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徒然149.デジタル・カメラ雑誌
 先月、参考になるかと思って初めて「デジタルフォト」という雑誌を買ってみたが、まずもって、その案外まじめな編集に感心したところである。とりわけ、「デジタル一眼レフ最新用語辞典100」という記事は、参考になった。前景、添景、背景とか、順光、逆光、斜光とか、置きピン(動く被写体に対して予めピントを合わせておくこと)とか、ゴーストやフレアのようなハレーション、ハイキーとローキー、ミックス光への対応、レフ板の使用など、いろいろと勉強させてもらった。

 こうしてその種の雑誌を眺めていると、ちょうど今から20年ほど前に、私が初めてラップトップのパソコンを手にしたとき、同じように雑誌を買ってきてコンピューターの雑学的な知識を吸収した頃のことを思い出した。そのとき購入したのがNECのPC−9821Neという、日本で始めて作られたカラーのノート・パソコンだったので、その取り扱い方を教えてくれるような人など、どこにもいなくて、説明書とこうした雑誌だけを頼りに、操作法を試行錯誤で身に付けていったものである。もっとも、独学もいいところだったから、今から思えばパソコン本体やソフトに大きな負担をかけるとんでもないことも時々やらかしていたので、あまり人に言えるような話でもない。まあしかし、こんなことを通じて、デジタル世界についての一種の「カン」のようなものが出来ていき、今やそれが自分の知的財産になっているともいえるので、存外、捨てたものではない。

 その点、今回のデジカメ一眼レフの場合は、買うのを待っただけのことはあって、初心者講座や雑誌が充実しているようだ。特に2007年から始まるこの2年くらいの間は、いろいろなデジタル一眼レフが15機種以上も発売され、それも7万円から26万円までの価格帯で性能と機能を百花繚乱のごとくに競い合っていて、まさに黄金期を迎えているようだ。我ながら良い時代に興味を持ったといえる。雑誌に投稿されている写真を見ると、具象的なものはもちろんだが、抽象的なものも多々あり、非常に芸術性が高い。「こうしたものにもチャレンジできたら良いな」と思い始めた。

 また今月も雑誌を買ってみようと思って書店に行くと、デジタルカメラ・マガジンというものがあった。ところが表紙には「デジタルカメラ」という文字が大きく踊っていたので、私はてっきり先月に買ったものと同じ雑誌だと勘違いをして、それをレジのところに持って行った。支払う段になって、定価が1100円といわれたので、そのときに初めてこれは先月のデジタルフォト(定価1000円)とは違う雑誌だと気がついたのだけれど、比較するのも一興だと思ってそのまま買って帰った。

 結論から先にいうと、この「デジタルカメラ」の方は、より専門的な記事が多いように思う。さきほどの「デジタル一眼レフ最新用語辞典100」を読んでいなければ、何が書かれているのかわからなかったことだろう。とりわけ、この2年くらいに発売された15機種について、その解像力、ダイナミックレンジ、オートフォーカス速度などの事細かな性能を比較する記事などが専門馬鹿ともいえる典型である。ただ、今の季節が夏だから、花火、昆虫、海、水辺の生き物、星空、祭りなどのシーン毎にどう撮ればよいかを指南してくれているのは、なかなか気が利いていると思った。

 それより驚いたのは、レタッチ講座というもので、「子供の肌荒れを補正してポートレートをさわやかに」という副題だったので何だろうと思ったら、浜辺で写した小さな女の子のポートレート写真にソフトで補正を加えるという内容だった。デジタル写真で風景くらいは何とでも補正できるし、私も手持ちの汎用ソフトでいくらでもやったことはあるが、人物になると、手持ちのソフトでは歯が立たないくらいに難しい。それがどうだろう、この記事では難なく補正して、肌のシミなどはもちろんのこと、明度や彩度に至るまで、いとも簡単に変更を加えている。

 たとえば、肩の肌荒れを目立たなくする、首の黄ばみを修正する、口角炎を取り除く、白とび抑制と色調のコントロールをする、顔をぼかしてソフトに仕上げる・・・という具合である。最近はソフトウェアの力がとてつもなく向上して、何でも自由自在なんだなぁ・・・ハリウッドでもコンピューターの中で恐竜を自由自在に動かしてスピルバーグの映画が作られるし、トランスフォーマーとかいって機械のロボットをガチャガチャ音を立ててあっという間に車や飛行機に化けさせてしまう時代だから、別におかしくもないのかもしれない。しかし、それに類することが自宅のパソコン中で出来るとなると、写真を撮るときが勝負なのではなく、出来損ないの写真いかにうまく見せるかというレタッチの技術の勝負にはなりはしないかと心配する。つまり、本物より偽物が幅を利かす世界になるのではないだろうか。いや、すでになっているのかもしれない。

 ところで、こうした雑誌に出てくる写真家の世界というのも、なかなかに厳しいものらしい。たとえば「デジタルカメラ」8月号の青柳さんという写真家は、1958年生れ、大学時代にヨーロッパを8ヶ月間旅行し、パリの本屋で見かけた写真集に興味を覚える。82年に山形大学卒業後、写真を独学し、毎年アジアを旅行する。90年はじめての写真展「雲の南に」、96〜98年写真展「メコン河」、03年から現在まで「日本とアジアの棚田」をテーマに活躍し、06年に棚田学会賞を受賞とある。

 同じ雑誌に出てくる岡本さんという女性の写真家は、12年間の会社員生活に終止符を打ち、写真の世界へ。故秋山庄太郎氏に師事し、2004年よりフリーに、風景や植物の撮影を中心に活躍中の由。

 三人目の岩木さんという写真家は、1953年生れ、立教大学中退後、フリーとなり、広告写真では主に商品、雑誌では料理を手がけるかたわら、故郷の八甲田の自然を撮り続けているという。

 やはり、何というか要するに徒弟制度のようなものが残っているような気もするし、売れるまでの修行時代も長いようだし、売れなくて途中で浮かび上がらなくなってしまう人たちも、おそらく数多くいらっしゃるようである。やはり一介の凡人には、趣味の世界にとどめておいた方が無難なようだ。


(2009年8月16日記)



関係記事 目次
1.オリンパス・ペンE−P1
2.一眼レフのお勉強シリーズ
(1)ホワイト・バランス
(2)アート・フィルター
(3)露出補正とピント
(4)連写機能とピント
(5)被写界深度とF値
(6)交換レンズの知識
(7)デジタル一眼レフ講座
一眼レフの実践編シリーズ
(1)不忍池の蓮を撮影
(2)奈良の夜景を撮影
(3)水族館の魚を撮影
(4)花のボケ味を撮影
(5)浅草サンバを撮影
(6)谷根千の花を撮影
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