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初冬に銀座から日比谷を歩く

01 日比谷公園の鶴の池


 もう12月に入ったので、都内のあちこちでクリスマスの飾りつけが始まった。その一方、紅葉の季節の最期の頃でもある。家内とともに、中心街をひと回りして来ようと思って、家からまず上野に歩いていった。動物園の真ん中を抜ける都道は、このところ歩道の整備が続いていたが、それがほぼ出来上がって、とても歩きやすくなった。我々は、上野に食事に行くときは、風月堂へ行くのが常だったが、つい最近に行われた改装で以前のイメージとは違ってしまったので、それ以来、新しいレストランを開拓中である。この日も、ここはどうかと思って、とあるホテルのレストランのメニューを見ていたら、中からウェイトレスさんが顔を出して「すみません、11時半からなんです。」という。「では、後からまた来ます。」と言って、外へ出た。

02 キヤノンのプリンターに使うカラーインク



純正品ではない紛い物のカラーインクを使って印刷した年賀葉書


03 純正品ではない紛い物のカラーインクを使って印刷した年賀葉書


 実は、この数日間は、キヤノンのプリンターを使って年賀状印刷の真っ最中なのだが、裏面の印刷に使うカラーインクが切れた。そこで、アマゾンで直ぐに持って来てくれるインクをネットで注文したところ、昨晩それが届いた。ところが、純正品ではなくて、紛い物だったらしくて、それを使ったら色味がどうにもしょうがないほど悪くて、年賀状としてはとても使い物にならない。安物買いの銭失いだったかと反省し、やはり純正品でなければと思ったことを思い出した。そこで、そのレストランを出た後、ヨドバシカメラに立ち寄った。するとサードパーティ製の840円に対して、純正品は1、700円もする。ネットで私が購入したのは、840円どころか、もっと安かったので、これは仕方がないと納得して、純正品を買った(ちなみに、後刻、帰宅してそれを使ってみたところ、色鮮やかに仕上がった。)。

キヤノンの純正品のカラーインクを使って印刷した年賀葉書


04 純正品のカラーインクを使って印刷した年賀葉書。色彩の出が明らかに違う。



 その買い物を済ませて、先ほどのホテルのレストランに戻った。ウェイトレスさんが覚えてくれていて、席に案内してくれる。そのウェイトレスさんの様子を観察していると、たくさんのお客さんが入ってきても客さばきが上手く、しかも常に愛想良く、そつなく、正確に処理している。中には、中国人の団体客も混じっているが、そういう人たちにも辛抱強くメニューを説明して、手早く注文を取っている。「この人は、とても有能だね。この人がいないと、店は回らないだろう。」と家内に言うと、「本当に。お店の人というのは、人の顔を覚えて、その傾向や気持ちを汲んで仕事をしないと、務まらないわね。きっとこの人は、そういう家庭で育ったのかも。」と語る。今日は、良い人に出会ったものだ。

05 GINZASIXの入口


06 GINZASIXの店内


 レストランを出て、銀座線で銀座に出る。銀座駅の地下から銀座コアビルの地下に出てそのまま地下伝いに行こうとしたら、以前の銀座松坂屋時代であればそのまま行けたのに、GINZASIXへと建て替わったら、途中で地下通路が閉じられて行けなくなってしまった。仕方がないので、いったん地上に出てから、GINZASIXへと向かう。といっても、僅かワンブロック歩くだけだ。エスカレーターで建物に吸い込まれるように入る。この建物は、地上13階で、今年の4月にオープンしたばかりだ。エスカレーターに乗って5階までのファッション・フロアを見る。吹き抜けになっていて、水玉模様のバルーンが下がっている。これは、草間弥生さんの作に違いない。それにしてもどこかで見た風景だなあと思ったら、六本木ヒルズや表参道ヒルズと同じ趣向だ。しかし、シンガポールやマレーシアの巨大なショッピングモールを見慣れた目で見ると、このGINZASIXの規模はまただまだ小さく、まるで箱庭のように感じる。むしろ、ようやくこれらの国の水準に少し近づいたというべきか。あらかた見終わったが、特に買いたいものもないので、建物のテラスに出てみた。すると、雪だるまが置かれている。しかし、雪だるま自体よりも、その周りに置かれたメルヘンチックな建物の模型の方が可愛い。今は昼間だが、夜になると、雪だるまに向かって吹き付けられるスノー・パウダーに光が当たって、さぞかし美しいものと思われる。

07 GINZASIXの雪だるま


 銀座通りから有楽町方面へと向かう。西銀座で大勢の人の列を見たが、きっと年末宝くじを買うためのものだろう。年末の風物詩である。JRの高架下を通り越して歩いて行くと、喫茶店の「集(しゅう)」がある。ここで休もうということになって、地下降りて行くと、幸い直ぐに座ることができた。家内と私も、ショートケーキを頼み、お茶を飲むことにした。ここは、ケーキもコーヒーも美味しいから、我々が好きな喫茶店の一つである。ただ、注文を取りに来てくれたウェイトレスさんは、何を聞いてもはかばかしく答えられない。先ほどの上野のホテルのウェイトレスさんとは大違いだ。これは、慣れというのもあるのだろうが、やはり能力の差なのだろうと思う。我が身を振り返って心すべきことで、幾つになっても、能力を磨くことは大切である。

08 帝国ホテルの花


次に、帝国ホテルに向かう。息子が結婚してからというもの、先方のご両親にも来てもらって17階の「サール」というレストランで、よく家族会を開いたものだ。というのは、このホテルの中でサールだけが、小さな子供がいても、受け入れてもらえたからだ。そういう思い出とともに中へと入る。帝国ホテルにはどんなクリスマス・ツリーがあるのかと思ったら、確かに大きいものの、意外とありきたりなものだった。その反面、正面の階段を降りたところにあるお花のモニュメントは、丸い真っ赤なもので、なかなか良かった。その脇で、新郎新婦さんが、幸せそうに写真の被写体となっていた。

09 日比谷公園での匝瑳市植木職人の実演


10 匝瑳市植木職人の作品


 帝国ホテルから、日比谷公園に行った。正面の噴水広場の一角で、「植木のまち匝瑳」のデモンストレーションが行われていた。「匝瑳市(そうさし)」というのは、日本難読地名の一つなので、たまたま私も知っていたが、どこの県かと思ったら、千葉県だった。北東部に位置し、北は香取市、東は旭市に接し、南は太平洋に面している。JRの駅は八日市場駅で、黒潮の影響を受けた温暖な土地であることから、全国でも有数の植木の生産地だそうな。植木生産農家の数は700軒、マキ、クロマツなど生産樹木の数は300種とのこと。その匝瑳市植木組合から職人さんたちがやってきて、庭園樹(造形樹)つまり「庭師が人工的に造形美を作り出す鑑賞用の樹木」の実演をしている。目の前の2本の木があり、一方は枝が格好良く左から右へとスーッと伸びて、まるで大きな盆栽のような木である。ところが、もう一つの木はありきたりな形にしていて、そこに職人さんたちが数人取り付いて仕事をしている。どういう作業をしているかという図面があった。それによると、曲げたい木の枝の繊維に沿って縦に浅い切り込みを何本か入れて、それをよじって「木を殺さないように」曲げる。曲げた後はその部分をきつく巻き上げ。傷口の癒合を図る。これを繰り返して、思い通りの形に仕上げるのだそうだ。最近では輸出に力を入れていて、特に中国では、縁起物の龍を思い出させるような樹木の人気があるという。

11 日比谷公園内の松本楼


 日比谷公園内の松本楼の周りには、立派な銀杏の木がある。それを横目に見て、鶴の噴水の池に向かう。大きな紅葉の木が池の上に掛かり、黄色く色づいた銀杏の葉が池面に映えて、実に美しい。これぞ日本の風景だと言いたいところである。藤棚のところから写真を撮っていると、タイ人女性の2人連れからシャッターボタンを押すように頼まれた。赤い大きな紅葉の木を背景に、溢れるような笑みを浮かべた2人の写真が撮れた。これで、日本に良い印象を持って帰ってもらえると思う。ところで、家に帰ったら、本日の歩数は、ちょうど1万歩となった。

12 日比谷公園内の鶴の噴水の池









 初冬に銀座から日比谷を歩く(写 真)




(2017年12月2日記)


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