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徒然176.今時の住宅ローン

世界らん展2010に展示されていたラン人形


 私の大学時代の同級生が集まる機会があった。何しろもう60歳を超えたばかりの連中だから、ほとんどがサラリーマンとしては第二の職場へと移っている。でもまだまだ元気に働いているから、口だけは達者な猛者ばかりである。お互いの健康のことや、孫の話などでついつい話がはずんでしまったが、それ以上に話題にのぼったのが、混迷の度を増す最近の日本の経済のことである。

友達A 「最近の若い人達の住宅ローンの借り方を知ってるかい? 何と、9割以上の人が、変動金利を選ぶんだよ。それも、たとえば1.2%などという、1%そこそこの超低水準なのだから、恐れいる。そんな金利水準で、若い人なら40年以上借りてしまうというのだから、まったく信じがたいよね。」

わたし 「それ本当かい? 私なんて、初めて住宅ローンを借りたときの金利は固定で3.6%だったし、変動ならたぶん2.4%くらいだったと記憶しているよ。それでも安いと思ったものだけれど、それに比べれば1.2%なんて、タダみたいなものだ。」

友達B 「金利がべラボーに安いというのは本当なんだよ。自分も、ようやく(一部上場企業の)役員となったので、長年住み慣れた千葉の公団マンションを売り払って、豊洲の超高層マンションを買った・・・東京ベイ・ブリッジ越しに、富士山が見えるという景色が気に行ってね・・・そして、つい先日引っ越したばかりだ。ところが、引っ越して初めてわかったことだけれど、回りから我々夫婦は完全に浮いてしまっているんだよね。つまり、我々はアラカン(アラウンド還暦)なわけだけれど、周囲の部屋の住人は皆、アラサー(アラウンド30歳代)だったんだ。それどころか、20歳代だって珍しくない。我々の世代の常識だと、こんな8千万円近いマンションの部屋なんて、そんな若い世代がそうそう買える代物ではないよ。ところがよく聞いてみると、頭金は親からの資金援助で、まあこれはわかる。そして何と、夫婦共稼ぎで、40数年のローンを1%近い低金利で、借入期間は最大に伸ばして借りているというんだ。だから、月々の支払いは、たいしたことなくて、その世代の収入でも何とか返していける計算になるらしい。でも、完済する頃には、80歳になってしまうかどうかというわけだ。」

わたし 「それはまた・・・そんな長期の変動金利だって? もう、空いた口がふさがらないなぁ・・・国庫は空前の国債依存度だから、最近のギリシャのように日本政府の財政政策に対する国際的信任が崩れたら一気に国債金利が上がり、そうすると長期金利が急上昇して住宅ローンの金利も跳ね上がって、変動金利の人はそんな高い金利を返せなくなる・・・と考えるのが早晩あり得るシナリオだけど、そういうリスクを考えていないのかなぁ・・・だいたい、これから40数年も1%台の金利が続くなんていうこと自体があり得ない。」

友達C 「あ、いや、住宅ローンは、変動から固定金利へ切り替えられるという契約が多いらしいよ、ただし、一回限りだけれどね。」

わたし 「それなら少しはわかるが、今度はいつ切り替えるかで、それが一生の問題となりそうだ。」

友達A 「いやいや、それなんだ。もしそういう契約でも、金利が急上昇するという局面だと、どうしても取り残される人が多いと思う。またそういう人に限って、金融の世界には無頓着な人ばかりだろうから、これまた早晩、住宅ローンを返済できない人が多発すると思うよ。」

わたし 「ははぁ、それじゃまるで、日本版のサブ・プライム・ローン問題じゃないか・・・。」

友達C 「実は、息子夫婦と娘夫婦が、それぞれ家を買ったんだ。自分も、二人に退職金の一部を貸してあげて、金利をいただきながら元金を少しずつ回収すれば、銀行を儲けさせることなく、しかもそれなりの資産運用が出来たはずだ。ところが、熟慮の結果、やはり私から二人へ貸すことは止めることにした。というのは、これから二人に何があるかわからないし、日本経済も間違いなく悪い方へと変わる。そういう場合のリスク・ヘッジが出来ないからね。そのせいで、二人はその、1%台の変動金利で40数年の借入れという条件で銀行から借り入れている。しかし、自分は今でも、子供のために本当にこれでよかったのかと、いつも気になっているんだ。だから、国債の金利が上昇しかけているという記事を見ただけで、ビクッとする。しかし、子供二人はそうでもないようで、まるで危機感がなく呑気に過ごしているよ。まあ、そうだよね。デフレ下の低成長、低金利の時代しか知らない世代だから・・・しかし、かつてのような高金利時代がいつ到来するかわからない。」

わたし 「その通りだ。経験していないことには、想像が働かないからね。それどころか高金利時代の到来だけでなく、このままではハイパー・インフレーションなどという事態になるかもしれないけれど、そういう最悪の経済状況への備えが、今の日本人には、まったくといってよいほど、ないね。1973年の石油ショック当時のことを思えば、社会は大混乱するだろう。アルゼンチンは、2001年末のデフォルト(国家債務の不履行)を行ったが、私は、その少し前に現地へ行ったことがある。単なる旅行者にすぎなかったけれど、もうその頃から、経済にはおかしなことが多かった。たとえば、1ドル=1ペソというドル・ペッグ制を堅持していたものの、ホテルのレベルや街中の食事の内容と、その価格とを照らし合わせると、1ペソは、とうてい1ドルの価値ほどもなくて、このレートはかなり無理をしている水準だなと感じていた。そうこうしているうちに案の定、デフォルトを迎え、アルゼンチン国民、特に中産階級は、資産を事前に安全なドルに変えるという知恵も働かずに、銀行の引き出し額を250ドルに制限されたうえ、給料の凍結、高騰するインフレになすすべもなかったという。市民は、持っているものは何でも、それこそ日用品の類まで切り売りしたと新聞には書いてあった。市民は鍋釜をたたいて抗議する自然発生的な運動を続けたけれども、生活苦にあえぐ状態はなかなか改善せずにその後10年間は大混迷の状態が続いたという。」

友達B 「ううーむ。最近のギリシャの経済危機などを見ていると、嫌な気がするなあ・・・トヨタもリコール問題でアメリカで大きく叩かれ始めた・・・日本経済の土台が揺らぐおそれもある。これに普天間の問題も加わって再び日本叩きが激しくなり、ひいては日米同盟に響いたりすると、最悪のシナリオだ・・・。隣には前途洋々たる経済大国もあれば核兵器や武器輸出や覚醒剤をもてあそぶ危ない国もあるし、国民を叱咤激励して輸出で稼ぎまくっている国もある。そんな中で、政権交代したばかりの慣れない政府、草食系になってしまった男性、年金問題以来一緒くたに批判の対象となっている官僚組織・・・どれをとっても、国家の危機を一気に跳ね返す力がありそうには思えない。もはや日本には、我々が若い頃のように、官民株式会社といわれて発展に次ぐ発展をした、あの高度経済成長時代の熱気のかけらすらない。由々しきことではないか・・・。」

一 同 「そうだ。それが問題だ・・・。こういうときこそ、民主だ自民だ、政だ官だ民だと内紛に明け暮れているときではない。みんなで団結しなければ・・・なんだか、昔の学生運動のようになってきたなぁ・・・(笑い)」



(2010年2月23日記)


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