<< 神社に思わぬ者が出現 | main | 京の紅葉(1)今熊野・泉涌寺・霊雲院 >>
徒然165.他人の私の写真

 ああ、見てびっくりしたというか、まったくもう何と評してよいか、わからないくらいである。何しろ、私の名前で他人の写真が次々に出てくるのだから・・・。

 私は、たまに自分の名前をグーグルの検索窓に打ち込んで、何か妙なことが書かれてインターネットに流されていないかどうかをチェックしている。いやこれは、別に身に覚えのあるようなことでは全くなくて、昨今は何でもインターネット時代だから、この程度の自己防衛は、やむを得ないと考えているという程度の話にすぎない。そこで今日は、そのついでに画像の検索をしてみたのである。

 自分の名前として検索されて出てきた画像の最初の20〜30件やそこらは、もちろん私の写真ではなくて、私の著書の装丁の写真ばかりである。これらは本屋さんや出版社さんなどが宣伝のために設けているホームページからとったものだろうから、まあ当然のことながら、何の問題もない。予想通りである。

 しかし、そこからさらに遡って検索が40件目以上になると、たちまち妙なことに気がついた。というのは、私の名前を持つ赤の他人の写真が次々に現れるからである。最初は、いやご立派な面相をした同姓同名の方が数多くおられるものだと、呑気に構えていたら、突然その中の2人ほどが、実は私の知人であったことから、驚いた。

 これは一体どうしたことかと思い、その写真をクリックして、リンクされている元のホームページを開いてみた。すると、変なサイトが現れた。私の氏名を冠したページで、「あの人検索スパイシー(SPYSEE)」というのである。その中で、まず「ウェブ上からみた人物像」として、私が著した本の最後のところの著者略歴欄が、そっくりそのまま無断で引用されていて、「紀伊国屋のホームページより抜粋」となっている。しかし、私も出版社も、こんなものに、許諾をしたことはない。

 その次の「ネットワーク 」という欄には、たまげてしまった。真ん中に、私の写真(さすがに空欄)があり、そこから四方八方に緑の線が延びていて、それらが写真とつながっていてユラユラと動くではないか・・・。そのうち動きが緩やかになり真ん中に収れんして落ち着いた。それを見ると、うち一本の緑の線は、大学の先生につらなるラインらしい。その線の先にはひとりだけ、確かに私が親しい教授のお顔が載った写真になっている。ははぁ、さきほどの写真は、この方である。でも、なぜ私の名前で検索に出てきたのだろうか、よくわからない。

 しかし、その先の方たちにはまったく面識がないのに、なぜ私と緑の線でつながっているのだろう? これまた、よくわからない。また別の緑の線の先には、私と同じ分野を研究しておられる学者の写真が掲げられているが、単に書物や論文を通じて存じ上げているという程度である。ただ、その次の方は、よく知っているとは必ずしもいえないが、道で会ったら挨拶は交わすだろうという程度の知り合いではある。

 これらとは別に、裁判官につながる緑の線もあるが、最初に載っているこの裁判官は・・・ははぁ、さきほどの写真に出てきた方だ・・・実はこの方も、そういえばさきほどの写真に出てきた人だが、どういう人かと思っていたところである・・・私は、この方についてはその判決を読ませていただく程度で、直接的な知り合いだとは、とてもいえない。さらに、官界にも線がつながっているが、これは年も相当若い方であるから、親しい知り合いなどといえば、かえって向こうの方が恐縮してしまうかもしれない。

 グーグルの検索の話に戻るが、これらの他の方々の写真は、すべて私の名前が付いて、グーグルの検索結果に出てきたものだった。いったい全体、検索するとこれらの写真はすべてなぜ私の名前になってしまうのか・・・、そもそもこれらの方々はどういう基準で選ばれているのか、さっぱりわからないではないか・・・。

 そのネットワークの横には、冒頭の円グラフがあって、どうやら私の友人知人仕事仲間の割合を示しているらしい。それによると、学者・研究者が約45%、私が以前に籍を置いた大学が20%、弁護士が20%、私が現在籍を置いている大学が15%といったところである。ははぁ・・・そんなものなのか・・・ただ、自分でも計算したことがないのでわからない。

 さらに下の欄には、「もっと知る」とあって、「つながりの強い人」とか、「キーワード」とか書かれており、さきほどの人たちが写真付きで経歴まで書かれている。その数はとても多くて、ゾロゾロと何十人も掲げられている。そのうち私の親しい人がいないわけでもないけれども・・・それはわずかに2〜3人にすぎないが・・・そのほかのほとんどの方は、会ったこともない人である。そうした「その余」の人たちは、いかなる基準で私の「つながり」になってしまったのだろうか・・・そう思ってずーっと最後まで名前を追っていくと、このサイトは、とんでもないデタラメであることが、よくわかった。そのデタラメさ加減は最後のところによく現れている。

 たとえば立派な学者などの名前に交じって、「ようこ」という名前があり、その次に何とまあ、隣の国の将軍サマの名前まであるではないか。ちなみに「ようこ」というのは、どうやらネット上のアイドル名らしいが、そんなものは知らないし、もちろん家内の名前でもない。なぜ私の「つながり」として出てくるのか、全く不明である。それに将軍サマとは一体何だろうと思いつつ原因を追及していくと・・・私も知らないのに私と「つながり」があるとされる政治家が、何かの機会にその国に反発した発言をしたところ、どういうわけか逆にその政治家がその国と「つながり」があるということになり、したがって、機械的に私もこの国と「つながり」があるとされたようである。そんな馬鹿な・・・そういうものこそ「風が吹けば桶屋が儲かる」どころか、完全に何の関係もないではないか・・・。ああ、調べたら実にくだらないことで、そもそも調べただけ時間の無駄だったようである。

 まったくもって、「これは人騒がせな」と言いたくなるのは私だけではないだろう。この「SPYSEE βversion」は、「同姓同名の情報が混在している可能性があります」という断り書きがあるだけで、このように勝手に他人の写真を使い、「ひと」の経歴をネットからそのまま写しとった上で、「つながり」などをでっち上げている。その調子で、「ひと」が617,372人分、「つながり」が51,259,933人分というから、おそれいった。

 これはいったい、どういうやり方なのかと思ってこのサイトの説明を読むと、「スパイシーは、ひとについてウェブ上で公開されている情報を自動的に収集・整理し、ひとつのページにまとめます。また、そのひとをとりまく人々のつながりを見つけ出し、ネットワークとして表示します。・・・スパイシーの核となるのは、ウェブ上に存在する大量の情報の意味を理解し、必要なものを選び出し、編集して知識として提供するセマンティックウェブ技術です」ということなのだけれど、「つながり」はデタラメだし、情報の意味も全く理解していないような、本当に出来の悪い技術であるといわざるを得ない。

 この点、サイト管理者もわかっているらしく、FAQに「表示されるプロフィールやつながりに間違いがある」という質問に対して「独自のアルゴリズムにより自動的に情報を収集・整理しておりますが、必ずしも完全な情報が得られるとは限りません。この点についてご理解のうえ、ご利用いただきますようお願いいたします。また、精度向上の努力は継続的に行っていきますので、末永く見守っていただければ幸いです」などと弁解しているが、百年河清を待つようなものではないか。「必ずしも完全な情報」どころか、私の場合は98%は間違いである。現時点では、むしろ「ほぼ間違っている情報」という方が正しいのではないかと思われる。

 いずれにせよ、現在の機械的なやり方でそのまま進めるなら、著作権法違反や場合によっては名誉棄損の疑いがあるだけでなく、そもそも何かのデータベースが出来たとしてもその大半が役に立たないインチキ情報ではないか・・・そもそもその前に、個人情報をどうしてくれるのかという気になる。現に私の場合は、写真は使われていないものの、自著の経歴は無許諾で使われてしまっているし、それに付随された情報のほとんどがまったくのデタラメ状態である。

 こんな無茶苦茶なことをするのは、どんな管理者なのかとそのサイトをみると、文京区本郷にある資本金1千万円のネット情報サービス会社らしい。いうまでもなく個人の写真の使用や著作権が成立している経歴の転載について、ちゃんと出版社や本人の許可や許諾を取らなければ、肖像権や著作権、それに個人情報の取り扱い上、大いに問題であるし、そもそもこんな使い物にならないインチキ情報ばかりを載せていると、信用されなくて、あまり長続きはしないのではないかと思われる。

 こんな出鱈目な個人情報は早急に削除してほしいし、それとこれはグーグルの問題だが、私の名前で検索すると他人の写真がゾロゾロと出てくるようなことは、やめてもらいたいものだ。



(2009年11月21日記)
カテゴリ:徒然の記 | 18:56 | - | - | - |