徒然300.平成から令和の時代へ

新しい元号「令和」



 平成に代わる新しい元号が「令和」に決まり、2019年4月1日午前11時半過ぎに政府から発表された。5月1日の新天皇の即位の日から施行される。大化改新の大化以来、令和は248番目の元号だそうだ。元号はこれまで中国の漢籍からとられていたが、今回初めて、日本の古典である万葉集からとられ、お陰で本屋から万葉集の普及本が売り切れてなくなった。

 「令和」の出典となったのは、万葉集の梅花の歌三十二首である。8世紀、大伴旅人が太宰府の長官として赴任していたときのこと、正月に仲間を館に招いて梅花の宴を催したときの「序」で、 「初春の令月にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫らす」 のうち、前半の令月と風和からとったものだという。

 辞典を引くと、「令月」とは、「何をするにもよい月、めでたい月、よい月」とあるから、「令」はとても良きイメージがあるポジティブな漢字とのこと。そういえば、深窓の嬢、夫人という言葉もあるくらいだ。ところが、「令」には命令、法令という意味もある。一般には、こちらの意味がよく知られているから、今回の元号の発表に際して街頭のテレビインタビューで初めて「令和」と聞かされた小学校高学年の男の子が「命令されるようで、イヤだ。」という感想を述べたのも、また宜なるかなと思う。

 しかしながら、まあ、「令和」、「令和」、「令和」・・・と、何回か口ずさんでいると、最初はそういう違和感が例えあったとしても、いつの間にか薄れて馴染んでいくものである。ちなみに書家によれば、「令」の字の下半分の縦棒は真下に下ろしてもよいし、あるいは「マ」の字のように左上から右下へ「チョン」と書いてもよいという。そういう変幻自在さも気に入った。


「令」をいかように書いても結構



 ちなみに私は、昭和、平成、令和の3つの時代を生き抜くことになる。いやもう、歳をとるわけだ。ともあれ、来るべき令和がよい時代でありますようにと願いつつ、新元号の誕生と新天皇の御即位を心からお祝いしたい。






【後日談】 画竜点睛を欠く

 4月2日の朝日新聞によれば、「外務省は、新元号を決定した直後、政府が承認している195カ国・国際機関に対して、新しい元号が「令和(REIWA)」に決まったことをファクスで一斉に通知した。その通知では、平成への改元時と同じ表現を用いて、英語で「the new Japanese Era(新しい日本の元号)」「令和」と決まったことを伝えた」そうで、今後外交ルートを通じ、元号の意味も説明していくという。

 ところが、この通知で新元号の英語の意味を書かなかったことが無用な混乱を招いたようで、一部の海外通信社の報道では、「「令和」「order and peace」(命令と平和)と訳されてしまった。そこで外務省は、「令和」「beautiful harmony」(美しい調和)を意味すると発表したが、時既に遅しの感が拭えない。せっかく対内的には完璧とも言える新元号の選定と公表のプロセスだったのに、対外的には気が回らなかったのか、いささか画竜点睛を欠くことになってしまった。

「令和」の公定英訳は「order of peace」ではなく「beautiful harmony」


 将来への教訓として、この問題を振り返ってみたい。先の記事からすると、「平成への改元時と同じ表現を用いて」とあるように、平成の時の前例を踏襲し昔の発表文をそのまま引っ張り出して「令和」に置き換えただけのように思える。それに、「今後外交ルートを通じ、元号の意味も説明していく」とあるので、外務省の念頭には、広報対象として外交ルートしかなかったようだ。

 確かに平成の年号が決まった31年前は今ほど通信やネットが発達していなかったから、広報はそれこそ「のんびりと」やっていても別に不都合はなかったのかもしれない。ところが今は、SNSなどを通じて、どんな些細なことでもあっという間に全世界に情報が伝わり、しばしば「炎上」事件が起こる時代である。あらゆる場面を想定して、慎重に対応しなければならない。加えて今回は、本文で述べた小学校高学年の男の子が感じたように、「令」という命令をも意味する文字がたまたま含まれていたのが、要らぬ誤解を招く元となった。

 逆に言えば、前例にそのまま従うのではなく、しっかり自らの頭を使って小学校高学年の男の子でも思い付くようなことまでを思い付き、それで対処すべきだったということになるのかもしれない・・・いや、確かにそうなのかもしれないが、これはこれで、そう容易なことではない。いずれにせよ、広報というのは、結構、頭と気を使う仕事なのである。内閣官房にはそういう人材が数多いるはずなのだけれど、ただ今回は、発表前に新元号が漏れないよう「保秘」があまりにも徹底してされていたので、新元号の英語の意味まで検討する時間と人手が足りなかったというのが本当のところだと思う。完璧さが、かえって抜かりを呼んだという皮肉な例かもしれない。もって他山の石としたい。





(2019年4月1日記。3日追加)


カテゴリ:徒然の記 | 23:47 | - | - | - |
安全ではありません(警告)

最上段の赤字が「安全ではありません」の警告


 昨日から、私のホームページの下部に、次のような表示をすることにした。

(技術的な注釈) ブラウザとしてSafariをお使いの方が最近のバージョンアップ(iOS12.2)の後にこの「悠々人生」を閲覧しようとすると、URLアドレスバーの横に「安全ではありません」という警告が表示されるようになりました。そういう場合は、この悠々人生を閲覧するアドレスを「http://uu-life.com/」から「https://uu-life.com/」へと「http」の直後に「s」を付け加えるようにしていただければ、この警告の表示は消えます。これは、「https」で始まる悠々人生のサイトが暗号化されていて、安全であることを示しています。以後、このアドレスから閲覧していただくよう、お願いいたします。

 私は、iPhoneやiPadで自分のHP(ホームページ)「悠々人生」を確認することが多い。ところが、本日(2019年3月30日)、そのiOSを12.2へとバージョンアップしたところ、URLアドレスバーの横に「安全ではありません」という警告文が表示されるようになってしまった。これでは、わざわざ「悠々人生」を閲覧しに来ていただいた方々が、気になって仕方がないだろうと思う。管理者の私自身がそうなのだから、これは何とかしなければならない。

 ネットで調べてみると、この「安全ではありません」の警告は、2018年3月から使われてきたiOS11.3でも表示されていたが、それはパスワードやクレジットカード番号を入力するページに限られていたようだ。ところが、2019年3月のiOS12.2からは、それに限らず「http」から始まる全てのページで表示されるようになった。なぜかというと、「http」から始まるURLの場合は、通信が暗号化されていないので、ネットワーク上の第三者が容易にその内容を盗聴することができるからだという。

 そこで、私のようなHP(ホームページ)サイトの管理者としては、自らSSLサーバー証明書を取得して所要の設定をすることによってそのサイトを暗号化すれば、この「安全ではありません」の警告表示は消えるそうだ。それが、「https」で始まるアドレスなのである。そういうことで、私は早速その証明書の取得と必要な設定をした。すると、確かにこの警告表示は消えたが、この「https」で始まるアドレスに変えていただくように、読者に呼びかけなければならないことになった。これは私だけでなく読者にも面倒なことだが、仕方がない。

https://uu-life.com/で始まるアドレスに変えていただくように、読者に呼びかけ


 ところが、まだ1つ未解決の問題が残っている。私は、本体の「悠々人生」に掲載したのと同じ内容をブログ(http://blog.uu-life.com/)に載せているが、そのブログのアドレスでのSSLサーバー証明書の取得の仕方がわからない。これは、当該ブログ会社のシステムと深くかかわっているのではないかと思うので、現在、問い合わせているところである。ブラウザとしてSafariのシェアは、とりわけモバイル分野では7割を超えていることから、本件は、ブログの閲覧数とも大いに関係する。だから、大変な問題に発展するかもしれない。




【後日談】問合わせと回答

(私の問合わせ) アイパッドとアイフォーンでSafariをブラウザとして使っているのですが、このたびiOS12.2にバージョンアップしたところ、URLアドレス欄に、「安全ではありません」表示が出てくるようになって、これは閲覧に大きな影響を与えそうですが、その消し方がわかりません。他方、私はロリポップの方で独自ドメインを持っていて、無料SSLも発行してもらっているので、仕組みはわかっていて、そちらの方は、次のアドレスにしてもらうように呼びかけています。こちらのブログは、どうすればよろしいのでしょうか。これは、全員に共通する大きな問題です。https://uu-life.com/

(会社からの回答)  このたびはお問い合わせいただきまして、ありがとうございます。JUGEMカスタマーサービスでございます。

 お問い合わせいただきました件についてですが、httpsにつきましては、「常時SSL通信」と申しまして「そのページ内のフォームにて書き込まれた情報が外部に漏れること無く、暗号化された状態で、目的とするサーバーに情報が送信がされる」ということを意味します。具体的には、例えば当該ブログが、いちショッピングサイトだったとして、その中で商品の販売をおこなう際に、エンドユーザーさま(サイトをご覧になっているお客さま)は、決済のため、例えば「クレジットカード番号」等を入力しなくてはなりません。

 ここで従来の「http」による、いわゆる「保護されていないサイト」についそうした重要な個人情報を入力しますと、外部からの悪意ある何者かによってその通信を傍受され、通信の中身の情報を盗み見られる、あるいは情報そのものを盗まれてしまう可能性がございます。しかしながら、当該ブログにつきましては、ブログサイトでありますため、閲覧者の方に、なんらかの情報をご入力いただく要素については、「コメント欄」のみとなっております。そして「コメント欄」につきましては「名前・サイトURL・メールアドレスおよびコメント内容」という情報のみであり、かつそれらの項目の入力については、コメンテーター側の任意による意思決定の下で入力されるものになります。また、常時SSLへの対応可否等については、ユーザーさまではなく「サーバー管理者側(当該ブログの場合ですとJUGEM側)」にて対応されるものとなります。

 このためJUGEMブログでは、現時点に於きましては、先述いたしましたように、ブログという特性上、緊急の対応が必要であるとの判断には至っておりませんが、今後の対応予定につきましては検討中でございます。また、Googleからのセキュリティ警告につきましては、恐らくは、上記にて先述しました「コメント欄」を「個人情報を入力させるフォーム的なもの」として検出した結果、出されているものと思われます。

 したがいまして、該当の警告につきましては、そのままご放念いただいて問題はございません。また、お客さまにて何か対応をいただく必要もございませんので、ご安心いただければと存じます。 ※常時SSLの詳細につきましては、下記検索結果URLを参照いただければ幸いに存じます。https://goo.gl/cGF2Ag

 その他、ご不明な点などございましたらお問い合わせ下さい。どうぞよろしくお願いいたします。


(私が思ったこと) 問い合わせの翌日直ぐに返信が来るというスピーディな対応には感謝するが、よく読むとこれは、Googleからのセキュリティ警告に対する回答をそのまま転用したものである。Safariについて聞いた私の質問の核心からはずれているし、「常時SSLへの対応可否等については、ユーザーさまではなく「サーバー管理者側(当該ブログの場合ですとJUGEM側)」にて対応されるものとなります。」という人ごとのような回答には、「あなたはJUGEMでしたよね。だからどうされようとしているのか聞いているんです。」と言いたくなるので、再質問を行った。もっとも、問題が問題だけに、直ぐには回答ができないだろうなと思う。

(私の再質問内容) 早速のご返信、ありがとうございます。私もコメント欄が探知されてこの警告が出ているものと思い、私個人は全く心配しておりません。ただこれは、Googleからのセキュリティ警告ではなくて、Safariからの警告なんです。Safariはモバイルのブラウザで7割のシェアがあるので、一般の人がブログを閲覧する際には非常に嫌味なのですね。ですから、閲覧数に大きく影響する可能性があるので、早急な対応をお願いします。

(会社からの再回答)  Safariでの警告におきましても、SSL化されていないことが起因と考えられますため、先述いたしましたようにJUGEMでは対応が出来かねる状況です。ご希望に添えず申し訳ございませんが、何卒ご了承ください。

(私が思ったこと) やはり、現在のシステムではブログをSSL化できないようで、ゼロ回答だった。せめて、コメント欄だけでもSSL化できないかとも思うが、それも結局は個々のブログをSSL化しなければならないので、手間は同じことだろう。ということは、ブログ管理者としては、このまま脆弱性を抱えながら運営していくのも気持ちが悪いので、コメント欄をやめてしまうのが現時点の唯一の対策だ。しかしながら、例えそうやったとしても「安全ではありません」の警告の表示は消えないという問題は残り、閲覧する人は気持ちが悪いだろうなと思うし、この会社が提供するブログ全体の閲覧が減りかねないと考える。しかし、今のところ、解決策はないようだ。せめて、自分のホームページ本体「悠々人生」だけは対策ができたので、それで良しとするか・・・世の中、セキュリティが厳しくなればなるほど、こういう問題が起きそうだ。







(2019年3月31日記)


カテゴリ:- | 14:42 | - | - | - |
目黒川の夜桜

目黒川の夜桜


 去年の桜の季節には、今から思うと結構頑張って、あちこちの桜の写真を撮りに行った。皇居濠周辺と六義園の枝垂れ桜(昼夜)、国立劇場前の神代曙、千鳥ヶ淵、横浜三渓園、小田原城址公園それに愛宕神社の染井吉野、新宿御苑の八重桜、鎌倉の古刹の桜に塩山の桃の花と桜である。我ながらよく行ったものだ。晴天が続き、しかも土日の具合と桜の開花時期とがうまく重なったという事情もあったと思う。

 桜の季節 2018年
    皇居濠周辺の桜 
    六義園(昼)の桜 
    六義園(夜)の桜 
    国立劇場前の桜 
    横浜三渓園の桜 
    小田原城址の桜 
    千鳥ヶ淵の昼桜 
    飛鳥山公園の桜 
    愛宕神社の昼桜 
10     新宿御苑の昼桜 
11     鎌倉の古刹の桜 
12     塩山の桃花と桜 


 今年の方針として、去年行かなかったところを中心に桜を撮りに行くことにした。まずは、最近とみに評判の高い「目黒川の夜桜」である。私の友達によれば、今からおよそ30年前の昭和の終わり頃に目黒川のほとりに住んでいたけれども、その時は商店街の人たちが「川沿いには何もないから、桜の苗木でも植えようか。」という調子だったそうだ。ところが、その苗木が大きく育って、10年くらい前から「目黒川沿いの桜」として取り上げられるようになったので、驚いているという。

 インターネットを見ると、昼間よりもライトアップされた夜間の方が、川のコンクリートが見えないし、幻想的な雰囲気があってよろしいのではないかと思われるので、夜桜を見に行くことにした。池尻大橋駅からと、中目黒駅から行く方法があるが、我が家から地下鉄を1度乗り換えて30分余りで行ける中目黒に行くことにした。


目黒川の夜桜


 中目黒駅で降りて目黒川まで歩くと、ほんの数分で着く。すごい人波だ。目黒川には数多くの橋が掛けられていて、その橋の上から目黒川を眺めるれば、川に沿って数多く飾られているボンボリ、そのピンク色が反射して美しい川面、川の両岸から覆い被さるように咲く染井吉野の桜を一度に眺められる。しかも、手間の桜はボンボリの色を反射してピンク色に、もっと先の桜は白色LEDライトを反映して白っぽく見えて、奥行きを感じさせる。

目黒川の夜桜ぼんぼり


目黒川の夜桜の猫


目黒川の夜桜


 面白いのはボンボリで、大抵はお店の名前が書いてある宣伝だが、中には「祝銀婚(夫婦の名前)」「(子供さんの名前)一歳おめでとう」などがあって、微笑ましい。飼い猫が二匹、大人しく重なって休んでいる。ところで、中目黒から北へは、川岸の東側が一方通行になっていて、西側がその逆だ。そこで、東側を人波に乗ってぶらぶらと歩き、橋のところに来たら写真を撮り、また歩くということを繰り返して、ついに山手通りに区切られるところまで来た。

目黒川の夜桜


目黒川の夜桜


 そこで橋を渡って西岸をまた中目黒方面に戻れば良かったが、もう少し北はどうなっているのだろうと興味を持って、山手通りを横切って北上した。すると再び目黒川のボンボリと桜の風景が現れたが、その前と比べて物寂しいし、全体に暗い。桜を照らす白色LEDライトがないからだ。そうこうしているうちに池尻大橋駅に着いた。夜桜を満喫したというか、ピンク色にいささか辟易してきたので、そろそろ帰ることにした。

目黒川の夜桜


 この夜桜は、会社帰りに同僚と、あるいはカップルで、飲み物を手にそぞろ歩きをしながら眺めるのが一番かもしれない。ただ、外国人とりわけ中国人が多い。彼らは一家揃って来日するケースが多いから、小さな子供さんや、もう90歳は超えているのではないかと思われる高齢のお爺さんお婆さんも連れてきている。そのバイタリティには、驚くばかりである。







 目黒川の夜桜( 写 真 )





(2019年3月28日記)


カテゴリ:エッセイ | 23:21 | - | - | - |
梅と寒桜とメジロ

新宿御苑のメジロ"


1.亀戸天神の梅

 3月もそろそろ中旬に入ろうとする頃、久しぶりに快晴の土曜日となった。これはどこかで写真を撮って来なければと思い、家内を誘って亀戸天神に出かけた。梅が見頃と聞いたからだ。亀戸天神といえば藤の花だから、梅の木なんてあるのかと思ったが、いざ着いてみると、池の周囲と本殿の両脇に梅の木があってなかなか立派だった。


青い空に赤い鳥居が目立つ亀戸天神


ピンク色の枝垂れ梅越しに、欄干が赤い太鼓橋


 参道に入って行くと、青い空に赤い鳥居が目立つ。正面は丸い太鼓橋だが、紅白の梅に誘われて左手に進む。すると、ピンク色の枝垂れ梅越しに、欄干が赤い太鼓橋が見えるポイントがあった。ただ、梅の花があまりにばらついていることから、写真の構図としてはなかなかうまくいかないのが残念である。

本殿の両脇には、向かって右が紅梅、左手が白梅の大きな木


菅原道真公5才


 本殿の両脇には、向かって右が紅梅、左手が白梅の大きな木である。その本殿のバックには、東京スカイツリーがちょっと顔を覗かせている。まさに旧と新の組み合わせだから面白い。菅原道真公が僅か5才の頃、紅梅が美しいことから「美しや紅の色なる梅の花 あこが顔にもつけたくぞある」という一句を詠んだというから、ただ者ではない。文字通りの天才だったのだろう。

猿回し


 本殿の近くの舞台前では、猿回しのお兄さんが、元気な若いお猿さんとコンビを組んで、大道芸を披露していた。


2.清澄白河庭園の青鷺

 清澄白河庭園は、亀戸天神から比較的近いところにある。この庭園は、中心に大きな池があってそれを見るだけでも気分が清々するところである。しかし、それだけでなく、全国各地から集めてきた貴重な石を観て楽しむというのが「通」の過ごし方である。ただ私は、未だにそういう境地には至っていない。


中心に大きな池


 池の中には大きな鯉がいる。また、雁や鴨が飛んで来て、池に浮かんでいる。石の上には亀が甲羅干しをしている。実に長閑な風景だ。その中で、水辺に一羽の青鷺(アオサギ)が立ち尽くしており、その周辺にはどことなく緊張感が漂っていると思うのは、いささか考え過ぎなのかもしれない。

鴨


青鷺(アオサギ)


 池の裏手に行くと、背の高い木に、真っ赤な花がいっぱい咲いている。近づくと、ピンク色が濃い寒緋桜である。染井吉野の桜には2週間ほど早いので、今年初めての桜である。これは美しい。ただ、寒緋桜の桜は下向きに咲くので、どうも撮りにくい。露出をややプラスに補正して、何とか対応した。

ピンク色が濃い寒緋桜





3.神田明神のエドッコ


神田明神 随神門


神田明神 御神殿


 次の日は曇天だったが、神田明神まで出かけた。家内は久しぶりだったので、随神門と御神殿が格段に美しくなったと言っていた。随神門をくぐり、そのすぐ左手には、新しい建物があった。これは、3ヶ月前にオープンしたばかりの「エドッコ(EDOCCO)」と称する文化交流館だという。

神田明神 エドッコ(EDOCCO)


 コンセプトは「伝統と革新」で、神社らしい建築様式の建物ではあるが、現代アートの作品を展示したり、秋葉原が近いので土日にはメイドカフェやアイドルのイベントも開くというから、聞くだけでも頭が混乱しそうだ。


4.東京都庁の観光宣伝

 それから、東京都庁に行った。展望台に登って降りてきて、観光案内所を覗いて、面白いものを見つけた。正面に大きな縁起物の熊手が置いてあるが、それを真似たのか、東京の地区毎を紹介する「宝船」が飾ってある。それが実に良く出来ている。


中野区のコーナーでは高円寺の阿波踊りや仏像


台東区のコーナーでは浅草の雷門両国の相撲、上野公園のパンダなど


 例えば、東京の離れ島を紹介するコーナーでは、大島のアンコ椿のお姉さん、サーファー、小笠原諸島の熱帯の海にいる鯨、海亀、熱帯魚、ダイバー、温泉などが「飛び出す絵」のように立体的に作られている。中野区のコーナーでは高円寺の阿波踊りや仏像が、台東区のコーナーでは浅草の雷門両国の相撲、上野公園のパンダなどが描かれている。これには、感心してしまった。

新宿観光特使「ちびゴジラ」



 なお、東京都庁に行く道すがら、新宿住友ビルの壁面に、新宿観光特使「ちびゴジラ」という東宝のキャラクターが描かれている。昨年10月から今年3月までの期間限定ということだそうだ。今回は3回目で、前回は鉄腕アトム、前々回の初回は大人のゴジラの上半身だったそうだ。


5.新宿御苑の寒桜とメジロ

 新宿御苑は、桜の季節には必ず行って見ることをお勧めしたい。約1月にわたって、染井吉野だけでなく関山のような様々な八重桜がバトンリレーのように次々と咲き、実に見事なものである。それに比べて、本日は3月10日だから2週間ほど早いなと思いながら入園したところ、思わぬ光景に出会えた。意外にも、大きな桜の木が満開だったことだ。「寒桜」という。先程の清澄白河庭園で観た桜は「寒緋桜」で、あまりに赤色が強すぎたり花が下向きだったりして、桜というにはどうも認めかねるものだった。それに対してこの寒桜は、色もピンクで申し分ないし、とても華やかで良い。


寒桜



 それを愛でながらつくづく眺めていると、「チチチッ」という小さな声がしたと思ったら、数羽の小柄な鳥が飛んできて、盛んに花びらを啄ばみ始めた。体は黄緑色である。これはもしかしてメジロかと思って超望遠レンズをセットしてカメラを向けたところ、やはりそうだった。眼の周りが白いので、間違いない。しばらくその姿を撮らせてもらい、腕がだるくなるまで続けた。帰宅してパソコンで画像を見たところ、結構良く撮れていたので、大いに満足をした。これは良い休日だった。

寒桜を啄むメジロ


寒桜を啄むメジロ


 その他、この季節に新宿御苑で咲く花で普段はあまり見かけることのないものとして、木五倍子(きぶし)、三叉(みつまた)などがあった。三叉は、確かに一本の枝が三本に分かれて、その先にそれぞれ花を咲かせている。なるほど、名前の由来の通りである。

木五倍子(きぶし)


三叉(みつまた)





6.上野公園の猫とヒヨドリ

 先週末の土日、家内とともに、亀戸天神の梅を見たり、新宿御苑でメジロを見たりして、もう春の足あとが聞こえると思って、幸せな気分になった。今週また土曜日が巡ってきたが、いつ雨が降るかもしれないという天気だったので、今回は遠出はやめて、二人で不忍池と上野公園を通り抜け、御徒町へと歩いて行った。


上野動物園の猫


 途中、上野動物園の不忍口脇に、寒緋桜がある。それを見上げていたら、鳥が来て花を啄ばみ始めた。先週末は新宿御苑で同じような光景に出会った。その時はメジロだったが、今回の鳥は黒っぽいし、体がもっと大きい。ただ、お昼前だったので、逆光気味でよく見えないし、写真に撮ってもおそらく真っ黒に写るだろうから、露出を調整したとしても、絵にならないだろうと思って眺めていた。すると、側でそれを見ていた動物園のガードマンのおじさんが、「先週まではメジロが来ていたんだけど、その次は、ヒヨドリがやって来るのさ。」と教えてくれた。「なるほど、あのヒヨドリか」と思いつつ、お礼を言って、その場を離れて不忍池に向かった。

桜の木の上の方に、ヒヨドリがやってきた


 不忍池をぐるりと回り、上野公園の入り口に行くと、両脇の2本の大きな桜がもう咲いている。ああ、これも寒桜だから早めに咲くのだ。その前では、中国人らしき観光客が大勢、写真を撮っている。女性は、片脚を少し前へ出して小首を傾げるなど、ポーズをとるのがとても上手い。交番脇の寒桜の木の幹の股には、飼い猫が置かれていて、なかなか可愛い。それを見ていると、桜の木の上の方に、ヒヨドリがやってきた。今度は逆光にならずに撮れる。少し遠いしメジロより動きが早いので、撮るのにはひと工夫もふた工夫も必要だが、何とか撮ることができた。

 それが終わって、御徒町で食事をする。家内は体重を増やさなければいけないので、しっかりと食べてもらい、私はせっかく減量した成果を無駄にしたくないので、軽く済ませた。ところが、店を出てみると、少しお腹が空いている。結局、近くの「みはし」で甘いものを食べてしまったから、何をか言わんやだ。


ユリカモメ


 それからデパート地下で買い物をする家内と別れて、私は再び来た道を通って家に歩いて戻った。その途中、不忍池で鳥を撮った。鴨は平和でよろしいが、ユリカモメは、その険しい顔付きといい、鋭く尖った嘴といい、かなり恐ろしい鳥だ。そういうことからも、鳥類は恐竜の子孫という説は、本当だと思う。ちなみに、別名、寝癖鳥というキンクロハジロが、いたいた。頭の後ろの寝癖のような毛が、何とも可愛い。

キンクロハジロ








 梅と寒桜とメジロ( 写 真 )








(2019年3月10日記。17日に6.を追加)


カテゴリ:エッセイ | 21:12 | - | - | - |
カメラと写真の見本市

バービー人形カメラ




     目 次 

 1.ミラーレス一眼の大変革
 2.CP+2019の模様
 3.横浜をぶらっと散歩



1.ミラーレス一眼の大変革

 パシフィコ横浜で開催された「CP+(シーピープラス)2019」に行ってきた。これは、「カメラと写真映像のワールド・プレミア・ショー」というもので、そのHPによれば、「“スマホで十分”な方から、プロフォトグラファーまで。シーピープラスは“写真のある生活”を送るすべてのかたが、カメラと写真の楽しみ方をあらゆる角度で体感できる総合イベントです。目玉の製品展示をはじめとして、ためになるセミナーや楽しいイベント、参加型写真展や写真集販売、中古カメラやフォトアクセサリーの販売など、パシフィコ横浜と大さん橋ホールの2会場で、もりだくさんの4日間です。」という。


キヤノンEOS70Dとタムロンのレンズ


 私は、普段はAPSーC仕様のデジタル一眼レフカメラ(キヤノンEOS70D)を持ち歩いて、このHP(悠々人生)に載せる写真を撮っている。これとタムロンのレンズ(16−300mm。APS−C専用)の組合せは非常に具合が良くて、レンズの取り替えをすることなく、広角端(16mm)でも望遠端(300mm)でも、夜間などの撮影条件の悪い時でも、何でも撮ることができる。それでいて、撮ったものを多少引き伸ばしても、それなりに見られる写真となる。

オリンパス・ペンE−P3


 そういうことで、「あと少なくとも数年は、この組合せで趣味の写真を撮っていくのも良いな。」と思っているのだけれど、かつてのパソコンと同じで、デジタルカメラの技術進歩は著しい。どんどん素晴らしい製品が出てきている。振り返ってみると、私は、平成21年6月に、その当時のミラーレス一眼カメラの走りだった「オリンパス・ペンE−P1」を買い、それから同23年8月に「オリンパス・ペンE−P3」に乗り換え、更に25年9月に現在のキヤノンEOS70Dにたどり着いた。それ以来、5年4ヶ月の間、現在のカメラとレンズで撮り続けている。何でも新しいものに飛びつく癖のある私にしては、これは相当に長い期間だ。つまりは、それだけ気に入っているからだが、強いて言えば、歳をとるに連れてカメラとレンズが重たく感じられるようになった。それに、タムロンのレンズとの組合せが良くないのか、特に望遠端でピントが合うのが遅いという気になる点もある。

 この間、ミラーレス一眼の世界には大変革が起こった。当初は、パナソニック(ブランド名は「ルミックス」)とオリンパスが画像素子(センサー)の小型の規格(「マイクロフォーサーズ」規格)を提唱した。平成20年8月のことで、その翌年に私が買ったオリンパス・ペンE−P1は、このタイプである。ソニーは、このマイクロフォーサーズ陣営には加わらずに独自路線を貫き、それよりも画像素子が大きいAPS−Cサイズのミラーレス一眼を発表し、じわじわと普通のデジタル一眼レフを追い上げてきた。ちなみに、それまで一般的だったデジタル一眼レフとミラーレス一眼との差は、カメラの中に撮りたい被写体を反射させる「レフ(鏡)」があるかどうか、つまりミラーボックスと光学式ファインダーを持つか持たないかという点で、これらを持たないミラーレス一眼の方が、より小型で、かつ軽くなる。ところが、じかに被写体が見られる一眼レフの場合と違ってミラーレスの場合はファインダーにその被写体が映るのに若干のタイムラグがあることと、フルサイズの画像素子を持つものがない
(注)というのが最大の欠点で、これらがプロには使ってもらえない理由だった。

(注)画像素子の面積の比較

 画像素子(センサー)の面積は、コンパクトデジカメ(1/2.3)を1とすると、マイクロフォーサーズは7.8、APS−Cは12.8、フルサイズは20である。もちろん、この値が大きいほど、綺麗な写真が撮れるという理屈である(レンズや画像エンジンの性能にもよるが、それは捨象する。)。


 しかし、それをブレイク・スルーしたメーカーが現れた。ソニーである。あの小さなミラーレス一眼のボディーに、フルサイズの画像素子を載せたのである。しかもファインダーのタイムラグを短くしたようだ。その製品が、今から5年前に発売された「α7(アルファ・セブン)」だった。価格も、うろ覚えだが、確かボディーだけで当初50万円くらいはしたと思う。その性能と値段にビックリしたことを覚えている。そうこうしているうちに、どんどんと性能が上がり、現在では第三世代の「α9」となっている。1秒間に20枚も連写でき、合焦速度は早く、かつ(両目ではなく)片目にピントを合わせられるという驚きの性能だ。

 ところが、デジタル一眼レフの2大メーカーであるキヤノンとニコンは、この急速に進化するミラーレスの様子を見ながら、ここ数年間は音無の構えだった。おそらく、ミラーレスのフルサイズを発売したりすると、既存のデジタル一眼レフ市場と共食いになってしまうことを懸念したのであろう。しかし、デジタル一眼レフの売上が落ち始め、ミラーレスがどんどん伸びてくると、そうも言って居れなくなった。そこでキヤノンとニコンの2社は、昨年(平成30年)秋に相次いで、フルサイズのミラーレスの発売に踏み切った。これにより、消費者としては、商品選択の幅が広がって、これは面白くなったといえる。


2.CP+2019の模様

 いわば前置きが長くなったが、私がCP+(シーピープラス)2019に行こうという気になったのは、かくしてようやく出揃ったソニー、キヤノン、ニコンの3社のフルサイズのミラーレス一眼を実際に手に取り、気に入ったものがあれば買おうかという気持ちになったからである。そういうことで、我が家から千代田線に乗って明治神宮前駅で副都心線に乗り換え、そのまま、直通運転で、みなとみらい駅に到着した。同駅から、パシフィコ横浜までは、歩いて数分だ。

 建物の中に入ると、まず、リコーの全天球カメラ(THETE)のブースがあった。人がかなり並んでいたが、私は未だ触ったことがないので興味が湧き、ふと入ろうとすると、既にこのカメラの旧型を持っている人だけが対象だという。これは逆で、むしろ私のようにこのカメラに未だ触ったことがない人を対象とすべきである。旧型を持っている人は、放っておいても関心を持つのは当然だから、それ以外の人を対象にしないと顧客の裾野が広がらないと思うが、どうだろうか。

 次にあったのが、タムロンのブースである。私のキヤノンのカメラにはタムロンのレンズを付けているから、今度は堂々と入ることができると思ったら、誰でも自由に入ることができて、しかも目の前のモデルさんを自由自在に撮ることができると知って、拍子抜けした。モデルさんの周りには、多くのカメラが置いてあってその全てにタムロンのレンズが付けてあり、入場者はそれを手に取ってモデルさんを撮れる。自分のSDカードを持ち込めば、その撮った写真を持ち帰ることができるという趣向である。


タムロンのモデルさん


タムロンの18−400mm(F/3.5-6.3 Di II VC HLD)


 実は、その時に渡されたパンフレットに、大いに気がそそられるレンズが載っていた。それは、18−400mm(F/3.5-6.3 Di II VC HLD)である。「世界発の18mmから400mmまでをカバーする超望遠高倍率ズームで、望遠側400mmは35mm版換算で620mm相当の超望遠撮影となる」という。掲載されている写真によると、18mmの時では豆粒のような大きさの人物が、400mmの時は画面一杯に広がっている。これは凄い。私は今持っている16−300mmのレンズを初めて付けた時に大いに感動したものだが、その時と全く同じような感覚だ。つまりはその上位版というわけである。希望小売価格は9万円だから、ボディーだけで約40万円のソニーα9よりはるかに安い。

ソニーα9


 どうしようかと迷うところだが、結局は、その人がどんな被写体を撮りたいのか、そしてその撮った写真をいかに使うかということに尽きるのだと思う。私の場合は、どこへ行くにしてもなるべく1本のレンズで済ませたいし、被写体に近づくのは面倒で遠くから望遠で済ませたい方なので、そういう人物にはこの18−400mmの魅力には抗い難い。反面、ソニーα9の連写機能は、高速で飛んでいる飛行機や演技中のフィギュア・スケートを撮るにはよいが、私が好む被写体にはそういうものはほとんどないから、α9はオーバースペックとなる。

早いテンポでダンスをするモデルさん


 そういうことで、意外なことに、見本市の最初の段階で、フルサイズのミラーレスの購買意欲をいささか失ってしまった。妙なことになってしまったが、そのまま進んで行くと、本日のお目当てだったソニーのブースがあった。タムロンと同様にモデルさんがいてαシリーズのカメラで撮れるという趣向である。観客に、早いテンポでダンスをするモデルさんや、ぴょんびょん飛び回るスケートボードのお兄さんを撮らせている。いざソニーα9を手に取ってみると、レフ(鏡)がないので当然かもしれないが、シャッターボタンを押したときの軽やかさが気に入った。画質は、今のカメラと比べてみることができないので、よくわからない。ただ、片目にピントを合わせているのは本当で、こんなことまでやるのかと思わず笑ってしまった。隣のセミナー会場では、冬の北欧フィンランドに行った女性写真家(山本まりこさん)の講演をやっていたが、その写真のスライドを見る限りは、細部まで詳細に写り込まれていた。

ぴょんびょん飛び回るスケートボードのお兄さん


 改めてソニーα9を手にしてみると、ボディの重さは435gというから、確かに軽い。しかし、当たり前のことだが、付けるレンズが重いと、そのボディーの軽さが帳消しになることが良くわかった。ソニーはフルサイズのミラーレスで他社を5年も先行しているので、ミラーレス専用のレンズはもう28種類(Eマウント、35mmのみ)にも上っていて、他社を圧倒している。ちなみにミラーレスは、レフ(鏡)がないだけに、その分、専用レンズの開発の余地がある。ラインナップされている超望遠レンズの中には、最大の望遠端が400mmというものがあるのだけれど、そのFE 100mm-400mmは、残念ながら重さ1.5kgで32万円もする。つまりα9のボディーの3倍の重さで値段はほぼ同額だというのだから、それだけの投資をする気にはなかなかならない。

キヤノンのミラーレスEOS RP


 次に、キヤノンのミラーレスEOS RPを手にした。キヤノンとしては初めてのミラーレスである。その市場が急速に伸びて既存の一眼レフ市場が落ち込み始めたから慌てて出したのか、それとも無理矢理出さざるを得なくなったのかはよくわからない。手に取ったところ、ともかく軽いの一言だ。485gと、ペットボトルより軽いし、なるほど宣伝文句にあるようにA6の文庫本のサイズより小さいというから、まあ頑張って作ったというべきか。もっとも、肝心の画質がどうなのかは、外形からはわからないし、とりわけ優れているという説明も見当たらなかった。1秒間の連続撮影枚数も、私のEOS70Dですら7枚だというのに、5枚に過ぎない。まだまだ発展途上という印象を受ける。発売されたばかりなのでやむを得ないが、ソニー・アルファ・シリーズの蓄積に追い付くのには、少し時間がかかるかもしれない。

ニコンのミラーレスZ7


 ニコンのミラーレスZ7については、手に持つとずっしりくると思ったら、675gと、かなり重い。1秒間の連続撮影枚数は7枚だ。画質はよくわからない。記録媒体がXQDカード一本というのが、素人カメラマンとしては気に入らない。手持ちのSDメモリカードが使えないばかりか、読み出すのにわざわざカード・リーダーが必要となるからだ。プロならともかく、素人なら高速SDカードで十分だと思うのだけれど、このあたりが、将来の劣勢につながらなければよいと願うばかりだが、果たしてどうなるか。

パナソニックのブース


 パナソニックのブースでは、今月下旬に発売予定の画像素子(センサー)がフルサイズのミラーレス、LUMIX S1Rがあった。いよいよマイクロフォーサーズから脱却するらしい。結構なことだ。しかもライカレンズのLマウントを採用したから、その本気度がわかる。記録媒体がXQDカードとSDメモリカードのダブルスロットというので、やや心が動いた。

 オリンパスのブースを覗いたが、こちらは相変わらずマイクロフォーサーズ規格である。私には非常に懐かしい。もっとも現在の主力機種は、かつてのペン・シリーズからOMーDシリーズへと移したようで、小型軽量、防塵防滴、耐低温を売り物にしている。私もかつてペン・シリーズを2機種使ったから、ノスタルジーを感じる。でも、画像素子(センサー)が小さいというのは致命的な欠点で、昼間の太陽の下での撮影ならAPS−Cやフルサイズとの違いはさほど目立たないが、夕暮れや夜間などの厳しい条件下での撮影では、子供と大人ほどの差が出てしまった。そういう点は、このOMーDシリーズでは解消されたのだろうか。いささか気になるところである。

  (【後日談】デジタル一眼カメラ販売ランキングを参照)

 富士フイルムのブースに行ったが、こちらはかなりユニークなメーカーで、プロ向けにGFX 50Sという「フルサイズ」(35mm)どころか更にその上の「中判」(43.8mm x 32.9mmで、35mmの1.7倍)というミラーレスを売っている。そうかと思えば、素人の愛好家向けの小型軽量モデルも売るという幅の広い製品群を擁している。一説によれば同社のカメラは画像エンジンが良いので色の発色が美しいとか、いやいやオートフォーカスが弱いとか、バッテリーが長持ちしないとか言われている。今回、それを確かめようと近づこうとしたら、大混乱の様を呈していたので、やめてしまった。会場の整理に当たっている係員がもう少し上手にやればいいのにと思うほどだった。だから、それらが本当かどうかを確かめる術がなくなった。

ケンコーのPLフィルターのブース


 そのほか、ケンコーのブースでは、大きな収穫があった。「PL(偏向)フィルターの達人」という人がいたので、日頃の質問をぶつけてみた。

「お宅のPLフィルターを持っているのですが、撮るときにレンズ先端の花形フードが邪魔をして、上手く回せないのです。指をフィルターに直接当てて、それで回すのですかね。その被写体によってフィルターを回す角度がそれぞれ違うから、どうしても撮る直前に回さないといけない。しかし、その度にいちいちフードを取り外すのも面倒ですよね。皆さん、どうしていますか?」

達人「いえいえ、そのように指を使うと、レンズが汚れてしまうので、やはりフードを取り去って、回すしかないでしょう。フードによっては、フィルターを回せるように隙間があけられている製品もあるから、各社のカタログを取り寄せてみたらいかがですか。」

なるほど、そうしてみようと思う。私は桜などが水面に写る写真を撮るのが好きだが、PLフィルターを使えば、空も水面も青さが際立つ。もっと活用したいと思っている。

 次に、ND(減光)フィルターの達人という人がいた。先日、友人である写真家が、私に「NDフィルターを使ったらいいよ。」と言ってくれたが、その時はあまり気にも止めなかった。だからどういう機能のものか全く知識がない。よい機会なので、教えてもらった。例えば水の流れを撮るとき、スローシャッターにして水があたかも絹布のように滑らかに見えるように撮る技法があるが、そうすると取り込む光の量が多くなり過ぎて細かなところが白く潰れたりする。NDフィルターはそういう場合に光量を絞る効果があるという。あるいは、花火を撮るときに光量オーバーになって白く潰れたようになるが、その場合にも効果があるとのこと。いずれも、非常に勉強になった。


超小型カメラ「ミゼット」


ピストルの形をしたカメラ


 このCP+(シーピープラス)2019 には、特別協力という形で日本カメラ博物館が参加しているが、そこで見た超小型カメラ「ミゼット」は、私が神戸でまだ小学1年生だった頃に使っていたカメラによく似ていて、非常に懐かしかった。実際にこれで撮った写真を未だに持っている。その他、バービー人形やピストルの形をしたカメラがあったとは知らなかった。特にバービー人形は、胸の中央のダイヤモンドのような飾りがカメラのレンズだというので、これまた笑ってしまった。

バービー人形型カメラ





3.横浜をぶらっと散歩

 そういうことで、パシフィコ横浜の会場を後にして帰ろうとしたが、冬にしては気温が10度と、暖かい方なので、ぶらっと散歩することにした。まずは、クイーンズスクエアの3連棟の建物の2階部分を抜ける。もうお昼時なので、どこか適当なレストランがあれば入るつもりだったが、どのレストランも長蛇の列を作っている。土曜日だから仕方がない。更に進んで、ランドマーク・タワーに入ると、こちらはそれほどではない。どこかないかと思っていたら、名古屋発祥のコメダ珈琲店があった。

 これは久しぶりとばかりに入り、定番の小倉サンドにサラダと紅茶を注文した。小倉サンドは厚切りかどうかを聞かれたので、普通のをお願いしたら、それでも持ってきてもらったものを見ると、いやまあ凄い量だ。これだけ食べるなら、かなり歩かないといけないと思いつつ、パクパクとみな食べてしまった。


大規模修繕中の帆船日本丸


 これで腹ごしらえは終わり、店を出た。動く歩道の脇道を歩き、帆船日本丸を撮ろうとしたが、残念なことに、ただいま大規模修繕中で、マストはオレンジ色に塗られ、船体は四角く囲われている。船が入っているドックの水まで抜かれていた。なお、2019年中に行われる帆船日本丸の総帆展帆スケジュールというのがあった。つまり、日本丸の帆を広げる予定日だ。さぞかし帆船らしくなるだろう。その日にまた来て、撮ってみようと思う。

水陸両用バス


 日本丸のところまで降りて、ドックを半周して汽車道の方に向かおうとしたら、水陸両用バスがあった。ちょうど出るところだった。大人1人が3,500円とのこと。いささか強気過ぎるのではないか。それでも座席は、8割ほど埋まっていた。

教会風の建物


結婚式に向かう新郎新婦が運河に添って歩く


 汽車道を赤煉瓦倉庫の方に向かい、港三号橋梁を渡る。海風がやや冷たい。歩く途中の運河の向こうにある教会風の建物では、ファンファーレが鳴ったかと思うと、メンデルスゾーンの結婚行進曲が聞こえてきた。そちらに目をやると、結婚式に向かう新郎新婦が運河に添って歩いていて、皆が満面の笑みで祝福している。新郎は嬉しくて仕方がないという表情だし、新婦はその弾むような歩き方からして、これまた幸せいっぱいだ。これは良いものを観た。どうかこの幸せが、一生続きますようにと、お祈りをしておいた。それにしても、この地区は、夜になると色とりどりのネオンが溢れるようにあって、前衛的な建物、大観覧車、運河を行く船など、被写体に事欠かない。

NAVIOS横浜


 運河を渡り終えると、左手にはワールドポーターズ、正面にはまるで風水で穴が空いたようなNAVIOS横浜(横浜国際船員センター。ホテル)である。そのHPによれば、なぜこのような形にしているかという質問に対して、「『凱旋門のような形』をしているナビオス横浜ですが、実は凱旋門がモチーフではありません。ナビオス横浜は1999年10月に竣工しておりますが、建築の際の構想として、遊歩道である『汽車道』の一環として建築されました。あのような形は実は『絵画の額』がモチーフとなっており、汽車道に立ち、みなとみらいを背にしてナビオス横浜を覗くとベイブリッジ・赤レンガ倉庫といった『旧き良き横濱』の景色が、また赤レンガ倉庫を背にしてナビオス横浜を覗くとランドマークタワーといった『新しいヨコハマ』の景色がまるで絵画のように見えるように設計されています。」とのこと。でも、香港から来た観光客は、どう見ても風水の影響だと思うだろう。

 赤煉瓦倉庫に着くと、2棟のうちひとつは大規模修繕中である。その前にたくさんのテントが並んでいると思ったら、全てパン屋さんで、入り口ではそれぞれの店が売り切れそうかどうかがわかる一覧表まであった。そこから大桟橋の方を望むと、大きな豪華客船が停泊している。これは、行って見なければ。


ダイヤモンド・プリンセス


 象の鼻パークを経由して、大桟橋に向かう。近づくと、豪華客船は「ダイヤモンド・プリンセス」だった。そう、三菱重工業長崎造船所で建造中に火災を起こし、大赤字の原因となったいわくつきの船だ。もっとも、この船自体は、別名で同時に建造中だった姉妹船を転用したものだから、実は関係はない。その後は、無事に運行されているようだから、慶賀の至りである。内部を見ることはもちろんできなかったが、外から見る限りでは、個々の部屋のベランダに二脚の椅子があるなど、まるでマンションにエンジンを載せて動かしているかの如くである。

キング(神奈川県庁)


クイーン(横浜税関)


ジャック(開港記念会館)


 さて、そろそろ帰るとしよう。地図を見ると今居る所は、昔、横浜に入港する船員が目印とした3つの塔、キング(神奈川県庁)、クイーン(横浜税関)、ジャック(開港記念会館)が近い。せっかくだから、その写真を撮ってこようとした。まずはクイーンだが、運悪く逆光だ。そこでキングの裏手に回って何とかとらえた。ただし背景にビルがあって、構図としてはあまりよろしくない。そのキングだが、これも逆光気味だったけれども、裏手に回る途中、少し左手に動いたのでその位置で撮った。最後にジャックに近づいて行ったら、残念なことにただいま大規模修繕中で、塔の先端だけが出ている。それをなんとか撮って、みなとみらい線の日本大通り駅から帰路に着いた。本日はかなり歩き、帰ってみれば1万6千歩と、本年の新記録となった。




 カメラと写真の見本市(写 真)





【後日談】デジタル一眼カメラ販売ランキング

 ヨドバシカメラ1社の販売統計であるが、2019年2月16日から2月28日までの間のデジタル一眼カメラ販売ランキングを見ると、売れ筋の第1位は、意外と言ったら失礼かもしれないが、オリンパス製の縦位置グリップ一体型のプロフェッショナルモデル(OM-D E-M1X ボディ)だった。2月22日に発売されたばかりの約35万円のカメラである。ということは、カメラマニアの間の評価が非常に高いらしい。そのHPでの説明によると、「小型で軽量、高画質を実現する『マイクロフォーサーズシステム規格』準拠のミラーレス一眼カメラです。縦位置グリップ一体構造を採用し、安定したホールディング性、高い操作性を実現。さらに約7.5段分の手ぶれ補正能力も備え、夜間や室内での手持ち撮影時の画質がさらに向上、撮影可能なシーンを拡大します。フィッシュアイから超広角、超望遠、マクロまで、高画質で多彩なラインアップのM.ZUIKOレンズ群との組み合わせで、小型・軽量・高画質なカメラシステムを実現。スポーツや動物など高い機動性が必要な撮影シーンに特に威力を発揮、一瞬のシャッターチャンスを狙う写真家の信頼に応えるプロフェッショナルモデルです。」というから、かつてのオリンパス・ペンのシリーズとは異なり、夜間や室内での手持ち撮影に十分耐えられるどころか、スポーツや動物などを撮影するプロ写真家にも支持されているようだ。これは、オリンパスカメラへの認識を改めなければならない。ちなみに、ランキング上位10位の機種は、次の通りである。

 これらを眺めると、オリンパス以外は、やはり豊富な機種を揃えたソニーの一人勝ちの様相を呈している。私は、当面はタムロンの18−400mmで凌ぐとしても、これから内外を旅行して風景写真を撮る機会が格段に増えるので、早晩、フルサイズのミラーレス一眼を買う時期が来ると思う。その時、ソニーの天下が続いているか、それともキヤノンやニコンがその地力を発揮して追い付いてくるかがまだ見えてこない。それ次第で、どのメーカーのカメラにするかを決めようと思う。現在の延長線上では、レンズ資産を少しは持っているのでキヤノンのカメラということになるが、良いミラーレスが発売されていなかったり、あるいはそのレンズ資産が使えないのであれば、いっそのことソニーのαシリーズにするという手もある。近い将来の悩みどころはであるが、楽しい選択でもある。


第1位 オリンパス OM-D E-M1X ボディ

第2位 ソニー α7 III ボディ

第3位 ニコン Z 6 キット(ボディ+NIKKOR Z 24-70mm f/4 S+マウントアダプターFTZ)

第4位 キヤノン EOS R ボディ

第5位 ソニー α7R III ボディ

第6位 ソニー α7 III レンズキット(ボディ+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS)

第7位 ソニー α6400 ダブルズームレンズキット(ボディ+E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS+E 55-210mm F4.5-6.3 OSS )

第8位 ニコン D5600 ダブルズームキット(ボディ+AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR+AF-P DX NIKKOR 70-300mm f/4.5-6.3G ED VR)

第9位 ソニー α6400 高倍率ズームレンズキット(ボディ+E 18-135mm F3.5-5.6 OSS)

第10位 ソニー α6400 パワーズームレンズキット(ボディ+E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS → 3月9日には、これがミラーレス一眼カメラ販売の第1位となる。












(2019年3月2日記。9日追記)


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