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下町谷根千の花々(6月)

フクシア、釣浮草


 6月の初旬になったというのに、今年はなかなか梅雨に入らない。そこで、これ幸いと早朝から近所の散歩に出かけて、花の写真を撮ることにした。数日間、東京の下町である谷根千一帯をうろうろとして、花という花を目にしたとたん、近づいてパチリとやるのである。昨年秋にも、同じことを試みたことがある。実はきのう、私の住んでいるマンションのエレベーターで、家内が同じマンションの奥さんと乗り合わせた。そこでの話題は、「お宅のご主人、朝早くから、近所で花の写真を撮っているって、主人が言っていましたよ!」・・・な、なーんと、ちゃんと知り合いに見られていたようだ。それを聞いた家内、「そうなんです。朝から『花から花へ』と、蝶か蜜蜂のようにやっています」と、答えたそうな。

チロリアン・ランプ


 とまあ、確かにそういう調子なのであるが、まずはこの辺りの人には知る人ぞ知る花の名所、根津駅隣の学生マンションの前に行く。実はこちらのマンションは、管理人に相当、お花に詳しい人がいるようで、季節ごとに珍しい花の鉢を出しているのだ。その日は、フクシア、つまり釣浮草(つりうきそう)の鉢が良かった。この花については、昨年、たまたまここで目にしてから、その面白い姿形を大変気に入ったものである。この日も、私の期待を裏切らず、誠に愉快な恰好を見せてくれている。熱帯アメリカ原産らしいが、その別名通り、釣りの浮きそっくりである。

鉄砲百合


 次いでやってきた根津神社の脇のS字坂では、坂の中腹のお宅の庭から、たくさんのアブチロン、別名:チロリアン・ランプが垂れ下がっていた。見れば見るほど、この花は面白い。何しろ、赤くて丸い袋の下に、黄色い筒に包まれたおしべが垂れ下がっている。チロリアン・ランプとは、よく名付けたものである。それにしてもこの花、あの寒い冬の季節にも枯れずに、ちゃんと付いていた。もっとも、数は相当少なかったけれど、熱帯ブラジル原産の割には、冬に強いようだ。

ベロペロネ、小海老草


 6月らしく、あちこちで鉄砲百合が咲いている。近づくと、強い香りがする。なるほど、これでは病室のお見舞いには不向きの花である。この写真は、通称「亀公園」で撮ったものである。それから、根津小学校の方に行くと、その脇の道にはみ出すように、色々な花が咲いている。この季節では、もちろん紫陽花であり、その青色や紫色が目にしみるようである。手毬形の紫陽花はもちろん、ちゃんと額紫陽花もある。その横には、今年も小海老草があった。ベロペロネというのは、ギリシャ語で「矢のとめ金」を意味するらしい(季節の花 300さん)。しかし英語でも「Shrimp plant」というそうだから、世界各国の誰でもがエビを思い出すはずだ。だとすると、ひょっとして古代ギリシャには、エビがいなかったのか・・・などと訝ってしまうほど、妙な気にさせられてしまう花である。

孔雀サボテン

孔雀サボテン


 不忍通り沿いで、月下美人そっくりの花を見つけたときには、まさかこんな昼間に咲いているのかと、びっくりした。ネットで調べてみると、いやいや月下美人ではなくて、孔雀サボテンというのだそうだ。しかも、白と鮮やかな赤紫の色をしている。花の中心部には、風車のような雄しべらしきものがある。面白くて、ついつい見入ってしまった。こんな花が、この世の中にあるとは、まあ何と、愉快なことだろう。特にこの雄しべ、まるで深海で小魚を引き寄せる提灯鮟鱇の提灯ヒゲのようで、傑作ではないか。

シャルル・ドゴール


 それから、あちこちのお宅の庭に咲いているのが、薔薇である。赤い薔薇、黄色い薔薇、白い薔薇、そして紫色のバラもあった。これなどは、シャルル・ドゴールという品種ではないだろうか。古河庭園にあったものと同一種である。妙なところで、雑学の知識が生きる。黄色いマリーゴールドがあったかと思うと、色々な色のパンジーを植えているお宅もあった。あれあれ、ハイビスカスも一輪だけ見かけた。これから夏の本番だから、見栄えがするだろう。

パンジー


 ペチュニアを植えているお宅もあった。それも、色々な種類を束にして植えているから、一見して色々なペチュニアを眺めることができる。ちょっと頼りなさそうな花だけど、こうやって束になって見ると、それなりに力強く見える。ああ、懐かしい紫露草があった。空き地の雑草になってしまっている。昔、通学路でよく見かけたものだ。その脇に、黄色い花で、中央にモヤモヤと雄しべらしきものが立ちあがっている不思議な花がある。何だろうと思ってネットで調べると、未央柳(びょうやなぎ)というそうだ。中国原産で、別名を美女柳というそうな。

ペチュニア


 街角に、あの「七変化」が咲いていた。熊葛(くまつづら)科ランタナ属に属するそうだが、同じ一本の茎なのに、微妙に違った色の花を咲かせるらしい。この写真の花も、ピンク色、白色、黄色と、なかなかバランスのとれた色であるが、それの脇の同じから茎の花が、黄色が主体だったり、白色だったりと、少しずつ変わっている。

未央柳(びょうやなぎ)


 ところで、この写真のエッセイを書くときに、前回の「下町谷根千の花々(9〜10月)」のエッセイを振り返ってみた。その出だしには「民主党による政権交代の日」(2009年9月16日)とあり、鳩山由紀夫首相の内閣が発足したことを感慨深く書いていたが、それから8ヶ月後の本日には、もう鳩山首相は退陣していて、管直人首相に代わっていた。まったく、月日の経つのも早いけれど、それ以上に政治家が国民の信頼を失うのがあまりにも早過ぎると思うのだけれども、いかがだろうか。

七変化






 今回の下町谷根千の花々(6月)(写 真)は、こちら。

 下町谷根千の花々(9〜10月) (写 真)は、こちら。



(2010年 6月15日記)

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