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京の紅葉(8)宝厳院のライトアップ

宝厳院の紅葉と月


 落柿舎を離れる頃には、そろそろ暗くなりかけてきた。そこで、そのまま嵯峨嵐山駅に歩いて戻ったが、途中の天龍寺の辺りで、真っ暗となってしまった。しかも、間の悪いときに空は雨模様で、とぎどき雨粒が落ちてくるではないか。そこで、このまま京都の街中まで戻って、たとえば青蓮院のライトアップを見に行こうとしても、大雨となったら意味がない。そこで、5年前に行ったことがある天龍寺の塔頭のひとつ、宝厳院のライトアップの時間まで待つことにした。少し小腹がすいたので、そのあたりで蕎麦でも食べていれば、30分くらいは楽に待てそうだということで、近くに見つけた蕎麦屋に入った。

宝厳院の庭


 蕎麦屋でこれはおいしいと舌鼓を打った後、表に出てみると、幸い、まだ雨は降って来ない。これならお天気は持ちそうだと思って、そのまま近くの宝厳院まで行った。すると、ライトアップが始まるまでまだ20数分近くもあるというのに、私の前には、もう百人ほど並んでいる。やれやれ、これは大変だと思いながら、その列の中にいた。やがて開始時間となり、ゆるゆると進んで中に入った。

宝厳院の庭


 宝厳院は、そのHPによれば「寛正2年(1461年)室町幕府の管領であった細川頼之公により、天龍寺開山夢窓国師より三世の法孫にあたる聖仲永光禅師を開山に迎え創建されました」ということで、獅子吼(ししく)の庭が有名である。その由来については、同じくHPは「『獅子吼」とは『仏が説法する』の意味で、庭園内を散策し、鳥の声、風の音を聴くことによって人生の真理、正道を肌で感じる。これを『無言の説法』という」としている。その中心となるのは、中央に置かれた「獅子岩」で、その形状だけでなく、付着した苔の美しさなど、なるほどこれは確かに天下の逸品?である。5年前にビデオを撮ったときも、とても感動したことを思い出した。

宝厳院の庭のススキ

苔の絨毯と紅葉の木


 それを今回は、ライトアップという形で再訪したというわけである。入っていくと、ああ、暗い中をあちこちで紅葉が光の下で浮き上がっている。ああ、あちらでは、紅葉だけでなく、ススキも光に浮き上がっている。どんどん進んでいくと、小さな門があって、その周囲の紅葉は誠に美しい。この写真だけは、ブレないで撮りたいと思って、カメラをしっかり構えたら、何とか一枚は使える写真が撮れた。また周囲の庭に目をやると、地面の苔の絨毯と中空の紅葉が素晴らしい対比を見せている。

獅子岩

血のしたたるような赤さの紅葉の木


 ああ、やっと獅子岩まで来た。暗い中ながら、灰緑色の岩肌に緑の苔が乗り、それが光に当たってこの岩をますます神秘的にさせている。しばらく見ていたが、どんどんやってくる観光客の波に押されて、その場を離れざるを得なかった。しばらく進むと、もう真っ赤というよりは、まるで血のしたたるような赤さの紅葉の木が印象的だった。

宝厳院のライトアップを見終わって帰途につく

宝厳院の近くの保津川の遊覧船

 
(2009年12月4日記)



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