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アークヒルズの桜

霊南坂教会の十字架の塔に桜が舞う


 港区赤坂のアークヒルズは、今年で24年目を迎える高層ビル群である。森ビルの大規模再開発事業で造られたこのオフィス棟には金融機関等の外資系企業や法律事務所など、隣のホテル棟にはANAインターコンチネンタルホテル東京、別棟でクラシック音楽専門ホールのサントリーホールなどが入居し、その裏手には高級賃貸レジデンス棟などもある。以前は、テレビ朝日もここにあった。もう建設後四半世紀に経ってしまって、世間の注目は六本木ヒルズや東京ミッドタウンなどに一旦は移ったものの、ITバブル崩壊とともにそれも薄れてしまい、今やその前の前の時代に当たるアークヒルズについて、人の口の端にのぼることは稀である。

桜のトンネルの合間に高層ビルが見える


 しかし、そんなことは、この際どうでもよいことである。その名も桜坂という、アークヒルズを取り巻く坂には、建物が出来たばかりの頃に植えられた何百本もの染井吉野の木があり、それらが順調に育ってくれて、この十数年は、お花見が楽しめるようになったからである。それも、上野公園や飛鳥山公園のような、人波でごった返すということもなく、昼休みで外資系企業のサラリーマンたちが三々五々そそぞろ歩きする中で、桜のトンネルを見上げてその美しさを愛でるというものである。また、うまい具合に途中に下の道路をまたぐ形で歩道橋が架かっていて、その上からは、桜のトンネルを上から見渡せるというポイントもある。場所柄、外資系に勤めているような外国人女性たちもここに来て、キャアキャア言いながらお互いの写真を撮ったりしつつ、桜見物をしていた。まさに、都会のオフィスならではのお花見なのである。

歩道橋から桜のトンネルを見下ろす


 その桜のトンネルの合間には、建て替えられた霊南坂教会の尖塔・・・ではなく、建て替え前の古い建物はそうだったのだが、今は何というのか・・・ともかく十字架の塔・・・が見え隠れし、もちろん周辺の高層オフィスビルが見える。これがまた、染井吉野の素朴な桜と非常に調和していて、見るたびに私が感動するような風景が現出する。

 いまも、一陣の風が吹いてきたかと思うと、ああっ・・・桜の花吹雪が尖塔をバックに舞い落ちる・・・下の道路もピンクの花びらに覆われていく・・・風が吹くたびに次々と花吹雪が空に舞い上がり、やがて風に乗ってふわりフワリと辺り一帯に落ちていく。池の水面に落ちる桜の花びらは花筏(はないかだ)、土の上なら花吹雪とは、よく言ったものである。これぞ日本の美というものか。

 とりわけ、花吹雪に包まれた霊南坂教会の尖塔は、日本の美と西洋の美とが混ざり合って東西が融合している気がする。ちなみに、この霊南坂教会では、昔はよく芸能人が結婚式を挙げたところである。それだけでなく私の親友もここで結婚式を挙げ、それに出席した私にとっても思い出深いところである。

桜を見る外国人




(2010年4月15日記)



 アークヒルズの桜( 写 真 )は、こちらから。


 桜の季節 2010年(エッセイ)は、こちらから。


 
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