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徒然159.退職の4つの条件

大徳寺高桐院へと続く道


 私は、つい先ごろ誕生日を迎えたが、いよいよ還暦の大台に乗ってしまった。そして、ある外国の友人に「日本では、還暦になると、定年といって普通は退職する年齢なんだよね」と語ったら、しばらくして「退職の4つの条件」と題するメールをいただいた。このメールは、その彼の友人(中国系アメリカ人)が送ってきたものだそうだ。読んでみると、これがまたなかなか味わい深いもので、人生のエッセンスが凝縮しているようである。そこで、その友達のご了解を得て、ここに翻訳を載せておくことにしたというわけである。いささか意訳が多いが、ご了解いただきたい。

 私は、2000年に、52歳で退職した。今はもう61歳であるが、退職して本当によかったと思っているし、また退職によって何物にも代えがたい貴重な経験を積んだと考えている。そしてこの経験を既婚者の友人たちに分かち与えたいと思うようになった。というのは、私の周囲の友人たちや隣人たちの中には、退職によって退屈な日々を送るようになり、人生の伴侶や子供たちなどに大変な迷惑をかけている人を、しばしば見かけるからである。

 そういう人々の一部は、再び仕事に戻れば、問題はすぐに解決する。それは、彼らの技術や経験が、まだ世の中の役に立つからこそ、再び仕事ができるからである。しかし、そのほかの人々の大半は、退職後は全く目的のない生活を送り、単に死ぬ時をまつばかりという有り様である。悲しいことではあるが、それが現実である。

 そこで私は、次の4つの条件が満たされることが、退職の条件だと思っている。それは、

第1に、あなたの子供がちゃんとした職に付いているか。
第2に、あなたは、すべての負債やローンを返し終えているか。
第3に、あなたの残りの人生を保障するのに十分な貯蓄や年金があるか。
 そして最も大切なことは、
第4に、あなたは、退職した後に、何をすべきかわかっているか。

 これらの4つの条件がすべて満たされない限り、絶対に退職してはならない。もちろん、あなたが今の仕事が楽しいとか、収入が十分に得られてやり甲斐があるとかいうような場合には、退職などする必要はない。

 私の知っている問題のケースは、 すべて上記の4つの条件のいずれかに適合しなかったものである。

 人から「退職後には、何をするんですか」と聞かれたとき、「そうね・・・旅行、特にクルーズ船に乗って、世界を見て来ようかな」などと答える人がいる。そう答えた人は、たぶん実際にそうするだろう。しかし、それは高々3ヶ月程度のことで、それを終えたらそんなことすっかり忘れてしまうのである。

 あるいは、ゴルフが好きな人ならば、「もちろん、毎日、ゴルフをするさ」と答えるに違いない。しかし、よほど丈夫でゴルフが好きな人ならともかく、大抵の人は毎日、フェアウェイでの運動やらグリーン上での繊細なパットをするようには向いていない。たまに出来るという人がいたとしても、その人には大きなハードルがある。つまり、一緒に毎日、ゴルフをしてくれるような「友達」を見つけるのが、そもそも至難の業なのである。

 麻雀、ブリッジ、バドミントン、山歩き、カラオケのようなゲームや運動だって、ゴルフと同じようなもので、必ず一緒に楽しんでくれる「友達」が必要である。大抵の人は、そういう友達を見つけることが出来ない。これらをひとりで楽しもうと思っても、ちっとも楽しくない。仮りにそういう「友達」を見つけられたとしても、私の友達のひとりのように、誰からも好かれなくて非常に嫌みな人間だったりする。

 そのようなことで、もしあなたがスポーツやゲームのグループに入るなら、「退職前」から、入っておくべきである。そうすると、一緒にゲームや人生を楽しむ「友達」が見つかるかもしれないし、あるいはあなたに対して舌打ちするようなたぐいの人たちの目星をつけることができるかもしれない。

 あまりスポーツが得意でないという人は、これまで何年にもわたって買い込んできた書物を全部読んでみたらどうだろうか。もっとも、私の友達のひとりは、本を読み初めてわずか2〜3ページ行っただけで、こっくりこっくりとし始め、そのまま寝入ってしまうような人だが、結局のところこの人は読書は好きではないということである。もし、趣味が自分に合っていないと思ったら、そんなものは、さっさと変えてしまえばよいのである。

 さて、ここで、あなたの1週間を何かルーティーンの活動のスケジュールでいっぱいにしておくことをお勧めしたい。

 大抵の人たちは、現役のときは、自分自身や誰かに頼まれたり、あるいは周囲の状況で、何らかのルーティーンの活動の予定を立ててきたものと思う。退職後もそれと同じことで、新しいルーティーンの活動の予定を立てればよいのである。今度は現役のときとは異なり、あなた自身が、ほかのだれにも出来ないような予定を自分のために作ってはどうだろうか。そうしたルーティーンの活動は、あなたの肉体や精神の若さを保つのに役立つ。たとえば、このようなものがある。

 (1) 週に一度の肉体スポーツ・・・退職後の生活を楽しむための体力の維持は必要である。もしあなたがスポーツは嫌いというタイプなら、家のメイドさんを首にして、電気掃除機などの機械の助けを借りずに、家全体の拭き掃除をしてはどうか。また、ダンスや孫の面倒をみるという手もある。

 (2) 週に一度の頭脳を刺激する活動・・・書き物をしたり、学位をとるためや何かの技術・技量を身につけるために勉強をしたり、クイズや問題を解いたり、何かを学んだり教えたりしてはどうか。精神や頭脳を鍛えることは、いくつになっても大切なことである。というのは、あなたが頭をもう使わなくなったら、そのときは死に向かい始めるときだからである。

 (3) 週に一度の社交的な活動・・・あなたが、もしひとりでいることを好むというタイプでなければ、友達や隣人をたくさん巻き込むものを選んで、参加してみてはどうだろうか。少なくとも三つの違う種類のグループがよい。そうすると、あなたも歳をとってスポーツをするのがつらくなっても、新しい友達が得られるだろう。

 (4) 週に一度のコミュニティ奉仕活動・・・あなたは、これまで生きてきた社会に対して、恩返しをする番である。何らかの遺産を残すというのも、いいだろう。

 そういうわけで、週に一度のこうしたルーティーンの4つの活動で、一週間7日のうち、4日間が埋まることになる。残りの3日間は、それこそ家族のためにとっておく方がよい。こういうことで、あなた自身が楽しむことと、家族への配慮を両立させることができる。また、たとえば急に仕事を頼まれたり、安い費用で旅行や展示会に出かけたりするときのために、いつも時間に余裕を持たせるようにすることも、大切である。

 頭脳を刺激する活動をしよう!

 たいていの人は、相当な年配の歳まで生きて来ている。そうすると、色々なケースに直面してたくさんの決断を迫られて来たものと思うが、そのときには頭脳を使ってきたはずである。私は、MM・リーの頭脳は、もう限界以上に働いていると思う。彼は80歳を超えているが、まだ力強い。今日の新聞で、我々歳をとった者が元気になるような二つの記事を読んだ。ひとつは、孫を喜ばそうと、齢60にしてギターを習い始めたおばあちゃんの話である。彼女は、今は既に70歳を超えているが、その孫たちはもう成人して、一緒にギターを弾いているという。もうひとつは、あるインド人の放射線技師の話で、退職後に鍼灸師の資格をとったという。今は77歳で、まだ施術をしている。収入のない人には、無料で引き受けているそうだ。これらのケースのように、第二の人生で、こうした人たちの喜ぶ顔を目にすることは、結構なことではないか。

 頭脳を刺激するという活動は、まさにこれというものを決めることは難しい。しかし、そういうものを見つけることが出来れば、あなたの残りの人生に何か役に立つことはもちろん、気分転換にもなるし、実行することによって生活に張りが出るものである。

 やりたいことのリストを作ろう!

 あなたは、いつも忙しくしていても、ときどき飽きが来るときもあるだろう。そういうときこそ、やりたいことのリストを作るときである。これは、文字通り、「死ぬまでに」、やりたいこと・見たいこと・経験したいことすべてを書き留めたリストである。ルーティーンの活動ではなく、むしろそれ以外の活動を記録するものである。これは、あなたが楽しみにしているものでなければならない。その中には、何かの記念日、旅行、巡礼、海外の友人や知人の訪問、家の改築、趣味に関連した会議への出席、新しい専門知識の習得などがあるだろう。そういった4つの活動を選んで年3回というのが、理想的である。

 退職は、一連の仕事のようなものである!

 もしあなたが退職する余裕があり、実際にそうしたいのなら、退職後も一生懸命に生きることが出来るよう周到に用意することが大事である。しかも、退職を楽しめるよう、今から計画をしておかなければならない。月曜日の朝に起きて、今週は何をしようかなどと考えるという野暮なことは、したくないと思う。それより、毎週のルーティーンの活動として何をしようかと今から考えておき、そしてそれを実際を試してみて、毎週毎週、楽しみながら出来るのはどういう活動かを確認しておくことが必要である。しかし、こうしたルーティーンの活動はマンネリ化しやすいものである。しかしその点、あなたの「やりたいことのリスト」は、報酬やプロジェクトやチャレンジの要素を含むので、人生に色どりを添えるものとなる。まずは、思いつきでもよいからそのリストを作り、退職後に取り組めるようなものにブラッシュ・アップすればよいではないか。そうすると、退職後の人生は、とても楽しいものとなることは、請け合いである。



(2009年10月6日記)

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