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徒然174.今時の職人に驚く
 この間の日曜日、たまたま別の件で二人の職人がそれぞれ別々に私の家にやってきた。しかし、その二人とも、格好は確かに様(サマ)になっていて職人そのものなのだけれども、いったいどうしてしまったのかと思うほど、中身がアホなのには、まったく驚いてしまった。そこで、最近は本当はアマチュア・レベルなのに、自分でプロのつもりの職人さんが多いから、各々方、注意めされよという意味で、ここに記しておきたい。

 ひとりは、我が家の台所のキッチン・ライトを交換にやってきた電気工である。なぜ交換することになったのかというと、もう建てて14年目になり、台所の天井のライトのつきが極端に悪くなってきたからである。スイッチを押しても、ピ・ピンと音がして、蛍光管の両端だけがオレンジ色の鈍い光を放ち、それからイチ、ニィ、サン・・・・ジュウを数える頃にやっと全体が点くという有り様となった。これは、蛍光管と点灯管のせいかと思ったが、両方を替えても直らない。2度やっても駄目だったので、これは蛍光灯本体の部品が劣化したのだろうと思うようになった。ちょうど、蛍光灯の覆い(「セード」というらしい)が、拭いても汚れが落ちずに黄ばんできたことから、取り換えたいと思っていた時だった。

 最初は、秋葉原の石丸電気に行った。10数年前には、ここで電化製品を買いそろえたものである。しかし、今では別の会社に買収されてしまったようで、昔のようなアットホームな雰囲気ではなくなっている。灯りの売り場に行っても、目指すキッチン・ライトは見当たらない。

 仕方がないので、有楽町のビックカメラに行ってみた。すると、狭い売り場だったものの、思い描いていた通りのキッチン・ライトがあった。セードが乳白色のシンプルなもので、コイズミのBHN8048Pという商品である。そこで、さっそくこれを買った。取付けは、後日、職人が来てやってくれるという。台所の天井の真ん中に、取付用の丸いカセットが既に付いているのなら、私にもできないわけではないが、確かそれはなかったような気がしたので、職人さんに頼むことにした。

 さて、その工事の日になり、職人さんを待っていたら、時間を少し過ぎてやってきた。作業用の制服にヘルメットをかぶり、腰の周りには作業に使うスパナやドライバーやら釘などを入れた作業箱を、ぶら下げている。言葉を交わした後、すぐに脚立に登って、台所の天井から壊れたキッチン・ライトを外した。やはり、天井には取付用のカセットがなかったので、まずそれを付けてくれた。そして次に、持ってきてくれた新しいキッチン・ライトを包装箱から出し、両手で天井に持ち上げて、その取付用のカセットにパチーンとはめてくれたのである。ここまでは、実に手際が良かった。

 問題は、それからである。「さあ」と言って、台所のスイッチを押したのだが、まったく点灯しない。職人は、「あれれ、だいたい、このスイッチに電気は来ていますか?」と、馬鹿なことを聞く。「もちろん、だって、さっきまで古い蛍光灯が付いていて、あなた、このスイッチを触って消したでしょう」と答えた。「ああ、そうでしたね」などという。それから、職人はあせって、ひとしきり取扱説明書を眺めたり、それから付けたばかりの新しいキッチン・ライトを外したりした。そして突然、「ああ、これだ!」と言って指差した。天井の取付用のカセットから伸びている電線が、ライトに繋がっていなかったのである。これでは、点かないのは当たり前である。

 職人はそれを繋ぎ、「はい、これで結構です」と軽い調子で言って、スイッチを押した。ところが依然として、ライトは点かないのである。職人はあせった様子で、「あれれ、あれれ」と繰り返すばかり。私は、天井のそのライトを見上げて、すぐに気が付いた。真ん中辺りに、紐がくるくると巻きつけられていたのである。ははぁ、これは紐スイッチではないか・・・。ひょっとして、このスイッチが「消える」になっているのではないだろうか。とすると、これを二回引けば、全面点灯になるはずだと思い、職人に「そのスイッチを二回引いてください」と頼んだ。そうやって、再びスイッチを入れると、思ったとおり、ちゃんと点灯したのである。これでは、どちらが職人か、わからないではないか・・・本物の職人は、気恥かしそうに下を向いていた。

 次は、東京ケーブル・テレビの職人である。デジタル放送への切り替えが間近に迫り、マンションの各部屋の端末に来ている信号の強度を測定したいというのである。再来年の7月だから、今やるのだろうと思い、承諾した。当日はかなり遅れてやってきたのだが、すぐにケーブルの端末のところに行って、テスターのような器具を差し込んで測定した。ざっと見て、10くらいの項目を測り、それをノートの一覧表に書き込んでいくのである。それが終わった頃、「感度はどうですか?」と私が聞くと、「どの項目も、問題ありません」という。「念のため、テレビを付けてくれませんか」と頼まれたので、ケーブル・テレビのコンバーターとテレビ本体のスイッチを入れた。

 するとこの職人、「あれれっ!」と言いだしたのである。「どうしたの?」と聞くと、「いやあ、お宅は、もう当社のケーブルに契約されていたのですね」という。馬鹿なことを聞くものだと思って、「なぜ、そんなことを言うの?」と質したところ「ああ、一覧表を一行分、見間違えて、まだ契約されていないお宅かと思っていました」とのこと。では、この測定のための時間は、いったい何だったのか・・・。

 いずれも、こんな馬鹿なことがあるのかと思うほどに、間抜けな職人さんたちである。こういう若者ばかりでは、日本の国際競争力の先が思いやられるというものである。これが、ゆとり教育の世代か・・・まあ、この二人とも、性格は明るかったことが唯一の救いだったけれどもね・・・。



(2010年2月9日記)


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