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徒然221.湯島天神 梅まつり

今年の干支の辰が、なんとも頼りない顔とお姿をしている



 梅まつりの季節となった。仕事ばかりをしているとよろしくないので、昨年に引き続き、2月に入ってまた湯島天神へと足を運んだ。今年は気温が低い日が多かったことから、梅の花の咲きが遅くて、2週間近くも遅れているそうだ。だから、一方では受験期で最盛期を迎えている絵馬の山・・・牛の背中を思わせるほどだ・・・がある一方、梅の木には固いつぼみが並んでいるのみだ。なんだ、まだではないかとがっかりしつつ、また来週、出直して来ようと思い直した。

湯島の絵馬



湯島の絵馬


 そこで、梅の花を見る代わりに、その鈴なりの絵馬をちらちら見ていると、かつて書いたことがあるように、やはり今年もまた、誠に面白いのがいくつもある。その前にまず思ったのだが、その絵馬の表面に描かれている今年の干支の辰が、なんとも頼りない顔とお姿をしているのである。目を見ると、私はいったいどうましょうとでも言いたそうな困惑の表情である。こんな絵馬に受験生が願い事を書いて、果たして受験は大丈夫なのかという気がするのだが、どうやら願を掛ける人はそんなことは気にならないらしくて、ほんの数分見ている間にもどんどん絵馬が掛けられていく。その中でも、「長い人生の中でこの1年のがんばりを認めてあげてください。母より」というのは、母が子を思う気持ちがよくわかる絵馬だ。これは、素晴らしい。次に、何と台湾大学の人が、絵馬で願を掛けている・・・湯島神社の力は、台湾にも及ぶらしい。あれあれ、「千葉へ異重できますように! お願いします!!」なんというのもある。受験だけでなく、異動も取り扱っているみたいだ・・・それにしても「異」なんて書いていると、本当に異できるのかと思っていたが、よく見ると「重ヵ」と・・・ああ、「」となんとか読めた。それにしても大丈夫かこの人・・・。

桜井亜木子さんによる薩摩琵琶の演奏



湯島の梅まつりの舞台


 昨年はまだ工事中だった境内の池がもう出来上がり、それを泉鏡花の筆塚碑の背景として眺めると、なかなか風情がある。これで、梅が咲いていたらなぁと思いつつ、歩いていると、ペペペペンという琵琶の音とともに、祇園精舎の鐘の声・・・などと平家物語の一節を語る女性の声が聞こえてくる。そちらの方に向かうと、桜井亜木子さんによる薩摩琵琶の演奏である。那須与一の一節を聞いたが、とても味があり、なかなか良かった。次に、梅まつりの舞台の方へ向かうと、席が空いていたので、しばし座る。最初は、松本源之助社中による江戸里神楽の獅子舞があった。それが一段落すると、福徳の神の大黒様が出てきて打出の小槌を振ったり、顔の表に「おかめさん」、顔の裏に「ひょっとこさん」の仮面を被った女性が、道化のような踊りで楽しませてくれた。

湯島の絵馬


松本源之助社中による江戸里神楽


松本源之助社中による江戸里神楽



松本源之助社中による江戸里神楽


 次に、毎年楽しみにしているベリーダンスがあった。今年は、海老原美代子ベリーダンスグループである。本当に楽しそうに、そしてまたダイナミックに舞台狭しと踊り回るのがよい。それが終わると日本舞踊で、藤寿美社中であった。しかし、その直前にベリーダンスを見てしまうと、やはり迫力負けしてしまう。世界の舞台でこの二つを並べると、ゆるゆる、とろとろと踊る日本舞踊って、いったい何だろうかと思ってしまう。歳をとってもできるという意味では、ちょうど良いと思うが、これでは世界で戦えないのは確かである。産業も同じだ。長い間狭いところに閉じこもり、同じことを繰り返していては、そのうちそんなビジネスモデルは通用しなくなる。今の日本の製造業の苦境を象徴している姿なのかもしれない。



海老原美代子ベリーダンスグループ



海老原美代子ベリーダンスグループ


 最後に、社務所の近くで、チンドン屋を見かけた。何十年ぶりで、懐かしい限りである。私の小さい頃は、こういうチンドン屋さんが商店街を跋扈していて、ハーメルンの笛吹きよろしく、思わずその後を付いて行って親にしかられたことを思い出した。

チンドン屋








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(2012年 2月11日記)


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