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徒然186.とある秋の休日

自宅屋上から見えた東京スカイ・ツリー


 10月に入って最初の土曜日である。連日摂氏30度を超す猛暑の夏が終わり、ようやく秋らしくなってきたことから、家内と二人で、家の近くを散歩した。最初に目にとまったのは、家の前の公園に咲いている黄花コスモスである。どこからか蜂が飛んできて、これはおいしいとばかりに一心不乱に花弁の蜜を吸っていた。邪魔をしないようにそっと近づいて、その姿を連写して何枚かの写真に収めた。本日の出だしとしては、幸先がよい。

黄花コスモスの蜜を吸う蜂


 その次は、近くの会社の建物の前に植えられていた曼珠沙華である。赤と白の花が揃っている。この二つの色の花を並べて一枚の写真に収めるというのは、よほど運が良くないとほとんどあり得ない。これはチャンスである。ただ残念なことに、背景に何の変哲もない白い金属の柵がある。花の写真を撮るとそれが写ってしまうのが難点である。せめてこの柵が黒かったら目立たないのでそれなりの写真になるのにと残念に思った。接写をすれば背景を目立たなくすることも出来るが、赤と白の花を同時に撮るには接写が出来ない。まあ仕方がないということで、背景をそのままにして、写真に収めた。

曼珠沙華の赤と白の花


 そうこうしているうちに、東京大学の安田講堂前に至った。秋の青空をバックにその雄姿を一枚の写真にする。美しい。これが東大の象徴となっているのは、宜なるかなというところである。それに今日は、真っ青な空に白い雲、そして画面からはわからないが、学生さんたちのコーラス付きである。つまり、講堂の入り口で数人がコーラスを組んで歌っていたので、カメラを構えていると、その歌声が聞こえてきた。

東京大学の安田講堂


 ちなみに、つい先頃まで私もここで先生をしていたが、学生さんたちは総じてどの人も素直で、よく勉強をしていたことは認める。そういう意味ではまさに優等生ばかりであったと思う。それは良いことなのだけれども、その反面、昔の我々の時代がそうであったように、エネルギーだけは有り余っていて、放っておくと、何をしでかすかわからないという猛烈な人間がひとりもいなくなってしまった。それに代わり、まるで飼い慣らされた子犬のような、どこか個性の乏しい大人しい学生さんばかりになってしまったのには、いささか物足りなさを感じるのである。私は、これはもしかすると小学校の低学年から塾に通って営々と勉強するような人しか、東大に入れなくなってしまったことと大いに関係があるのではないかと思っている。

東京大学の毎年春に合格発表が行われる場所


 正門の方向には、こんもりとした葉を付けた美しい銀杏並木が続いている。そちらの方に歩いて行き、道の中途あたりで法学部のところを左に折れて、毎年春に合格発表が行われる場所を通る。そして医学部を左手に見るところで右に折れると、赤門の方に道が続いている。その赤門を出たところには、いろいろなレストランがある。そのほとんどが学生さん向けだが、中には我々が入っても違和感のないところもある。お昼時をとうに過ぎていたので、小腹が空いた。そこで、そのひとつに入ってお刺身を食べたのである。おいしかった。

東京大学赤門


 それから、本郷三丁目の交差点に出た。交差点の角にあるお店で、「かねやす」という小間物屋さんがある。ここは、江戸時代から続いている由緒あるお店である。ただ、土日に開いていたためしがない。ああ今日もやはり休みかと思いながら交差点を左へ曲がった。途中、勝海舟ゆかりの「壺屋」というお菓子屋で最中を買った。それから5〜6分ほど歩いて、湯島神社に着いた。神殿では、ちょうど神前結婚式が行われていた。お参りをするお賽銭箱のすぐ向こうで、新郎新婦が並んで座り、神主さんが祝詞をあげている。だから、我々一般の参拝客は、まるでお嫁さんとお婿さんに向かってお参りするような具合となる。まあ、それはどちらでもいいけれども、お二人には幸せになっていただきたい。参拝しながら、そう思った。

湯島神社の神前結婚式


 それから男坂を下って湯島に出て、不忍池のほとりを歩いた。池で目立つのは、夏の間あれほど茂っていた蓮の葉の大群であるが、もうすでにその勢いはかなり衰えていて、蓮の実を付けているのが多かった。さらに行くと、途中で家内が何かに気づいた。「あれ、あそこの弁天堂を横を見て!あれは、東京スカイ・ツリーではないかしら!」 どれどれと思ってその指さす方を見ると、なるほど、あれは確かにただいま建設中のスカイ・ツリーである。設計では634メートルの高さだが、確か最近ではすでに400メートルくらいまでになっていると聞いた。それにしても我が家の近くで、これほど大きく見えるとは知らなかった。

不忍池のほとりで東京スカイ・ツリーを見かける


 さて、それから再び散歩を続けて、根津の「はん亭」という天麩羅屋の前を通りかかると、なにやら小さくてかわいい黄色の車が停まっていた。まるで黄色いテントウ虫のごとくである。電気自動車のような気もするが、しげしげと運転席を覗き込むのも不作法なので、ちらりと見たまま、通り過ぎた。

小さくてかわいい黄色の車


 しばらくして、自宅に帰り着き、そしてふと思った。不忍池でスカイ・ツリーが見えたのだから、ウチの屋上で見えないはずがないと・・・それで屋上に出てみたら、なんと・・・上野公園の緑の海の向こうに、スカイ・ツリーが聳え立っていた。どうしていままで、気がつかなかったのだろう。あれは、墨田川の向こうだから、ハナからそんなものが見えるはずがないとの先入観念があったからなのだろうか。これからは、わざわざ押上に行って見上げる必要はない。こうやって自宅から、毎日どんどん上へ上へと伸びていくのが観察できる。これはささやかな楽しみになりそうである。

越中八尾おわら節


 きょうは本当にいろいろなものを見たと思ったら、ぜひ見たいものがまだあった。近くの白山の京華商店街で、越中八尾おわら節の踊りが演じられるのである。実は昨年も見物してビデオや写真に撮ったのであるが、また今年もおわら節が見られるというわけだ。商店街の会長さんのお話によると、今年で9年目だとのこと。午後5時から始まる予定である。最初は、本場から来ていただいた皆さんによる「組み踊り」で、それから地元商店街の奥さん方が主体の「流し踊り」である。今年は、特に組み踊りをビデオに収めようと思っていた。

越中八尾おわら節


 時間になり、用意が調った。最初は組み踊りである。胡弓の幽玄な調べとともに、朗々とした「おわら」が歌われる。男踊りは、手がさっと動き非常にダイナミック、女踊りはもちろん優雅そのものである。午後5時頃はまだ明るいので、デジタル一眼カメラでも、けっこう良いビデオを撮ることが出来た。そのうち、辺りが暗くなってきたのでカメラにしたが、やはりフラッシュを使わないと満足な写真を撮ることはなかなか難しかった。しかし、ビデオだけは記念に残るものが撮れたので、大いに満足している。踊り手の皆さん、特に富山から来られた本場の皆さんに、感謝申し上げたい。是非また来年も、見たいものである。いやまあ、盛りだくさんの一日だった。

越中八尾おわら節の囃子方




(2010年10月2日記)


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