、もともと明るい部分が白くなるのを防いで見やすくなるという。実際に試してみたら、画像がいささか荒くなったものの、その通りになった。

 画像モードの中に「RAW」というものがあり、これを使うと、画質の劣化が避けられる上に、現像のときに、こんな項目を設定できるという。つまり、露出補正、ホワイト・バランス、サイズ変更、仕上がり、コントラスト、シャープネス、彩度、フィルター効果、調色、階調、ノイズフィルタ、カラー設定である。ただし、絞り、シャッター速度、ISO感度の基本項目だけは、RAW現像でも設定できないというのである。なるほど、うまくなっているものだ。

 以上のようなことで、応用編の講座の受講は終わった。この講座もまた、非常にためになり、有用な一日を過ごすことができた。ところで、記憶に残っている少しこまごまとしたことがあるので、しばらくすると忘れそうだから、それらを記録に残しておきたい。

リセット・・・PモードやMモードなどで設定した内容は、電源を切ってもそのまま残るので、失敗しないためには、リセットすることを習慣付けると良い。

熱くなる・・・夜景を撮ったりすると、カメラが少ない光を集めようと頑張るので、熱くなるのは、これは仕方がない。その場合は、ある程度、休ませる必要があるし、一定温度を超えると、自動的に切れる。

E−P1を上から見たときに正面左手にあるボールに串刺しのマーク・・・焦点 距離の起点となる基盤の位置を指すマークである。


(2009年8月10日記)



関係記事 目次
1.オリンパス・ペンE−P1
2.一眼レフのお勉強シリーズ
(1)ホワイト・バランス
(2)アート・フィルター
(3)露出補正とピント
(4)連写機能とピント
(5)被写界深度とF値
(6)交換レンズの知識
(7)デジタル一眼レフ講座
一眼レフの実践編シリーズ
(1)不忍池の蓮を撮影
(2)奈良の夜景を撮影
(3)水族館の魚を撮影
(4)花のボケ味を撮影
(5)浅草サンバを撮影
(6)谷根千の花を撮影
[後日談]デジタル一眼E−P1その後

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