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三宅坂の神代曙桜

三宅坂の国立劇場前の庭の「神代曙」


 さあ、寒くて長かった冬がようやく抜けて、やっと春が来たことを日に日実感するようになった。というのは、梅に続いて、桜の季節となったからである。東京の桜といえば、イの一番にお勧めしたい場所は、千鳥ヶ淵などの皇居の周りのお濠沿いである。今週月曜日には、染井吉野が開花したと報じられたが、それから比較的寒い日々が続いたので、金曜日の今日のところはまだ二分咲き程度である。

 そこで、本日のお昼にはまず、半蔵門近くの三宅坂にある国立劇場辺りから散歩することにした。すると、国立劇場前の庭に、ピンク色がとても美しい早咲きの桜が天にも届けとばかり空一杯に満開となって桜が咲いているではないか。これは素晴らしいと思って、近づいていった。道行く人たちもこの見事な桜の木に集まって、携帯カメラで写真を撮るのに余念がない。思わず私もその内のひとりに仲間入りして、気がついたら自分も写真を撮っていた。


三宅坂の国立劇場前の庭の「神代曙」と蜂


 この桜は、江戸彼岸(エドヒガン)の雑種で、元々は神代植物園にあったものだそうだ。掲示板によれば、その名も「神代曙」という。それにしてもこの桜は、染井吉野(ソメイヨシノ)よりもピンク色が強く、それが空の青い色とちょうど対比色になって実に美しい。可憐、美形、ほのか、夢幻・・・・そんな言葉が浮かんでくる。もう八分咲きくらいで、あと数日もすれば真っ盛りとなるだろう。開ききった桜の花もよいが、まだ枝にはたくさんある蕾の桜も、ますますピンク色が濃くて、これまた素晴らしい。おっと、何かが目の前を横切ったかと思ったら、蜂が桜の花に飛んできて、取り付いている。こちらも、御馳走を前にして、大忙しのようだ。

甘味処の「おはぎと、おでん」


 さて、その神代曙のところでしばらく過ごした後、半蔵門に向かって内堀通りを皇居に沿って歩いていくと、左手に甘味処がある。ちょうどお昼というのに、あまり人がいない。店先のメニューを見たところ、おはぎがあるではないか・・・それも、最近流行りのちょこちょこっとした小さなおはぎではなくて・・・昔懐かしい大型のおはぎである。私が小さい頃、やってきてくれた祖母がよく作ってくれたものと、そっくりではないか。それも、あずき、きなこ・・・などとある。これは注文しなくてはと思ったが、これでは昼食にならない。それではと・・・併せておでんも注文した。おはぎと、おでんという、妙な取り合わせだけれど、この店ではありきたりの注文らしくて、二つ一緒に持ってきてくれた。どちらも、おいしかったのは、いうまでもない。

桜田門方向を桜田濠越しに望む


 甘味処を出て、内堀通りの信号を渡って皇居側に行き、そこで桜田門方向を見て写真を撮った。手前には、菜の花、正面には桜田濠の水面があり、その先には警視庁や国土交通省の建物とアンテナが林立していて、左右には、皇居の城郭の斜面の緑がある。なかなか、美しい風景であるが、あと数日もすれば、左手前には桜が満開となる。そうすれば、もっと幻想的な景色となるだろう。機会があれば、また来てみよう。

蔓日日草(つるにちにちそう)


 イギリス大使館前まで歩いて行ったが、途中に見かける皇居の桜は、まだ早い。そこで、信号を渡って帰ろうとしたが、そのとき、公園に少し花が植えられていることに気がついた。この青い五弁の花は、ビンカ、和名を蔓日日草(つるにちにちそう)というらしくて、地中海原産なのだそうだ。

鈴蘭水仙(すずらんずいせん)

早咲きの桜


 それから、スズランのようなスイセンのような、白くて下を向いている可憐な花があった。これは、その名も鈴蘭水仙(すずらんずいせん)といい、花言葉は「皆をひきつける魅力」とのこと。確かに、そういう気がする。同じ公園には、もう真っ盛りの桜があり、葉が出始めている。もちろん、染井吉野ではないが、早咲きの山桜なのだろう。

木蓮(モクレン)


 その公園の一角に、遠めでは、ピンクの桜のような木が咲いていた。近づいてみると、木蓮(モクレン)ではないか。美しい紫がかった色をしている。これは、これは・・・見事というほかない。しかも、風が吹いてくると、あの大きな花弁が、ぱらぱらと落ちてくる。地面は、紫のような、ピンクのような、そして花弁を裏返した白い色で埋め尽くされている。その下で、お弁当を広げている女性がいたが、あれだけの花弁の雨の中で、よく食べられたものだと思う。しかし、めったにない経験を楽しんでいるのかもしれない。

木蓮(モクレン)


 最後に、赤い立派な花を付ける石楠花(しゃくなげ)を見た。たぶん同じ株ではないかと思うが、一ヶ所に、蕾から、開きかけ、そして満開の花が咲いていた。つまりは、咲く過程を一度に観察したようなものである。こういうのは、あまり見たことがない。ちなみに、石楠花の花言葉は「威厳、荘厳」という。


(2010年3月27日記)




 三宅坂の神代曙桜( 写 真 )は、こちらから。


 桜の季節 2010年(エッセイ)は、こちらから。


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