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鎌倉へ桜の旅

高徳院・鎌倉大仏


1.鎌倉の桜の名所

 もう、関東地区の桜は終盤に差し掛かり、あちらこちらで花吹雪が舞い始めているという。そこで、ふと鎌倉に久しぶりに行って、今年最後の桜を観てこようという気になった。インターネットで桜の名所を調べた結果、次のようなコースをとることにし、朝8時半頃に家を出た。

 北鎌倉駅 → 建長寺 → 鶴岡八幡宮 → 本覚寺 → 妙本寺 → 鎌倉駅 →高徳院・鎌倉大仏 → 長谷寺 → 鎌倉駅


2.建長寺


建長寺


建長寺


建長寺


 東海道線を使ったところ、もう9時半過ぎには北鎌倉駅に着いた。駅のすぐ前は円覚寺で、私にはこちらの方に馴染みが深いが、この日は時間が限られているので、先を急いで建長寺に向かった。鎌倉特有の狭い道を明月院を過ぎて、駅から15分ほど歩いて、やっと到着した。「臨済宗建長寺派 大本山 建長寺」である。拝観受付の先には、もう参道の両脇に桜の木が満開で、桜のトンネルを作っている。これは、本当に見事なものである。左右と上空を桜で覆われたトンネルの中を行くと、その先には扁額「建長興国禅寺 」が掛っている大きな山門があり、それを近くの桜が取り巻いている撮影ポイントに至る。これは素晴らしいと思って、写真を撮り始めた。ところが、手前の桜による明るい「額縁」と、その奥にある暗い山門との明暗の差が大きくて、オートにしておくとなかなか良い写真が撮れない。明るい額縁に合わせると暗い山門が黒くつぶれてしまう。さりとて暗い山門に合わせれば、今度は桜の額縁が真っ白になってしまって桜かどうかもわからなくなって、どうにも具合が悪い。逆光モードで撮って、何とか見られる写真にした。こういう時は、市販の普及帯価格のカメラの方が、それなりの写真が撮れるかもしれない。

建長寺


建長寺


 その山門を過ぎて、仏殿、法堂をお参りし、唐門にたどり着く。唐門はとても美しいと思ったら、関東大震災以来の大規模修繕が2011年に終わったばかりだという。その左手には見事な紅枝垂れ桜があって、これも満開であった。


3.鶴岡八幡宮


鶴岡八幡宮


鶴岡八幡宮


鶴岡八幡宮


鶴岡八幡宮


鶴岡八幡宮


 その建長寺から、狭い道を10分ほど歩き、鶴岡八幡宮に到着した。いわば、裏口から入るような形になるのは、本日の道順からして仕方がない。大勢の参拝者で混雑する中、まずは鶴岡八幡宮にお参りし、それから階段を下りていく。途中、右手には先年の台風で倒壊した大銀杏の根っこが無残な姿を晒している。その隣には、それから採った若木が植えられているが、本当に根付くのか心配になる。さて、階段を下りきったところに舞殿があるが、それまでは桜の姿がない。ようやく、左手の源氏池の方に桜が見えた。その池まで行くと、池の周囲には染井吉野の桜の木が立ち並んでいて、しかも風が吹いてくる度に花吹雪が舞い、花びらが池に浮かんで花筏となっている。これは良い写真を撮ることができると思って撮り始めた。でも、やや桜の花の具合が「粗」になっているのは否めない。あと2日ほど早く来られれば、びっしりと花びらが付いていて、さぞかし美しかっただろうにと、ほぞを噛む思いである。

鶴岡八幡宮


鶴岡八幡宮


鶴岡八幡宮


 その源氏池を一周し始めたとき、池の中に水鳥がいることに気がついた。その体形からして、「青鷺(アオサギ)」ではないかと思われる。池の浅いところに立って、身体から下を少しも動かさず、首から上だけを伸び縮みさせて、魚が来ないかと、待ち受けているようだ。時々、首を縮めて魚を狙う姿勢をとるが、上手くいかないのか直ぐに元の姿勢に戻る。なかなかの根性だ。上野動物園にいる「ハシビロコウ」という鳥も日がな一日、同じ姿勢で水辺に立ち続けて飽きないが、それに次ぐ忍耐力のある鳥だ。しかし、私が見ている間、とうとう魚を捕ることはできなかった。源氏池の中に旗上弁財天がある。そこまで行って、また戻り、三の鳥居の前にきた。牡丹展を開催中らしいが、本日のテーマは桜なので、残念ながらまたの機会に譲り、先へ進むことにした。若宮大路も、染井吉野ばかりだが桜の木々が両側に真っ直ぐに植えられて、そのシンメトリーな感じが美しい。近くののレストランに入って、食事をした。


4.本覚寺


本覚寺


本覚寺


 若宮大路の鎌倉駅にほど近い鎌倉郵便局の脇を東に入ると、直ぐに本覚寺(ほんがくじ)の裏口となる。こちらは日蓮宗の本山で、山号は妙厳山。身延山の久遠寺にあった日蓮上人の遺骨を分骨したことから、「東身延」とも呼ばれるようになったそうだが、見たところ知る人ぞ知る存在で、参拝者の数は少ない。「紅梅、染井吉野の名所」とあったが、あらかた散ってしまっていた。ただ、紅枝垂れ桜は、満開で残っていた。そのほか、「しあわせ地蔵」と名づけられたお地蔵さんが、とても可愛いかったのが印象に残っている。


5.妙本寺


妙本寺


妙本寺


 本覚寺からほど近く、まるで山の中に入っていくような深山幽谷の趣のある道を行き、階段を上がって二天門を過ぎたところに染井吉野が大きな枝を広げて満開となっている。これだけでも、わざわざ来た甲斐があると思ったが、その奥にある祖師堂の脇には、大きな紅枝垂れ桜の木が、美しいピンク色の花をさも重たそうに付けている。境内には日蓮上人の等身大の銅像があって、その周りには染井吉野が今が盛りとばかりにびっしりと桜の花で満開だ。

妙本寺


妙本寺


 しかもこの日は、結婚するカップルが、和服の婚礼衣装でプロの写真家に写真を撮ってもらっていた。それが2組もいたのである。ここがいかに、観光客に知られていない穴場であるかが分かる。そのうちのひと組の花嫁さんが二天門をくぐるとき、背景となっている染井吉野に一陣の風が吹き、桜吹雪が舞った。これぞ日本の伝統の世界の美しさという雰囲気である。


6.鎌倉大仏(高徳院)

 さて、鎌倉駅に戻り、バスに乗って「大仏前」で降りる。そこから高徳院に入って行った。境内は、人、人、人で満員電車のようにごった返している。その中を抜けて、露天の鎌倉大仏様のところへ行く。「ああ、これは素晴らしい」と感嘆するばかりだ。しかも右手にある大きな桜の木が満開で、その枝と桜の花越しに大仏様の写真を撮ることができた。桜を画面の右手に置いたり、あるいは画面の上に持って行ったりして、思う存分に写真をとりまくる。幸い今日は快晴で、大仏様の緑青色、桜の花の白色、背景の山の緑色、そして空の紺碧の色と、まるで絵葉書のような色彩が豊かな写真を撮ることができた。


鎌倉大仏


鎌倉大仏


鎌倉大仏


 それにしても、大仏様は、誠に端正なお顔立ちだ。与謝野晶子の「鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな」を思い出してしまった。


7.長谷寺


長谷寺


長谷寺


長谷寺


長谷寺


 長谷寺は、高徳院から歩いてほど近い。誤解を恐れずにいえば、それにしてもこの寺さんは、観光客相手に勘所をよく掴んでいる。商売に例えれば、抜群の商売上手なのである。季節を問わずに絶えず花が咲くように配慮しているし、それほど広くはない境内の傾斜を利用して観音堂をはじめとする変化に富んだ諸堂宇が建ち並んでいるし、鎌倉の海と街並みが一望できて気持ちの良い「見晴台」、傾斜地を利用した眺めに変化のある「眺望散策路」を揃えているなど、心憎いほどの気配りがされている。更に、今回は「なごみ地蔵」というお地蔵さん目についた。

長谷寺


長谷寺


長谷寺


 さて、長谷寺の桜は、山門を入ったところの下境内にある桜の木(銅色の葉の特徴からして、おそらく山桜)、地蔵堂近くの紅枝垂れ桜と染井吉野、上境内の観音堂と観音ミュージアムとの間にある紅白の枝垂れ桜がなかなか良かった。また、石楠花が咲いており、誠に豪華な感じだった。






 鎌倉へ桜の旅(写 真)




(2018年4月1日記)


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