<< 徒然153.初孫ちゃんは8ヶ月 | main | 徒然155.証明写真の顔 >>
徒然154.プラズマチューブアレイ


 東京駅の丸の内側を歩いていたら、JR東日本の改札の横で、人だかりがしていた。何だろうと近寄ってみると、大きなスクリーンに「実証実験」という文字が躍っていて、それから画面が一転して新幹線の走る姿やら生ビールの絵やらが次々に出てくる。ああ、これが、昨日の夕刊に出ていた丸められる薄型ディスプレイなんだと気がついた。そのときにもらったパンフレットによれば、「世界初、サイズも可能性も無限に広がるフィルム・ディスプレイ」とある。

 これは、PTA(プラズマ・チューブ・アレイ)といって、断面が長四角の中空のガラス管で厚さ1ミリもしないもの(プラズマ・チューブ)に、赤・緑・青の三原色を発光する蛍光体を入れ、これを横一列に並べたものである。これで、厚さがたった1ミリという極薄のフィルム・ディスプレイが出来たというわけである。その発光構造は、プラズマ・ディスプレイと変わらないらしい。これを1メートル四方に敷き詰めたものを単位モジュールとして、いくつか並べて敷き詰めると、大きなスクリーンとなる。薄型テレビに使われている従来の液晶画面やプラズマ・ディスプレイでは、その形が真っ平らでなければならないし、大型化すればするほど重量や消費電力が増して取扱いにくいが、これだと、まずは軽い上に、極薄で折り曲げられるので、丸い柱や天井などの湾曲した場所でも設置できる。




 目の前に設置されているプラズマ・チューブ・アレイの諸元を見ると、画面サイズ3×2m、画素数960×720、表示フィルム厚さ1mm、消費電力最大1200W、平均800wだという。しかしよく見ると、単位モジュールであるサブパネル同士のつなぎ目に、黒い線が見えるので、せっかくの大画面なのに、いささか画竜点睛を欠く感がすることは否めない。画質も、やや平板すぎる気がして、最新の液晶やプラズマと比べると、二歩も三歩も遅れていて、まだまだの感がある。もっとも、これら以外の薄型ディスプレイとしては、ソニーが有機テレビで気を吐いているものの大型化が確立できずにつまづいているし、キヤノンと東芝に至ってはSED(Surface-conduction Electron-emitter Display)を共同開発しようとしたが、アメリカ企業との特許問題であえなく討ち死にしてしまった。事ほど左様に薄型ディスプレイは、たとえ大企業であっても鬼門なのである。この会社は、今はやりのベンチャーらしくて、ここまで良く頑張ったものだと思うし、その点は称賛に値するが、これから大丈夫だろうか。

 その辺りにいた、これを開発したメーカー(篠田プラズマ株式会社)の人らしき方に、黒い線や画質の改善について聞くと、「サブパネル同士のつなぎ目に黒い線が出るというのは、我々も気が付いていまして、パネルの繋ぎ目をもっと接近させるとか、あるいは黒い線をなるべく目立たせないように、引き続き開発を続けていきます。画質については、もう少し画像に奥行きが出るようにと、プログラムを書き換え中です。」と言っていた。まだ開発途上というわけか・・・。引き続き、これからも技術開発にちからを入れていただきたいものだ。

 続けて私が、「これ(目の前の3×2つまり6枚のパネルを使ったプラズマ・チューブ・アレイ)を買うとしたら、いくらですか」と聞いたところ、「まあ・・・ざっといって4000万円ですね」とのこと。私はせいぜい数百万円くらいかと思っていたので、これにはびっくりした。来月の10月から売り出すそうだが、あくまでも試作品とはいえ、そんな高価なディスプレイなど、果たして買う人がいるのだろうか?普及を狙うのなら、せめてその半額以下にするなどの販売戦略も大切なのではなかろうか。



(2009年9月3日記)


(参考) メーカーは、篠田プラズマ株式会社(住所:神戸市中央区港島南町4−6−7、電話:078-302-1728)という。
カテゴリ:徒然の記 | 17:58 | - | - | - |